イベント報告
あなたのアクションが人道援助に! 国境なき医師団 証言活動アワード 2025
2025年12月23日国境なき医師団(MSF)は、医療・人道援助活動と同時に、現地で目の当たりにした人道危機を国際社会へ伝える「証言活動」を行っています。 2025年より、この証言活動に貢献された方々を表彰する「証言活動アワード」を創設しました。今年も多くの皆さまが、さまざまな形でMSFの活動を支えてくださったことに、心より御礼申し上げます。
学生から企業まで、それぞれの活動を通じて創意工夫を凝らし、周囲を巻き込みながら証言活動に貢献された皆さまをご紹介します。
多くの人びとが知り、考えることも、支援につながります。ぜひこのアワードを通じて、全国に証言活動の輪が広がることを心より願っています。
国境なき医師団 証言活動アワード 2025 発表
■ 国境なき医師団 証言活動アワード 2025 大学生の部
医学部学生が主導!北大祭でMSFの企画展示
北海道大学の「北大祭」は毎年6月に開催され、10万人以上が来場する大規模な大学祭です。医学部の学生が主催する「医学展」は、ぬいぐるみ病院や心肺蘇生講習、医療検査体験など、工夫をこらした参加型・体験型の展示が行われ、多くの来場者が足を運ぶ人気の展示の一つです。今年の「医学展」では、昨年に引き続きMSFの企画展示コーナーを設け、毒ヘビに噛まれてから解毒剤で処置するまでをゲーム形式で分かりやすく伝える「熱帯・毒ヘビチャレンジ!」や、子どもの栄養状態を確認する「命のうでわ」や栄養治療食などを展示。家族連れや中高生など、多くの来場者が楽しみながらMSFの活動に関心を持つ機会になりました。
「北大写真部×国境なき医師団写真展
命をつなぐひと ─北海道から世界の活動地へ─」
学生の写真で人道援助スタッフの”ひと”を伝える写真展を札幌で開催
北海道大学写真部は6月27日(金)から7月1日(火)札幌市民交流プラザにて写真展を開催。北海道を拠点にMSFの活動に携わるMSFの海外派遣スタッフ11人の写真と、それぞれがMSFの活動にかける思いや地域とのつながりを伝えるコメントを展示しました。北海道大学の写真部部員10人が本企画を運営し、札幌市内各地で撮影を行いました。
来場者からは「普段メディアでは見られないようなMSFの皆さんの日常の笑顔を知ることができ、尊敬の念とともに親しみが湧いてきました。人道援助について改めて考えるきっかけとなりました」などのコメントがよせられました。
北海道を拠点に世界中でMSFの活動に参加する人がいると知り、その姿を地域の皆さんに伝えたいと思い、写真展を企画しました。医療の道を志す学生として、世界中の状況に思いをはせ、医療の重要性や力を感じる機会にもなりました。
名古屋造形大学学生による自主企画制作!
中東シリア(アレッポ)に関する展覧会
2026年公開予定のアニメーション映画『ドゥーニャとアレッポのお姫様(配給:ラビットハウス)』を、プロジェクト授業として鑑賞したのをきっかけに、シリアの文化や歴史、内戦や難民について考える展覧会を企画。食やファッション、文化など、学生たちの視点を通して、幅広い年齢層に分かりやすく伝える、さまざまな工夫が随所に凝らされました。「国境なき医師団からみた景色」コーナーでは、MSFの活動に関する動画を放映し、シリアの現状を伝えました。
私達はアレッポや中東の国に怖いイメージを持ち、戦争や難民問題を他人事のように感じていました。しかし映画「ドゥーニャとアレッポのお姫様」を通し、この空の遠く先で今も戦争が続き、そこに私たちと同じように家族や友人と生きる人々がいると気づきました。
そこでシリアの現状や文化、歴史を伝えるために〇✕クイズやVR体験、名前をアラビア語で書く体験など、子どもから大人まで楽しんで知ることができる展示を企画しました。
私達1人1人にできることをこれからも考えていきたいと思います。
■ 国境なき医師団証言活動アワード2025 学校の部
八尾市立志紀中学校(大阪府)
教職員研修から授業、そして地域公開講演へ
2025年8月、MSFの活動などについて学ぶ教職員研修を開催。その後、2学期にMSFに関する事前学習を実施しました。授業では、MSFがどのような理念をもってどのような活動をしている団体なのか、医療スタッフと非医療スタッフの役割、証言活動の意義、活動資金の仕組みなどを詳しく説明。教員が独自に作成したクイズやワークシートを活用し、生徒とインタラクティブな事前学習を行いました。
さらに、12月にはMSFの海外派遣スタッフによる講演「命をつなぐ仕事~国境なき医師団の現場から~」を実施。MSFロジスティシャンの植田佳史がアフガニスタン、ウクライナやガザにおける人道援助の体験を語り、全校生徒約360人の他、保護者や地域の方々にも公開され、地域の幅広い世代が国際的な人道援助の課題やMSFの活動に触れるきっかけとなりました。数か月にわたる研修・授業・講演を通じて、MSFの取り組みを理解し、世界の現実に目を向ける学びを広げました。
今年度は戦後80年という節目の年であることから、本校では「平和教育」を重点的に学習しています。過去の戦争について学ぶだけでなく、現在、世界で起こっている「平和」をめぐる現状を知り、自分たちにできる役割や行動について主体的に捉えてほしいと考え、最前線で活躍する国境なき医師団に講演を依頼しました。
講演に向けて、生徒の事前学習に加え、教職員研修も行い、学校全体で準備を進めてきました。同じ八尾出身のロジスティシャンの方から実際にお話を伺い、生徒たちは自分たちの生活を見つめ直す貴重な機会を得ることができ、質疑応答では多様な意見交流が行われました。
「身近な人に優しくする。その対象を広げ、さまざまな人に優しくすること」や「無関心は人を殺し得る」という言葉から、「自分ができることを探して考えて、行動にうつすことができればいいなと思った」や「世界で起こっていることを自分事としてとらえることが大切だと思う」と記す生徒もいました。日常生活の中で多くのことに関心をもって生きていこうと考える生徒が多く見られ、非常に有意義な学びとなりました。
MSFイベントに参加して情報収集!
川口市立領家小学校 研究授業「世界の未来と日本の役割」
小学校教員の河根慎一さんが、2024年10月に東京で開催されたMSFのイベント「エンドレスジャーニー展」に来場。トークイベントや海外派遣スタッフへの取材、展示の見学を通して、研究授業に向けた情報を収集しました。さらに、領家小学校の6年生を対象に、MSFが主催する教育プログラム「世界といのちの教室」にも参加。こうしたイベントやプログラムを通して得た知見を踏まえ、研究授業の教材を独自に開発しました 。川口市立小学校を対象とした社会科の研究発表では、日本におけるNGOの役割の一例として国境なき医師団の活動を紹介。特に、現地で実際に活動した海外派遣スタッフ自身の「ホンモノの声」を児童に届けることを重視して授業を展開しました。
エンドレスジャーニー展に参加させていただいたことから、今回の授業につないでいただきました。人の縁を感じました。子どもたちに人のつながりの価値、様々な人と会う素晴らしさを実感させられました。本当にありがとうございました。
■ 国境なき医師団証言活動アワード2025 企業の部
丸の内にアフリカ熱帯植物園が出現?!
三菱地所 Marunouchi Bloomwayにて開催
マグナム・フォト写真家らよるコンゴ民主共和国の写真と
そら植物園によるアフリカ熱帯植物のコラボレーション展示
「熱帯植物から覗く世界」
オフィスワーカーや街を訪れる人で賑わうMarunouchi Bloomway。 丸の内二丁目ビル・三菱ビル貫通通路を季節の植物で彩り、公園のような空間を創出する三菱地所株式会社のプロジェクトに、MSFが企画・協力で参加しました。マグナム・フォトの写真家らによって撮影されたコンゴ民主共和国の写真展示と、プラントハンター西畠清順氏が代表を務めるそら植物園の特別協力によるアフリカ熱帯植物の花壇を組み合わせた、コラボレーション展示を1カ月間開催しました。オフィス空間に突如出現した珍しい熱帯植物に多くの方が足をとめ、コンゴの現状を伝える力強い写真に見入っていました。
週末には現地で活動したMSFロジスティシャンの石山友莉佳、三菱地所丸の内運営事業部 牧野圭さん、プラントハンター 西畠清順さんによるトークイベントや、写真鑑賞ワークショップも開催。業種の枠を超えたコラボレーションに多くの反響をいただきました。
この度は、「国境なき医師団証言活動アワード 企業の部」にお選びいただき、ありがとうございます。本取組は、丸の内というアートやビジネス、コンベンションなど様々な分野で世界と繋がりを持つ街で、日常の延長線上で社会課題に触れる機会をつくりたいという想いから始まりました。
アフリカ熱帯植物から覗く、メッセージ性の強いコンゴのマグナム・フォト写真展示とトークイベントの開催により、丸の内を訪れる皆様、ワーカーの皆様に、新たな世界との繋がりや、関心を持ち行動に移すきっかけを届けることができたと感じています。
今後も、三菱地所はまちづくりを通じて社会に開かれた価値創出に取り組んでまいります。
MSFのパレスチナ・ガザ地区活動報告会に
カタログハウス・セミナーホールを提供。
「通販生活」にてガザで活動したスタッフと坂本美雨さんとの対談の掲載も。
パレスチナ・ガザ地区で紛争が激化してから2年。 現地の状況が悪化の一途をたどる中、MSFは10月3日ガザ地区から帰ってきた日本人の海外派遣スタッフらによる活動報告会をカタログハウス(東京都渋谷区)のセミナーホールで開催しました。2019年にガザ地区を訪れた作家・クリエイターのいとうせいこうさんをゲストに迎え、MSF看護師の中池ともみ、MSFロジスティシャンの松田隆行の3人が、現地で実際に目撃、経験したことや、医療・人道援助の現場で感じた思いを語り合いました。一般参加の約130人が来場。ガザの現実を知り、日本にいる私たちにいま何ができるのか、共に考える時間となりました。
「戦争や紛争で傷つく子どもたちの力になりたい」
これが、カタログハウスの社会貢献活動の1つの柱です。残念ながら、私たちが紛争地へ行って医療活動をすることはできません。しかし、危険をかえりみずそれを実行してくれる国境なき医師団の方々を応援することは、私たちにもできます。
これからも「通販生活」誌面やウェブサイト、小社が開催するイベントなどを通して、国境なき医師団のみなさんの“現場の声”を、多くの人たちに届けるお手伝いをしていきたいと考えています。
カタログハウスが発行する「通販生活」でもMSFの活動をご紹介いただいており、2025年冬号ではパレスチナ・ガザ地区の特集も掲載してくださいました。さらに、通販生活とウェブ通販生活(全商品)の売上の1%をMSFにご寄付いただくなど、継続的なご支援を続けてくださっています。
イエメンコーヒーからつながる支援。
江別 蔦屋書店主催 国境なき医師団
ENDLESS JOURNEY 「コーヒーからめぐる世界」
—コーヒー文化発祥の地 イエメンの旅(第1回 in 江別 蔦屋書店)—
11月25日(火)から12月7日(日)、江別 蔦屋書店にて国境なき医師団の活動を伝える企画展「ENDLESS JOURNEY 『コーヒーからめぐる世界』—コーヒー文化発祥の地 イエメンの旅」が開催されました。
会場ではドキュメンタリー写真家 森佑一さんがとらえたイエメンの人びとの営みや、現地の暮らしに根付く日用品の展示の他、香り豊かなイエメンコーヒーのテイスティングも行い、旅をしているように五感でイエメンを感じながら、イエメンの現状とMSFの活動を知る機会となりました。
(右上)写真家森佑一さん、MSF会長中嶋優子 © Jun Higurashi(北大写真部)
(左下)日本イエメン友好協会専務理事の佐藤寛先生と、森佑一さん © Yuki Yoshino(北大写真部)
(右下)会場ではイエメンコーヒーとデーツのテイスティングも © Jun Higurashi
週末にはスタッフの皆さんの温かなサポートの中、トークイベントも開催。六本松 蔦屋書店・旅のコンシェルジュの森卓也さんのナビゲートのもと、イエメンにまつわるゲストが文化やMSFの活動について語る、ユニークなトークイベントとなりました。
参加者コメント:
「コーヒーをきっかけにこのイベントに興味を持ち参加しました。イエメンや国境なき医師団について、自ら知るきっかけを持ちづらい知を得ることができ、とても有意義な時間になりました。」(30代会社員)
(右上)証言活動や寄付の新たな可能性を追求してくださった、蔦屋書店スタッフの皆さん © Yuichi Mori Photography
(左下)最終日の朝会場に、来場者の方から心温まるメッセージカードが
(右下)MSFスノーマンも開催を見守りました
また、会場では北大写真部による写真展「命をつなぐひと —北海道から世界の活動地へ—」も開催。北海道にゆかりのある海外派遣スタッフや活動を支える家族、ボランティア、事務局スタッフの表情をとらえた写真を展示しました。地元北海道とMSFが世界で行う医療・人道援助活動のつながりを来場者に伝える、温かみのある写真展になりました。
「紛争地にも素晴らしい自然、歴史、文化、人々の暮しがある。無いのは『平和』だけ」 MSF広報部 都築さん・佐野さんのこの言葉から、蔦屋書店らしく、地域の文化や人々、コーヒーにスポットを当て、より多くの方の関心を引く企画を目指しました。MSFの多様なスタッフ、その活動に触れ、また、書店によるコーヒー販売収益の半分が寄付される間接的な「寄付体験」で、MSF、イエメン、寄付を身近に感じてもらえたら幸いです。中嶋優子会長、ロジスティシャン堀さん、フィールド人事鴇田さん、写真家の森佑一さん、北大写真部員をはじめ共に企画をつくり上げていただいた皆さまにこの場を借りて感謝申し上げます。
よいモノやコトの価値をどのように人々へ伝えるか、私たち蔦屋書店も日々そこに心を砕いています。イエメンで暮らす人々が紡いできた文化や、そこで活動するMSFの方々にフォーカスをあて、紛争地を私たちの日常の地続きとして感じてもらう。そのコンセプトは特別展示やコーヒー販売、イベントなどで形となりました。私がイベントを通して出会ったMSFや関係者の方々はみな、前向きで熱意と使命感に溢れる「普通」の人たちでした。来場者はそんな「普通」の彼らに共感をもったはずです。その共感はこのあとたくさんの行動へと変わることでしょう。このイベントに関わる機会をいただいたことに感謝いたします。
寄付や参加以外にもできる、人道援助があります。
皆さんの身近なつながりを通して、一緒に「証言活動」に取り組んでみませんか?
イベント・コラボレーションに関するお問い合わせはこちらから collabo@tokyo.msf.org
クレジットのない写真はすべて©MSF





紛争や災害、貧困で苦しんでいる人びとの状況や、海外で活動する医療者のことを、多くの来場者に知ってもらいたい、視野を広げてもらいたいと思い、企画展示を実施することにしました。企画や準備をした私自身も人道危機や人道援助について学ぶことになり、とても勉強になりました。