結核

基本情報

どんな病気?

結核菌を原因とする感染症。感染者の10%程度が生涯のいずれかの時点で発症する。主に肺に影響を及ぼし、継続的な咳、発熱、体重減少、胸痛、息切れなどが症状として現れる。HIV感染者は発症率が高く、結核が主な死因となっている。

流行地域

世界各地。世界人口の4分の1が感染している。2023年には約1080万人が新たに発症、125万人が亡くなっており、新型コロナウイルス感染症を抜いて再び世界の感染症による死因トップとなった。また約40万人が治療の困難な薬剤耐性結核(MDR-TB, RR-TB)を発症している(世界保健機関【WHO】:世界結核報告書2024)

感染経路

咳やくしゃみによる結核菌の空気感染。

診断

さまざまな診断法を組み合わせて診断する。低・中所得国では喀痰(かくたん)検査が主流だが、十分な量の痰(たん)を輩出できない子どもやHIV患者ではほぼ検出できない。新しい遺伝子増幅法検査が近年導入されたが、機器を導入できる条件が整っていなければ実施できず、多くの結核患者は正しい診断を受けられていない。

結核検査の種類

胸部X線検査:肺の異常を検出
ツベルクリン反応検査:結核菌感染の有無を検査
喀痰検査:痰を採取して顕微鏡で結核菌の有無を検査
遺伝子増幅法検査:結核菌特有の遺伝子を検査
など

治療

抗結核薬を何種類か組み合わせ6~9カ月間、服用する。治療の困難な薬剤耐性結核は治療に2年以上かかることもあったが、国境なき医師団(MSF)を含むNGOが主導した研究で、9カ月で完了する新たな治療法が確立された。しかし、診断の難しさや高額な治療費などさまざまな理由で、薬剤耐性結核患者の3分の1しか必要な治療を受けられていない。

結核薬の種類

第一選択薬:最も強力な抗菌作用のある薬剤(リファンピシン、イソニアジドなど)、またそれに併用で効果の期待される薬剤(ストレプトマイシンなど)
第二選択薬:第一選択薬より効果は劣るが、多剤併用で効果の期待される薬剤(レボフロキサシンなど)
多剤耐性結核薬:多剤耐性結核に効果のある薬剤(デラマニド、ベダキリンなど)

薬剤耐性結核の種類

リファンピシン耐性結核(RR-TB):第一選択薬であるリファンピシンに耐性のある結核
多剤耐性結核(MDR-TB):第一選択薬であるリファンピシンとイソニアジドの両方に耐性のある結核
プレ超多剤耐性結核(プレXDR-TB):第一選択薬であるリファンピシンに加え、第二選択薬のひとつであるフルオロキノロン系抗菌薬(レボフロキサシンなど)に耐性のある結核
超多剤耐性結核(XDR-TB):第一選択薬と第二選択薬の一部および多剤耐性結核薬にも耐性のある結核

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