医療への攻撃

このテーマの活動ニュース一覧を見る

基本情報

医療への攻撃を巡る状況

医療施設が戦闘に巻き込まれたり、攻撃の対象にされたりすることで、患者や医師、看護師が犠牲となっています。

国境なき医師団(MSF)の医療活動に影響を及ぼした事案の件数は、2016年1月~2026年3月の約10年間で計255件に上りました。

このうち、年別で見ると2024、2025年にピークに達しており、2年の合計だけで期間全体の3分の1以上を占めました。また種別は、空爆・銃撃や略奪などを含め医療施設への攻撃が107件、救急車に対する攻撃や通行妨害などが75件、医療活動に対する妨害が73件──でした。近年は特に医療施設に対する攻撃の件数が急増し、全体数を押し上げています。

イスラエル軍に爆撃されたパレスチナ・<br> ガザ地区南部のナセル病院=2025年3月24日 © MSF
イスラエル軍に爆撃されたパレスチナ・
ガザ地区南部のナセル病院=2025年3月24日 © MSF
国境なき医師団(MSF)の病院が爆撃を受け、急いで<br> 消火活動に当たる現地スタッフら=南スーダン北部の<br> オールド・ファンガクで2025年5月3日 © MSF
国境なき医師団(MSF)の病院が爆撃を受け、急いで
消火活動に当たる現地スタッフら=南スーダン北部の
オールド・ファンガクで2025年5月3日 © MSF
発生場所は計28カ国に及びました。ただし、件数の半数以上はハイチ(41件)、スーダン(29件)、イエメン(25件)、中央アフリカ共和国(23件)、コンゴ民主共和国(20件)──の5カ国に集中しています。

この10年間に、攻撃を受けて業務中に命を落としたMSFのスタッフは15件の事案で21人に上りました。世界保健機関(WHO)の「医療への攻撃監視システム(SSA)」によると、2025年だけでも医療施設への攻撃は1348件に達し、それにより1981人が死亡しました(2026年4月時点)。

また、医療への攻撃は、患者や医療従事者の被害だけでなく、地域で暮らす大勢の人たちから医療を奪い多くの命を脅かすことにもつながります。

MSFと国際社会の取り組み

2015年に米軍による空爆を受け、42人が犠牲となった<br> アフガニスタン・クンドゥズのMSF病院 © Andrew Quilty
2015年に米軍による空爆を受け、42人が犠牲となった
アフガニスタン・クンドゥズのMSF病院 © Andrew Quilty
医療への攻撃が深刻化するなか、国連安全保障理事会は2016年、紛争下での医療・人道援助活動の安全を確保するよう求める決議第2286号を全会一致で採択しました。

そもそも、国際人道法は紛争当事者に対し、戦闘において一定の規則を守ることを義務づけています。ジュネーブ条約と追加議定書も、傷病者や医療・人道援助の従事者を保護の対象として定めています。

MSFは、2015年にアフガニスタンでMSFの病院が米軍の空爆を受けて、患者やスタッフ42人が死亡した事件の後、2016~2017年に「病院を撃つな!」キャンペーンを展開しました。
国連安保理の会合で演説するMSFインターナショナルの<br> ジョアンヌ・リュー会長(当時)<br> =2016年5月3日 © Paulo Filgueiras
国連安保理の会合で演説するMSFインターナショナルの
ジョアンヌ・リュー会長(当時)
=2016年5月3日 © Paulo Filgueiras
また、2019年に実施した「人道援助をめぐるディスカッション~『人道・医療要員の保護』と『対テロ政策下における人道スペースの確保』~」や2020年から開催している「人道援助コングレス東京」でこの課題について現状を報告し、パネリストや参加者と討議を続けています。

安保理決議2286号の採択から5年後の2021年5月には、MSFの3人の事務局長が連名で論説文を発表。10周年を迎えた2026年5月には、医療への攻撃がむしろ増加し日常化する現状について警鐘を鳴らすため、MSFが直面してきた世界各地の事案の中から「10の攻撃」を取り上げて10年間を振り返り、声明を発表しました。

MSFは、医療への攻撃がやまない現状を変えるため、決議2286号の起案国でもある日本を含め、国際社会にさらなる具体的な行動を求めています。

© MSF

医療への攻撃の活動ニュース

活動ニュースを選ぶ