医療への攻撃

基本情報

医療施設が戦闘に巻き込まれたり、攻撃の対象にされたりすることで、患者や医師、看護師が犠牲となっている。2015年からの5年間、エチオピア、アフガニスタン、南スーダン、シリア、イエメン、中央アフリカ共和国で起きた計10件の医療への攻撃によって、国境なき医師団(MSF)のスタッフ26人が命を奪われた。記録を開始した1989年以降では、59の事件で97人のスタッフが亡くなっている。

医療施設への攻撃は、患者や医療従事者の被害にとどまらず、その地域で暮らす大勢の人たちから医療を奪い、多くの命を脅かすことにつながる。

2016年、国連安全保障理事会で、紛争下での医療・人道援助活動の安全を確保することを求める決議第2286号が全会一致で採択された。また、戦闘行為においては国際人道法を守ることが紛争当事者に求められており、ジュネーブ条約と追加議定書で、傷病者や医療・人道援助の従事者に対する保護が定められている。

国境なき医師団(MSF)は、2015年にアフガニスタンでMSFの病院が米軍の空爆を受けた事件を受け、2016年から2017年に「病院を撃つな! 新規ウィンドウで開く」キャンペーンを展開した。また、2019年に開催した『人道援助をめぐるディスカッション ~「人道・医療要員の保護」と「対テロ政策下における人道スペースの確保」~』や2020年から開催している「人道援助コングレス東京 新規ウィンドウで開く」にて、この課題について現状を報告するとともに、パネリストや参加者と討議を行ってきている。

2021年5月には、国連安全保障理事会決議第2286号の採択から5周年を受け、MSFの3人の事務局長が連名で論説文を発表。決議2286号の採択以降も、MSFが支援する施設や組織に対して100件以上の爆撃があったことを強く非難した。

MSFは医療への攻撃がやまない現状を訴え、国際社会にさらなる取り組みを求めている。

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