パレスチナ

パレスチナとはどんな地域

面積
約6020平方キロメートル(ヨルダン川西岸地区:5655平方キロメートル※三重県と同程度/ガザ地区:365平方キロメートル※福岡市と同程度)
人口
約550万人(ヨルダン川西岸地区:約340万人/ガザ地区:約210万人)(2024年)
自治政府所在地
ラマラ(西岸地区)
公用語
アラビア語
宗教
イスラム教(92%)、キリスト教(7%)、その他(1%)
1人あたり名目GDP
3396ドル(2023年)
  

パレスチナの人道状況は

避難先からガザ北部のベイト・ラヒヤへ移動する家族<br> =2025年2月17日 Ⓒ Nour Alsaqqa/MSF
避難先からガザ北部のベイト・ラヒヤへ移動する家族
=2025年2月17日 Ⓒ Nour Alsaqqa/MSF
イスラエルによる占領・封鎖下で、暴力や紛争が繰り返されているパレスチナ(ヨルダン川西岸地区とガザ地区)。人びとは長い間、紛争がもたらす心身の痛みにさらされています。

2023年10月からはイスラエルとハマスの紛争の激化に伴い、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区の人道状況は著しく悪化しています。

ガザ地区で起きていることとは

2023年10月以降、イスラエルとガザ地区を実効支配するハマスの紛争激化に伴い、ガザの人道状況は悪化しました。攻撃で多くの人びとが死傷し、ガザ保健省の発表によるとガザにおける死者数は5万人を超えました。

2025年1月19日に発効した停戦が、3月18日のイスラエル軍による攻撃再開で崩壊し、さらに多くの市民が犠牲となっています。また、イスラエルは攻撃再開に先立つ3月2日からガザを完全に封鎖。食料や医薬品、人道物資、燃料など全ての搬入が止まっており、人びとの暮らしや医療アクセスに深刻な影響が出ています。

世界保健機関(WHO)によると、ガザにある36カ所の病院のうち、15カ所は機能を停止しています。残りの病院も一部が機能している状態です。(2025年3月25日現在)。こうした状況で、ガザの人びとが医療を受けることは困難になっています。

イスラエル軍による14日間にわたる包囲直後のガザ市のシファ病院=2024年1月4日 Ⓒ MSF
イスラエル軍による14日間にわたる包囲直後のガザ市のシファ病院=2024年1月4日 Ⓒ MSF
アル・アクサ病院に入院した少女。家族全員を爆撃で失い、負傷した=2023年11月29日 Ⓒ MSF
アル・アクサ病院に入院した少女。家族全員を爆撃で失い、負傷した=2023年11月29日 Ⓒ MSF

医療への攻撃も深刻

破壊しつくされたシファ病院の内部=2025年2月7日 Ⓒ Nour Alsaqqa/MSF
破壊しつくされたシファ病院の内部=2025年2月7日 Ⓒ Nour Alsaqqa/MSF
現地で活動を続けるMSFは、イスラエル軍の攻撃によるスタッフの殺害や病院の破壊など、度重なる医療への攻撃に直面しています。ガザ保健省によると、紛争が激化して以降、1000人を超える医療関係者が殺害されています。犠牲者の中には、11人のMSFのスタッフも含まれています。

ヨルダン川西岸地区で起きていることとは

2023年10月から2025年3月までに、ヨルダン川西岸地区では少なくとも973人のパレスチナ人が殺害され、8000人以上が負傷しました(世界保健機関、2025年)。

ガザでの停戦発効後、西岸地区では暴力が増加傾向にあります。イスラエル軍による大規模な侵攻や、各地での道路の封鎖や検問、集落の入口へのゲートの設置などが相次いでいることで人びとの移動が難しくなり、生活や医療活動に影響が出ています。西岸地区北部で4万人以上が適切な住居や生活インフラ、医療へのアクセスを断たれた状況に置かれています。

また、国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、入植者によるパレスチナ人への攻撃も、2023年10月から2024年の間に1500件も報告されています。西岸地区での暴力の激化により、人びとの医療へのアクセスは著しく妨げられており、これを国際司法裁判所(ICJ)は人種隔離およびアパルトヘイトに相当すると評し、イスラエルによる組織的弾圧の一部であるとしています。

攻撃を受けたジェニンの町。多くの家屋に銃弾の跡が残る=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
攻撃を受けたジェニンの町。多くの家屋に銃弾の跡が残る=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
イスラエル軍により破壊された自宅のがれきの中に立つ男性=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
イスラエル軍により破壊された自宅のがれきの中に立つ男性=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF

パレスチナでの国境なき医師団(MSF)の活動は

2023年10月以降、MSFはイスラエルによる攻撃で負傷し、避難を余儀なくされている人びとの支援にあたっています。現地の医療・人道ニーズに応じて、活動を続けています。

ガザ地区でのMSFの活動は

MSFでは4月4日現在、1040人の現地スタッフと54人の国際スタッフがガザ地区で活動しています。南部のナセル病院、中部のアル・アクサ病院、中部デールバラハにある2つの仮設病院、基礎診療所とクリニックの計8カ所において、外科治療や創傷ケア、理学療法、妊産婦と小児のケア、基礎医療、心のケアなどに取り組んでいます。

ナセル病院の新生児集中治療室=2024年12月29日 Ⓒ Nour Alsaqqa/MSF
ナセル病院の新生児集中治療室=2024年12月29日 Ⓒ Nour Alsaqqa/MSF
デールバラハの仮設病院内の様子=2024年10月16日 Ⓒ MSF
デールバラハの仮設病院内の様子=2024年10月16日 Ⓒ MSF
外来診療 68万368件以上
入院患者の受け入れ 3万5717件以上
産前ケア 5万657件以上

(ガザにおける2023年10月~2025年1月末の活動実績)

ヨルダン川西岸地区でのMSFの活動は

MSFでは4月4日現在、145人の現地スタッフと25人の国際スタッフがヨルダン川西岸地区で活動しています。

ナブルスでは心のケアを提供するとともに、パレスチナ社会福祉士・心理士連合(PUSWP)と協力し、心理士のトレーニングを行っています。また、MSFはパレスチナ赤新月社(PRCS)のボランティアに対し、ナブルス、トゥバス、カルキリヤの各県で救急などの研修も提供。南部ヘブロン県では、移動診療を通じ基礎医療やリプロダクティブ・ヘルスケア(性と生殖に関する医療)、心のケアを提供し、ハルフル病院の産科と救急病棟を支援しています。また、暴力や強制退去の被害を受けた住民への救援物資、衛生用品キット、食料、簡易トイレなどの配布も行っています。

北部ジェニンとトゥルカレムでは、避難民や地域住民を対象に移動診療を実施。紛争によりガザ地区に戻れなくなった人びとに向けた9カ所の避難所と、保健省管轄の3カ所の基礎診療所も支援しています。

難民キャンプの女性たちに応急処置のやり方を伝える=2024年10月16日 Ⓒ Oday Alshobaki/MSF
難民キャンプの女性たちに応急処置のやり方を伝える=2024年10月16日 Ⓒ Oday Alshobaki/MSF
難民キャンプでメンタルヘルスのチェックを行うMSFスタッフ=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
難民キャンプでメンタルヘルスのチェックを行うMSFスタッフ=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF

Ⓒ Mohammed Baba
更新:2025年4月23日

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