パレスチナ

パレスチナでの国境なき医師団(MSF)の活動は

イスラエルによる占領・封鎖下で、暴力や紛争が繰り返されているパレスチナ(ガザ地区とヨルダン川西岸地区)。人びとは長い間、紛争がもたらす心身の痛みにさらされています。

2023年10月からはイスラエルとハマスの紛争の激化に伴い、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の人道状況は著しく悪化しています。ガザで停戦が成立しても、人道状況は極めて厳しいままです。

MSFはイスラエルによる攻撃で負傷し、避難を余儀なくされている人びとの支援にあたっています。

ガザ地区でのMSFの活動は

2025年11月末までに、7万人以上のパレスチナ人が犠牲となり、民間インフラと医療体制は壊滅的な打撃を受けました。

住民の約9割が何度も強制的に避難させられる過酷な状況に置かれました。しかも、イスラエルが「安全な人道区域」と指定した場所でさえ、空爆に何度も巻き込まれたのです。

医療への攻撃も深刻で、ガザの病院の大半は完全、もしくは部分的に破壊されました。特に北部で医療を受けられる場所はほとんど残されていません。MSFのスタッフも攻撃を受けており、2025年10月までに計15人が命を落としています。

MSFは繰り返し、即時かつ持続的な停戦、人道援助の緊急かつ妨害なきアクセス、そしてすべての当事者による医療施設の尊重と保護を求めてきました。

現地では南部のナセル病院、中部のアル・アクサ病院、中部デールバラハにある2つの仮設病院、基礎診療所とクリニックの計11カ所において、外科治療や理学療法、母子保健、基礎医療、心のケアなどを提供しています(2024年末時点)。

さらに、安全な水の供給や水処理施設、衛生設備の整備にも取り組んでいます。

ヨルダン川西岸地区でのMSFの活動は

ヨルダン川西岸地区ではイスラエル軍と入植者によるパレスチナ人への暴力行為が急増しています。南部のマサーフェルヤッタ地域では、入植者による暴力がかつてない激しさとなり、多くの人びとが家屋や農地、家畜を焼かれ、破壊されました。

また、2024年の1年間を通じ、イスラエルはさらに厳しい移動制限をかけ、人びとの医療アクセスを妨げ、すでに危機的だった生活環境をより悪化させました。

こうした暴力や移動制限などが重なった結果、ここ数十年で最大規模の強制移動が発生しています。

MSFはヘブロン、ナブルス、トゥバス、ジェニン、トゥルカレム、カルキリヤの各県で、救急医療、移動診療による初期医療、心のケアを続けました。特に、ナブルス周辺やヘブロン市内の高度制限区域で移動診療の取り組みを強化しています。心のケアチームは「イスラエル軍・入植者による度重なる突然の攻撃が、人びとの心身に深刻な影響を与え、希望の喪失や不安感を著しく高めている」と指摘しています。

難民キャンプでは、救急救命ボランティアへの応急手当研修や救急車両の寄贈、コミュニティ支援のための救援物資の提供もしました。

Ⓒ Mohammed Baba
更新:2025年12月8日

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