中東で深刻化する危機と国境なき医師団の対応
2026年2月28日にイスラエルと米国がイランへの攻撃を開始して以降、中東全域で紛争が拡大しています。
とりわけレバノンとイランでは、数千人が命を落とし、数百万人が自宅を追われるなど、民間人に甚大な被害が及んでいます。レバノンではすでに100万人以上が避難を強いられており、イランでも多くの人びとが避難生活を余儀なくされ、大規模な破壊や生活に不可欠なサービスの停止の影響を受けています。
空域閉鎖や治安悪化などによって国境なき医師団(MSF)の活動にも支障が出ており、医療搬送やスタッフの移動が阻害されています。加えて、ホルムズ海峡周辺の不安定化によって、世界的な供給網の混乱や燃料価格の上昇も発生しており、援助活動に制約が生じています。
このような状況下で、MSFは活動内容を調整し、医療の提供を続けるとともに、今後に備えた対応を強化しています。2月28日以降、MSFはイラク、イラン、レバノン、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、シリア、イエメンを含む中東各国へ、281.42トンの医療物資を輸送しました。
また、緊急時対応計画の策定、状況の綿密なモニタリング、医療物資の事前配置、倉庫容量の拡大、スタッフへの研修、移動診療の展開など、先を見据えた対応も進めています。コストの増加にも直面するなかで代替ルートを確保し、物資の安定した輸送体制の維持にも取り組んでいます。
なかでもイランでは、基本的な医療にアクセスできない人びとが増えていることを受け、テヘランに新たな診療所を開設するとともに、一時停止していたテヘラン南部の診療所も再開しました。レバノンでは、国内各地で変化するニーズを調査し、とりわけ南部で活動を拡大するなど、状況に応じて柔軟に対応しながら援助を行っています。
更新日:2026年6月2日
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