調査報告書

国境なき医師団は、活動現場で目撃した危機的状況を国際社会に伝えるため、個別のテーマで独自に調査・編さんした報告書を随時発表しています。

ピックアップ

報告書 “Missing (from) the UHC-target: leaving the most vulnerable behind”(2023年9月)

持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの一つ、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」は、必要な保健医療を誰もが経済的な困難なしに受けられる状態を指す。しかし、国境なき医師団(MSF)が活動地で目撃しているのは、難民、移民、紛争や災害、感染症流行などの人道危機や、貧困や社会的な疎外に直面する人びとが、医療費の障壁ゆえに、命にかかわる医療を受けられない現状だ。“誰一人取り残さない”という約束を果たすためには、最も弱い立場に置かれた人びとに焦点をあてる取り組みが喫緊に求められる。MSFは、国連UHCハイレベル会合に向け、世界20カ国から集めた事例と国際社会への提言をまとめ、本報告書を発表した。

ブリーフィング文書 “BRIDGING THE GAPS──THE NEGLECTED PANDEMICS: HIV/AIDS, TUBERCULOSIS AND MALARIA”(2022年9月)

コロナ禍の影響を受け、従来は三大感染症として世界の取り組みの焦点であったHIV/エイズ、結核、マラリアが、“顧みられないパンデミック”となりつつある。各地で国内対策も国際援助も減少・後退し、2030年までにこれらの感染症を根絶するという「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標も達成が危ぶまれる。その後退は、国境なき医師団(MSF)が対応にあたる南スーダンやミャンマーなどの国々でも、検査や治療の大幅な減少といったデータに現れている。2022年9月の世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)増資会合を前に、MSFは、危機的な後退に警鐘を鳴らし、ギャップを埋めるための提言を含む本報告書を発表した。

報告書『対テロ政策が「傷口に塩を塗る」──公平な医療のため人道援助の最前線で働くスタッフの証言』(2021年10月)

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに急速に拡大した「テロとの戦い」。国境なき医師団(MSF)が活動する現場では、対テロ政策が各国によって拡大解釈され、さまざまな形で運用された結果、紛争地域において人道援助にアクセスできない人びとが増えている。また、公平な医療の提供がより危険で困難なものとなっている。本報告書では、人道援助の最前線で働くMSFスタッフの証言をもとに現状を記述する。

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