待遇と諸制度・キャリア形成

国境なき医師団(MSF)の活動は、MSFの憲章に賛同し、ボランティア精神に基づき自発的に参加するスタッフによって成り立っています。現地での活動をより効果的なものにするため、MSFはさまざまな側面からサポートを提供しています。
勤務条件
勤務時間
プロジェクトと時期によって大きく異なります。必要な休憩・休養のための時間を確保していますが、緊急時の活動では多忙を極め、業務が長時間に及ぶ場合もあります。
休暇
MSFの就業規則では年間25日の年次休暇が付与されます。これに基づき、派遣の契約期間に応じて休暇日数を計算します。通常、3カ月に1回、約1週間の休暇を取ることができます。年次休暇に加え、現地の公的休日も多くの場合休みとなります。また、プロジェクトの特性に応じて、追加の休日が付与される場合もあります。

待遇
給与
初めて参加される場合、海外派遣期間が積算1年を超えるまでは、給与として月額17万9396円(控除前)が日本円で支給されます。支払いには、日本に開設されている銀行口座が必要です。派遣期間が1年を超えた後は、派遣されるポジションや過去の経験等を加味し算定し、給与として月額20万6717円~55万2532円(控除前)が支給されます。
日当
現地での食費・日用雑貨購入費として現地通貨で毎月支払われ、多くの場合、手当の60~70%は食費として共同資金(Food Pot)に充てられます。金額は国・地域によって異なります。
海外派遣に伴う諸経費
派遣先までの往復渡航費(航空運賃、国内交通費、宿泊料等)、渡航手続関係費用(予防接種費用、健康診断費用、ビザ・その他必要書類取得費用)をMSFが負担します。

社会保険
法令に従い、雇用保険および社会保険(厚生年金および健康保険[協会けんぽ])に加入していただきます。
医療保険
活動中は、MSFの医療保険(病気・けがの治療費、治療のための緊急帰国に伴う経費、死亡、後遺障害に対する補償)を負担します。帰国後も3カ月間有効です。居住国以外へ医療搬送されることになっても、帰国費用は保険によって支払われます。
現地での住居
MSFが提供する住居でチームメンバーと共同生活を送ります。原則として個室が用意されますが、状況により相部屋となる場合もあります。

サポート体制
活動支援
派遣国の首都または大都市には、経験豊富なスタッフで構成されたコーディネーション・チームが配置されており、活動地を支援しています。オペレーション・センターの専属チームも現場をサポートしており、職種別の専門家に問い合わせることもできます。
サイコソーシャルサポート(心理社会的サポート)
MSFの活動で、新しい世界に触れてこれまでにない経験ができる一方で、多国籍チームでの共同生活や、時に危険を伴う状況、甚大な被害を受けた人びととの接触など、身体的・精神的に疲弊することも少なくありません。海外派遣スタッフは、不安や悩みを抱えている時や、相談したいことがある時などは、出発前・活動中・帰国後に関わらずいつでも、専門家のカウンセリングを受けることができます。
安全管理
MSFはスタッフの身の安全を重視し、全プロジェクトにおいて、広範囲にわたるリスク管理・治安ガイドラインを設け、実施しています。スタッフは、赴任前にその国の安全状況を知らされます。そして、到着したらセキュリティに関する説明と行動規定が提供されます。現地のガイドラインを個人・チームとして遵守することは必須です。

キャリア形成
MSFは海外派遣スタッフに対し、継続的な専門性の向上やキャリアアップの支援にも力を入れています。
専門分野のスキル・知識の向上
- 海外派遣スタッフは、さまざまなプロジェクトに参加することで、自身の専門分野の経験値を上げることができます。
- 専門的な知識や技術を身につけて現場で効果的に活動するために、さまざまな研修プログラムに参加することができます。
- 言語研修や技術研修
- 医療行為やプロトコールに関する研修
- チームマネージメントに関する研修 など

キャリアパスに関して
海外派遣スタッフにはさまざまなキャリアパスがあります。
例えば、医師の場合、活動経験を積むことでさまざまな状況下での専門的なスキルや知識を向上させることができます。その後、医療チームリーダー(プロジェクトレベルでの医療リーダーシップを担当)、医療コーディネーター(活動国レベルでの医療リーダーシップを担当)となって、組織内でのキャリアアップを図ることもできます。また、プロジェクトコーディネーターやテクニカルレフェレンスなど、組織内でのさまざまな役割を担う機会もあります。
海外派遣スタッフの中には、日本でのキャリアを維持しながらも、個人的な事情や家庭の事情が許す限り、定期的に派遣活動に参加するスタッフも多くいます。
- ※MSFは、各国の事務局にて事務局員として働く機会も提供しています。
MSFでこのようなキャリア形成をしているスタッフがいます。
MSFでのキャリア形成の事例1

MSFでのキャリア形成の事例2

MSFでのキャリア形成の事例3

- ©Stephan Grosse Rueschkamp