沿革

1971年の設立から50年以上にわたる、国境なき医師団の歩み

国境なき医師団(MSF)は1971年に、医師とジャーナリストによってフランスで設立されました。

1967 年にアフリカのナイジェリアで勃発したビアフラ戦争。2年半の内戦で、市民は食料補給路を断たれ、餓死を含め150万以上が亡くなる事態となりました。国際赤十字の援助活動に参加していたフランス人医師らは、非道な事態に強い憤りを覚え、国際赤十字のルールであった沈黙の原則を破って政府軍による市民への暴力を公に非難。世界に向けた抗議の声は、国際社会の反響を呼びました。

1971年12月22日、このフランス人医師らとジャーナリストら13 人によって国境なき医師団(Médecins Sans Frontières = MSF)が設立されました。以来50年にわたり、世界中で医療・人道援助活動を行うとともに、活動の現場で目撃した人道危機を社会に訴えています。

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1970~1980年代

設立から数年後、カンボジア難民の救援のために大規模な医療援助活動を開始。その後、内戦が激化する中東・レバノンに56人の医師・看護師を派遣し、初めて紛争地での活動を行った。80年代半ばのエチオピアの飢餓では大規模な栄養治療を実施し、軍事政権の不正を告発した。

1990年代

1990年に勃発した湾岸戦争では、難民となったクルド人への援助を実施。内戦で30万人以上が命を落としたソマリアでは、人道的支援を理由にした多国籍軍の軍事介入を非難。1999年、世界での先駆的な人道援助活動が評価され、ノーベル平和賞を受賞した。

2000年代

HIV/エイズの治療を多くの患者に届けられるよう、MSFはジェネリック薬(後発医薬品)を輸入して治療数の拡大に努めた。2003年のイラク戦争では、「テロとの戦い」のもと人道援助組織が攻撃の対象となる事態が起こった。スマトラ沖地震・津波、ハイチ大地震など自然災害における緊急対応にも当たった。

2010年代

東日本大震災では発生の翌日から被災地に入り医療援助を提供した。内戦が激化したシリアでは、高まる医療ニーズに対応すべく援助活動を展開。西アフリカで流行したエボラ出血熱では前例のない規模で対応。2015年にはアフガニスタンの病院が米国による空爆を受け、紛争下の病院への攻撃を強く非難した。

2020年代

アフガニスタンでMSFが援助する産科病棟が襲撃され、病院にいた妊産婦らの命が奪われた。新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、世界各地で緊急医療援助活動を展開。合わせて、世界にワクチンや物資の公平な供給を訴えた。

これまでに実施した主なキャンペーン