アソシエーション

国境なき医師団 (MSF)は、命の危機に瀕する人びとに無償で医療を提供することで人びとを救い、苦しみを軽減するという志のもとに人びとが結集し、起こしている「ムーブメント(運動体)」です。国境なき医師団が自らをムーブメントと呼ぶのは、その時々の状況に応じて柔軟に適応し、しかも外圧に左右されない独立性を重んじる文化をもとに形成されているからです。その文化を形成しているのは、活動地での援助活動経験者を中心としたボランティア(アソシエーション会員)なのです。

MSFが長年にわたって世界中で活動を継続できているのは、このように自らの意志で集まった人びとが、専門性と時間を捧げ、人道援助のムーブメントを世界規模で起こしてきたからです。

アソシエーション会員は、アソシエーションを通じて自らの意思や意見を表明することで、MSFの社会的使命の在り方と活動の実現に貢献しています。アソシエーションはMSFがそのアイデンティティを守り、憲章における独立・中立・公平の原則に則った人道医療活動を果たすために、その活動方針を決定しています。

アソシエーションは、MSFの活動地での援助活動経験者が中心になって団体の在り方を決定しているため、現地のニーズに基づいた医療活動の継続が可能となります。世界には26のアソシエーションがあり、日本のアソシエーションはその一つです。

日本におけるアソシエーションと事務局

日本のアソシエーションは年次総会で選出された理事会を形成、さらに理事会が会長を選出します。会長、および理事会が中心となって、MSF日本の運営戦略を方向づけます。そして戦略の実行は、日本事務局に委ねられ、事務局長がその責任を担っています。

日本事務局は、海外派遣スタッフの採用、活動地での人道危機を国際社会に訴える証言活動、活動の独立性と柔軟性を確保するための資金調達、海外の事務局との連携など、運営業務を行います。理事会は定期的に会合を開き、この国内での運営が適切に行われているか、目標が達成されているかを確認するとともに、提案・意見もします。さらに、さまざまな緊急対応における方針を決定し、MSFの世界全体での活動方針を定める意思決定も行います。

日本のアソシエーションが掲げるビジョン

ムーブメントにおいて
私たちはMSFの憲章と原則を支持します。アソシエーションは、活動に新たな価値を与え、MSFの使命、およびMSFの世界的ガバナンスを促進することによって、ムーブメントにおいて尊重され、かつ影響力を発揮します。
活動地において
私たちは、献身的かつ革新的な姿勢で、効果的に活動し、人びとにインスピレーションを与えます。私たちの貢献により、世界は苦境にある全ての人びとが質の高い十分な医療と援助にアクセスできる、より良い場所となります。私たちは説明責任をもって人びとに奉仕します。
日本社会において
MSFは日本の医療人道援助をリードする組織です。私たちのアソシエーションは人道主義への深い理解のもと、日本社会が人道主義に対する理解を深めていくよう、向き合い、示唆を与え、働きかけ、世界の人道危機に意識を向け、対策を講じるようサポートしていきます。