プレスリリース

国境なき医師団日本の新事務局長に村田慎二郎が就任

2020年08月24日

国境なき医師団日本(東京都新宿区 以下 MSF日本、会長:久留宮隆)は本日、新しい事務局長に村田慎二郎(むらた・しんじろう)が同日付で就任したと発表した。MSF日本の事務局長に日本人が就任するのは初となる。村田の就任によって、現職のジェレミィ・ボダン事務局長は退任する。 

国境なき医師団(MSF)日本 事務局長に就任する村田慎二郎
国境なき医師団(MSF)日本 事務局長に就任する村田慎二郎
村田は東京を拠点に、MSF日本の医療援助活動に関わる戦略的な意思決定と計画実行の責任を担い、海外派遣スタッフの採用・派遣、人道危機を日本社会に訴える証言活動、日本におけるステークホルダーとの渉外活動、活動の独立性と柔軟性を確保するための資金調達、海外事務局と連携した現地援助活動の支援などを先頭に立って行っていく。

選任を受けて、村田は「世界の紛争地では今も多くの患者や医療者が攻撃され、国際人道法を無視した紛争当事者の論理が正当化されています。また一方で、新型コロナウイルスへの対応では国際的な協調は置き去りにされ、ワクチン開発などでは自国中心主義が台頭しているように見えます。私はMSF日本の存在意義をさらに高め、こうした人道危機においてより多くの命を救う役割を果たすため、世界中のMSFの活動に貢献できるよう努力して参ります」と抱負を述べている。

村田は静岡大学を卒業後、外資系IT企業での営業職を経て、2005年にMSFに参加。現地の医療活動を支える物資輸送や水の確保などを行うロジスティシャンや事務職であるアドミニストレーターとして経験を積む。2012年、派遣国の全プロジェクトを指揮する「活動責任者」に日本人で初めて任命され、援助活動に関する国レベルでの交渉などに従事。以来のべ10年以上を派遣地で過ごし、特にシリア、南スーダン、イエメンなどの紛争地の活動が長い。2019年夏より、紛争地で人道援助が必要な人たちの医療へのアクセスを回復するために医療への攻撃を止めさせるアドボカシー戦略を練るためHarvard Kennedy School(ハーバード・ケネディスクール)に留学。授業料の全額奨学金をJohn F. Kennedy Fellow(ジョン・F・ケネディフェロー)として獲得し、行政学修士(Master in Public Administration=MPA)を取得した。

今回の村田の就任により、2013年より事務局長としてMSF日本を率いたジェレミィ・ボダンは退任する。MSF日本の会長である久留宮隆医師は、「MSF日本を代表してジェレミィには感謝申し上げる。7年間でMSF日本の組織と活動規模を拡大させ、世界におけるMSFの活動への貢献度を高めてきた功績は大きい。村田新事務局長には、活動現地で培った豊富な知見とリーダーシップでMSF日本をさらに飛躍に導くと期待しています」と述べる。

<略歴>

村田 慎二郎(むらた・しんじろう)
1977年(昭和52年)2月27日生(43歳)三重県出身

<職歴>
2001年4月~2003年12月 サン・マイクロシステムズ株式会社
2005年7月 MSFの海外派遣スタッフとして登録

<MSF活動歴>
2005年7月~2006年5月(10カ月):スーダン(ロジスティシャン)
2006年~2008年(のべ計18カ月):パキスタン、スーダン、ジンバブエ(ロジスティシャン・アドミニストレーター)
2008年~2011年(のべ計33カ月):スーダン、ナイジェリア、イラク(プロジェクト責任者)
2012年5月~2015年2月(のべ27カ月):シリア(活動責任者)
2015年7月~2016年7月(12カ月):南スーダン(活動責任者)
2017年1月~6月(6カ月):イエメン(活動責任者)
2017年10月~2019年3月(17カ月):フィリピン(活動責任者)

<学歴>
2001年3月 静岡大学 人文学部経済学科卒業
2020年5月 ハーバード・ケネディスクール 行政学修士課程修了 

<国境なき医師団について>

民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けている。現在、世界約70の国と地域で、医師や看護師をはじめ4万5000人のスタッフが活動。1971年にフランスで設立、1992年には日本事務局が発足した。日本国内では、援助活動に参加する人材の採用・派遣、人道危機や医療ニーズを伝える証言・広報活動、現地医療活動を支える資金調達などを行っている。(2019年実績)

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