カラアザール

基本情報

どんな病気?

「顧みられない熱帯病」の一つである寄生虫感染症。カラアザール(内臓リーシュマニア症)は、寄生虫感染症としてはマラリアに次いで全世界の死亡例が2番目に多い。発熱、体重減少、肝臓・脾臓(ひぞう)の肥大、貧血、免疫系不全などの症状が現れ、適切な治療を受けなければ、高い確率で死に至る。

流行地域

症例数は、全世界で年間推定5万件から9万件に上る。その90%は、ブラジル、エチオピア、インド、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダンで発生しており、その地の風土病となっている。

感染経路

サシチョウバエに刺されることで感染する。

治療

アジアではリポソーマルアムホテリシンBが第一選択薬となりつつある。治療は短期間かつ安全だが、静脈注射が必要なことが壁となって、地方の診療所ではあまり普及していない。経口薬のミルテフォシンを足して患者の治療計画を最適化することが多い。アフリカでは、現在も5価アンチモン製剤(SSG)とパロモマイシンの併用療法が主流だが、副作用と強い痛みを伴う筋肉内注射を何度も打つ必要がある。他の併用療法研究も進んでいる。

備考

カラアザールとHIVの二重感染患者の治療が課題。どちらも免疫系を攻撃して弱めていくため。
 
国境なき医師団(MSF)は1989年から2020年までに、およそ15万人のカラアザールを治療してきた。そのうち、3分の1余りは南スーダンの患者が占める。

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