国際援助の削減

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国際援助はなぜ削減されているのか

国際援助がいま、危機に直面しています。大きな要因となっているのが、米国政府による国際援助への大幅な資金削減です。

トランプ政権は2025年2月に突如、米国際開発局(USAID)や米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)などを通じて行ってきた多くのグローバルヘルスおよび人道援助プログラムへの支援を凍結。国際援助への支出を大幅に削減するとともに、これらの活動を解体し、スタッフの多くを解雇しました。

加えて、世界保健機関(WHO)からの脱退(※)や Gaviワクチンアライアンス、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)への支援打ち切りなど、国際保健協力の枠組みからの離脱も表明しています。

米国と同様に、英国、フランス、ドイツ、スイス、ベルギー、オランダなどの欧州諸国も、国際援助の削減を発表または実施しています。

国際援助の削減による影響

国際援助の削減は、長引く紛争や貧困、度重なる自然災害などによって弱体化している国や地域の人びと、そこで活動する多くの援助機関に大きな影響を及ぼしています。

栄養治療食や栄養補助食品の不足、予防接種の中止、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)のプログラムや避妊薬などの供給の停止、安全な水の不足、HIVや結核、マラリアなど感染症の治療の中断などが起きています。

例えば南スーダンでは、USAIDなどによる資金削減により医療体制は悪化の一途を辿っており、特に避難民キャンプなどのぜい弱な地域では水や衛生、基礎医療といった重要なサービスが縮小されています。

また、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプでは、米国の資金削減によって複数の医療施設が閉鎖を余儀なくされました。

さらに、チャド、マリ、ニジェール、ナイジェリア、イエメン、アフガニスタン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国など多くの国々において、栄養治療プログラムが停滞し、栄養失調の患者が増加しています。

このように国境なき医師団(MSF)は、多くの人道援助プログラムや援助団体の活動が中止に追い込まれ、人びとが命の危険にさらされている現状を目の当たりにしています。

関連記事:米国発の資金削減の連鎖で人道危機が深刻化──世界各地で広がる援助の空白

国境なき医師団の対応と活動への影響

MSFはこれら一連の資金削減による直接的な影響は受けていません。今も世界70カ国以上で医療・人道援助を続けています。

それでも間接的な影響は出ています。援助活動は単独では行えません。MSFも活動地内外のさまざまな保健組織や人道援助機関と緊密に連携してサービスを提供しています。しかし、MSFが連携するさまざまなプログラムが資金削減によって中断を余儀なくされています。

今後は資金提供の終了と物資の枯渇に伴い、さらに深刻な困難が生じる見込みです。

MSFはこの状況に対応するため、活動内容の拡大や優先順位の見直しなどを行っています。同時に各国政府に対し、グローバルヘルスと人道援助プログラムへのコミットメントを従来通り維持するよう、強く求めています。

MSFが支援するソマリアのベイ地域病院で、栄養失調の治療を受ける女の子。他の施設が閉鎖されたため、この病院には遠く離れた場所からも患者が押し寄せている © Mohamed Ali Adan/MSF
MSFが支援するソマリアのベイ地域病院で、栄養失調の治療を受ける女の子。他の施設が閉鎖されたため、この病院には遠く離れた場所からも患者が押し寄せている © Mohamed Ali Adan/MSF
バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプにあるMSF診療所で診察を待つ人びと。キャンプでは資金削減により一部の医療施設が閉鎖・縮小され、MSFの施設を訪れる患者が急増している Ⓒ MSF
バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプにあるMSF診療所で診察を待つ人びと。キャンプでは資金削減により一部の医療施設が閉鎖・縮小され、MSFの施設を訪れる患者が急増している Ⓒ MSF

写真上:エチオピアのクレ難民キャンプのMSF施設。性暴力ケアの団体が資金削減で撤退し、多くの女性が厳しい状況にある © Gabriella Bianchi/MSF 

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