シリア

© Louise Annaud/MSF

2018年も紛争が続いたシリアでは、継続して数百万人が医療人道援助を切実に必要とする状態に置かれた。

2018年も、民間人、民間人居住地域、民間のインフラは医療機関を含め、直接、砲火にさらされた。死傷者は数千人に上り、多くの人が自宅を追われた。国境なき医師団(MSF)は、シリア国内で活動し続けたが、危険と移動制限のため、活動は厳しく制限された。

交渉によって現地入りできた地域では、病院や診療所を運営するか支援するとともに、避難民キャンプで医療を担った。現地入りできなかった地域では、遠隔地からの支援を続けた。医薬品寄贈、医療器具、救援物資の寄贈、医療スタッフの遠隔研修、治療面の技術指導、資金援助で医療機関の運営費を補った。

シリア北西部では、戦闘のため、数千人がダマスカス、ホムス県、ダルアー県で避難。2018年には、北部のアレッポ県やイドリブ県に移住した。こうした状況下でMSFは、産科医療、一般診療と非感染性慢性疾患(NCD)を移動診療によって実施。救援物資を配布したほか、上下水道を改修した。集団予防接種もキャンプ内外で実施し、医療機関で行われる予防接種も支援した。

イドリブ県とアレッポ県では、複数の病院と診療所で一次医療と二次医療を支援。現地当局と連携しながら、遺伝性の溶血性貧血「サラセミア」の治療などにも対応した。

シリア北東部では、デリゾール県内にある複数地域で戦闘が続いたため、民間人の死傷者はさらに増加。多くの紛争負傷者がシリア北東部にあるMSFの医療機関に搬送されてきた。デリゾール県他地域とハサカ県とラッカ県では事態が鎮静化の様子を見せていたため、ラッカ県とデリゾール県の激戦から避難していた人びとが自宅に帰還し始めた。だが、かつての居住地域では、医療インフラの大部分が破壊された上に、都市や村全体に地雷や不発爆弾が仕掛けられたままの状態が続いている。そのため、2018年にハサカ県とラッカ県では、地雷や仕掛け爆弾などによって負傷した患者は数百人に上っている。

ハサカ県、ラッカ県、デリゾール県では医療機関の修復を支援。このほか多岐にわたる診療を支援した。内訳は外科、理学療法、産科医療、リプロダクティブ・ヘルスケア(性と生殖に関する医療)、心のケア、小児科、予防接種、血液銀行、NCD治療。これらも現地当局と連携して行った。ラッカ県のラッカ市とタブカ市では、一次医療と心のケアを担い、リーシュマニア治療活動も実施した。タル・アブヤド郡立病院では遺伝性の溶血性貧血「サラセミア」治療活動も実施。MSFのもとで2600回の輸血が行われたほか、226人の患者がキレート療法を開始した。

避難民キャンプでは産科医療と心のケアを担った。また、予防接種を実施、マットレス、毛布、衛生用品キットを配布し給排水・衛生設備を設置した。

ラッカ県内にある国立病院も一部について修復を開始し、タル・アブヤド郡立病院では小児科、産科、外科病棟の支援を続けている。またラッカ県内各地で集団予防接種の支援や実施を手がけた。

MSFは2009年にシリアで初めて活動。2018年にはスタッフ1081人が活動し、4700万ユーロ(約61億2880万円)を支出した。

最新活動実績(2018年)

外来診療件数
569,300
定期的な予防接種を受けた人数
22,500
帝王切開を含む分娩介助件数
17,800

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