被災地で命を守る
トルコ・シリア地震 国境なき医師団の緊急医療援助
2023.03.15

地震発生以来、トルコとシリアでは5万人以上が命を落とした。十数万人が負傷し、多くの人びとが家を失っている。MSFでもスタッフ2名が亡くなったほか、家族や愛する人を失った人も多い。およそ1カ月が経ち、捜索・救助活動の段階は終了した。しかし、被災地の人びとのニーズは依然として深刻だ。(2023年3月15日)
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寄付をする【緊急チーム募金について】
国境なき医師団では、トルコ・シリア地震緊急援助に向けた寄付の受付を「緊急チーム」募金より行います。自然災害、紛争の激化、感染症の大流行など、一度に多くの人びとの命が危険にさらされる緊急事態に即座に対応するため、国境なき医師団には高度な専門性をもつ「緊急チーム」があり、チームの活動を支えるための「緊急チーム」募金へのご協力を通年でお願いしています。
このたびのトルコ・シリア地震の緊急援助に必要な活動資金は、「緊急チーム」募金から充当します。
国境なき医師団の対応は?

現在の活動(2023年3月15日時点)
シリア
- 2月26日、MSFの物資を積んだトラック15台がシリア北西部に入国
- シリア北西部では、やけど治療ユニットを含む数カ所の病院、一般診療所、救急車による搬送を支援
- シリア北西部の各地のキャンプで、移動診療や非感染性疾患の診療所を支援。北西部一帯のキャンプ周辺では、水・衛生活動も実施
- シリア北東部では、一般診療所、非感染性疾患プログラム、移動診療の外傷ケアを運営
- アルホール難民キャンプでは、安全な飲料水を供給するための浄水場を運営
- 子どもの死亡率の高さに対応するため、B型インフルエンザの短期援助活動を支援
- イドリブ県でこれまでに5667件の診察を行い、約3万1000点の救援物資を配布
- イドリブ県で4つの移動診療所を運営し、被災者に一般診療や傷の手当、慢性疾患のケア、リプロダクティブ・ヘルスケア(性と生殖に関する医療)、心のケア、子どもたちへの予防接種などを実施
- 2月19日に、物資を積んだMSFのトラック14台がトルコ南部からハマム越境地点を通ってシリア北西部に入国。被災者のためのテントや防寒具1296世帯分を運搬
- 2月6日から12日にかけて、MSFが支援する病院で7600人以上の負傷者を治療。約1000人の死亡を確認
- イドリブ、アザーズ、アフリン、マレ、バブ・アル・ハワなどの市町村にある 38カ所の病院と診療所に、けがの治療に必要な緊急医療キットや医薬品、毛布などを提供
- アレッポ県ジンデリスでは、2月13日から避難民のケアを目的とした移動診療所を開設。初日だけで子どもや妊婦、けが人など119人の患者を診療し、心のケアも行った。また、パートナー団体と協力して、衛生用品や冬用の衣類、毛布などが入った515個以上のキットを、ジンデリスの被災者やアザーズとマレ、その周辺の村の受入センターにいる家族に配布
- イドリブ県とアフリンでは、パートナー団体とともに、毛布、マットレスなどの家族用キットを700以上配布。また、避難民のための受入センターで、個人用の毛布7700枚、衛生キット1100個、テント50張り、追加のマットレス550枚を配布

震災と内戦という二重の苦難の中にあるシリア北西部。およそ12年に及ぶ内戦で不安定な状況に置かれた200万人に加え、18万人以上が震災により避難を余儀なくされた。MSFは震災前からシリアで活動を行っており、医療機関とのネットワークを通じて、現地で緊急対応を進めている。
トルコ
・これまで、ガジアンテプ、マラティヤ、アドゥヤマン、ハタイ、エルビスタン、ヌルダウ、キリス、イスラヒエ、デフネ、サマンダー、アンタキヤ、ナーリチア、パザルジク、イスケンデルン、カフラマンマラシュ市などで活動
・ 南部アドゥヤマンではトルコ医師会と協力し、2月15日に衛生用品や電気ストーブ、冬用の肌着、おむつ、ベビーフードなどの物資を、被災者のための避難キャンプで50世帯以上に配布

震災による甚大な被害で、推定100万人*の人びとが家を失ったトルコ。公式発表によると、3月4日現在で300万人以上が家を追われ、そのうち150万人以上がテント生活を余儀なくされている。極寒の中で避難生活を送る人びとへ、緊急の支援が必要とされている。
*世界保健機関(WHO)
いま、現地では何が──? 最新活動ニュース
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シリア北西部で4つの移動診療所を運営し、救援物資を配布している。しかし、いまも満たされていないニーズは多いと現地のスタッフは訴える。 -
トルコで救援物資や食料を提供 寒さの中で避難生活を送る人びとのもとへ
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【2023年2月21日公開】
自らも被災しながら、医療者として混乱の医療現場向かったシリアの助産師。彼女が経験した震災直後の24時間を伝える。 -
シリア北西部に対する援助物資搬入の急拡大を要請
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MSFの物資を積んだトラックが、トルコ南部からシリア北西部に入国。戦争による人道ニーズと地震による新たなニーズの双方に対応するためには──。 -
「病院は負傷者と死者であふれている」 壊滅的被害のシリア北西部、医師からの報告
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12年近くに及ぶ内戦、そして震災──。「二重の危機」の中で生きる人びとの思いと、MSFが進める活動を、シリア出身のスタッフが伝える。 -
「大地震、どう緊急援助を行う?」アクセスが困難なシリアで活動する国境なき医師団
【2023年2月9日公開】
現在、シリア北西部で緊急援助を行うMSF。内戦の避難民が多く暮らす地域が被災し、援助ルートも限られる中、いま必要な支援とは──。 -
トルコ・シリア地震──MSFはニーズ急増に対応規模を拡大
【2023年2月7日公開】
2月6日早朝に発生した大地震を受け、MSFはシリア北西部で活動していたチームを動員し、被災地で高まる医療ニーズへの対応を開始した。
#トルコ・シリア大地震 により多くの人命が失われた痛ましい悲劇からわずか2週間、また大きな地震が発生しました。シリア北西部とトルコ南部に暮らす人びとの多くは既に愛する人や住む家、生活手段を失っており、新たな不安が大きくのしかかっています。
— 国境なき医師団日本 (@MSFJapan) February 21, 2023
(次へ) pic.twitter.com/5MdK7HCXfj
人道危機が続くシリア
2011年から内戦が続くシリア。1460万人が人道援助を必要とし、国内避難民の数は世界最多の690万人に達した*。MSFの活動は情勢不安などにより大きく制限されているが、アクセス交渉が可能な北西部や北東部では、病院や保健センターを運営・支援し、避難民キャンプで医療を提供している。
*国連難民高等弁務官事務所「グローバル・トレンズ・レポート 2021」
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トップ写真:シリアの避難民受入センターで、MSFは救援物資の配布を行っている=2023年2月18日 Ⓒ MSF
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