ミャンマー地震:被災地での緊急対応を完了──復興に向け安全な水の供給などの支援は継続

2025年08月18日
ミャンマー、マンダレーで国境なき医師団(MSF)が設置した井戸から水をくみ上げる女性=2025年7月22日 Ⓒ MSF
ミャンマー、マンダレーで国境なき医師団(MSF)が設置した井戸から水をくみ上げる女性=2025年7月22日 Ⓒ MSF

ミャンマー中部で3月28日に発生した大規模な地震は、各地に壊滅的な影響を与えた。国境なき医師団(MSF)は発災後3カ月にわたり、被災地で緊急援助活動を実施。MSFは8月、マンダレー、ザガイン、シャン州南部(インレー湖周辺)など、被害の最も大きかった地域における緊急対応を終了した。

地域の衛生環境の維持や日常生活の支援、住居の再建支援を目的とした救援物資の配布は完了し、並行して実施していた心のケアや健康意識の向上を図るグループセッションも活動を終えた。

3カ月にわたるMSFの対応

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、地震の影響を受けミャンマー全土で3800人が死亡、5100人が負傷し、116人が行方不明となった。およそ20万7000人が避難を余儀なくされたという。また、住宅5万5000棟以上、学校2600校、医療施設300カ所が被害を受けた。給水源を含む重要インフラも破壊され、多くの地域で人びとは生活に不可欠な基本サービスの利用が難しい状況に置かれた。

清潔な水と適切な衛生環境が不足すると、衛生状態が悪化し、水系感染症が流行するリスクが高まる。特に人が密集する環境ではその傾向が顕著だ。

シャン州インレー湖での救援物資配布の様子=2025年4月22日 Ⓒ MSF
シャン州インレー湖での救援物資配布の様子=2025年4月22日 Ⓒ MSF


MSFは3カ月にわたる緊急対応の中で、ニーズに対応するため、救援物資6042キットを配布し、シェルター2200キットを提供。さらに、井戸の掘削278カ所(6カ所は現在も作業中)、浄水システム6基を設置した。また、病院内の手洗い場やトイレ、廃棄物処理施設を含む30以上の衛生設備を整備した。薬剤耐性結核患者への支援としては、栄養治療食3782個を提供した。

救援物資の配布 6042キット
シェルターの配布 2200キット
井戸の掘削 278カ所
栄養治療食の配布 3782個

被災地で復興支援を継続

緊急対応は終了したものの、MSFは被災地にとどまり、地域の回復と早期復興の支援を続けている。マンダレーおよびシャン州南部のニャウンシュエでは、地震によって水と衛生のシステムが深刻な被害を受け、多くの住民が安全な水へのアクセスを失った。MSFのチームは、持続可能かつ安全な水の供給体制の復旧に取り組んでいる。

ニャウンシュエのインレー湖周辺では、ワット・タキン僧院の水源からケイラー村まで水道管を敷設する工事が進められており、9月の完成を予定している。これにより、5000人以上の住民に飲料水が供給される見込みだ。

シャン州南部ニャウンシュエで掘削作業に取り組むMSFスタッフ Ⓒ MSF
シャン州南部ニャウンシュエで掘削作業に取り組むMSFスタッフ Ⓒ MSF


今回の緊急対応の中で、MSFは国内外の関係機関と緊密に連携し、リソースの最適化、支援の効果最大化、サービスの重複防止に取り組んできた。災害にもかかわらず、地域社会が示した連帯は目覚ましく、地震による直接的な被害を受けていない人びとは、すべてを失った人びとを支援するために立ち上がった。

緊急対応とは、ただ目の前のニーズに応えるだけでなく、地域に根ざした持続可能な解決策を提供し、長期的に住民の負担を軽減することでもある。そのためMSFは、安全な水の持続的な供給、適切な仮設住宅、心のケアなど、地域の復興に不可欠な基盤づくりに重点を置いている。

僧院に開かれたMSFの移動診療で診察を受ける親子=2025年4月22日 Ⓒ Lena Pflueger/MSF
僧院に開かれたMSFの移動診療で診察を受ける親子=2025年4月22日 Ⓒ Lena Pflueger/MSF

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