人道危機の現場から ~写真で振り返る2021年【後編】~
2021年12月28日2021年にMSFが携わった1年間の活動を、写真とともに振り返る本記事。後編では、紛争や迫害によって故郷を追われた「難民・国内避難民」、人びとの命と暮らしを奪う「自然災害」、そしていまだ世界中で猛威を振るう「新型コロナウイルス感染症」という3つのテーマに焦点を当てる(前編はこちら)。
難民・国内避難民:劣悪な環境で強いられる生活
ロヒンギャ
ミャンマー政府が行ったロヒンギャの人びとに対する大規模軍事作戦から4年。現在隣国のバングラデシュで避難生活を送るロヒンギャ難民の数は約90万人に上り、基本的な権利や医療サービスが制限されている。3月には難民キャンプで大規模な火災が発生し、MSFが運営していた診療所も全焼した。

地中海
MSFは、アフリカや中東からリビアを経由して欧州を目指し、命がけで地中海を渡る移民・難民の海難捜索救助を行っている。今年の初めから11月までの死者・行方不明者は1200人を超え、救助された人びともリビアで受けた暴力や虐待から、極度のストレスと心的外傷を抱えている。

© Virginie Nguyen Hoang/ HUMA

自然災害:迅速な救命・救急活動と被災者ニーズの把握を
地震(ハイチ)


火山噴火(コンゴ民主共和国)
アフリカで最も危険な火山の一つと言われる、コンゴ民主共和国のニーラゴンゴ山が5月22日に噴火した。火山のふもとの北キブ州ゴマからは約40万人が周辺地域へ避難。貯水池や水道管の損壊により50万人以上が飲み水を確保できなくなった。


干ばつ(マダガスカル)
東アフリカの島国マダガスカルでは、南部の砂漠地帯で3年連続の干ばつによって作物の収穫が激減し、住民は食料不足と飢えに苦しんでいる。最も被害の大きい地域では5歳未満の子どもの28%が急性栄養失調、さらにそのうち3分の1は重度栄養失調に陥っており、MSFは急性栄養失調のスクリーニングと治療、基礎医療を担っている。


© iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo
新型コロナウイルス感染症:闘いはいまも続く
MSFは2021年も新型コロナウイルス感染症の対応に当たり、過密状態のキャンプに暮らす移民・難民など、感染のリスクが高く、医療へのアクセスが限られた環境に暮らす人びとを重点的に支援した。


三輪タクシーに乗って人びとに感染対策を呼び掛けた © Premananda Hessenkamp

MSFは、ワクチンや検査、治療薬など新型コロナウイルス関連の医療ツールが公平に普及するよう訴えている
© Christopher Lee