50万人が飲み水得られず コンゴ、火山の噴火で援助拡大が急務
2021年06月07日アフリカで最も危険な火山の一つと言われる、コンゴ民主共和国(以下、「コンゴ」)のニーラゴンゴ山が5月22日に噴火した。国連人道問題調整事務所によると、5月31日までに31人の死亡が確認されている。
火山のふもとの北キブ州ゴマからはすでに約40万人が周辺地域へ避難。貯水池や水道管の損壊により50万人余りが飲み水を確保できずにいる。いま現地で求められる支援は何か。被災地から伝える。
避難生活にコレラの脅威が迫る
「マットレスなどを抱え、ゴマから徒歩や車で避難する人の流れが絶え間なく続いていました。彼らが目指したのは、25キロほど西のサケやルチュル、ミノバといった場所です」。そう話すのは、国境なき医師団(MSF)のコンゴにおける現地活動責任者を務めるマガリ・ルドーだ。国境を越え、隣国のルワンダに脱出した人もいるという。
北キブ州全域で医療援助を展開
MSFは噴火で被災したゴマで人びとの衛生環境を守るため、避難者用のトイレ設置にも取り組んでいる。また、北キブ州立病院の状況を改善するため、マットレス100枚を寄贈。さらに、溶岩流から6キロほど離れた場所に救急施設を新たに設置した。
約2万5000人が身を寄せる北キブ州中部のルチュルでは、地元病院と2つの診療所を支援。救急症例の大半は避難時に発生した交通事故に関連するものだが、火山性ガス中毒の症例もあり、頭痛・目の痛み・呼吸障害などの症状を訴える人もいる。
北キブ、南キブ、マニエマの3州では、各州の保健省と連携し、MSFが支援中の12のプロジェクトで患者が受ける影響を最小限に留められるよう動いている。4つの保健地区で活動しているイトゥリ州でも、ゴマ空港の閉鎖により、医療機器や医薬品、人員の輸送に影響を受けるのが必至だ。
MSFは、噴火から逃れた人びとへの緊急援助を提供するとともに、既存の医療援助を継続できるよう、輸送経路の見直しをはじめとした検討を重ねていく。