ミャンマー:地震から1カ月──医療体制にも深刻な影響 いま必要な援助とは
2025年05月02日
すでに危機の中にあったミャンマーの人びとの状況は、地震によりさらに深刻となった。長引く武力紛争と政治情勢によりミャンマーの医療体制は著しく損なわれており、人びとが医療を受けることは難しい状況だ。地震の影響を受けたすべての人びとは、紛争のどちらの側にあるかにかかわらず、人道援助を受ける必要がある。
国境なき医師団(MSF)は、地震発生後、被災地に赴き調査を実施。広大な被災地で発生するさまざまな課題に多様かつ迅速なアプローチで対応し、人びとのニーズに合わせた活動を続けている。地震発生から1カ月。いま現地に必要な援助とは──。被災した人びとの声とともに伝える。

ミャンマーにいま必要な援助とは?
水と衛生
住居
仮設住居に暮らす避難民の人びとの状況は、モンスーンやサイクロンの季節が近づくにつれ、悪化する可能性が高い。適切な住居の整備が緊急に必要だ。
医療
医療施設の損壊と電力不足は、水系感染症のリスクも高まる中、人びとの医療アクセスに深刻な影響を与えている。また、ミャンマーには十分な訓練を受けた医療従事者がいる一方で、医療物資は不足している。
医療体制はあらゆるレベルで深刻な影響を受けており、特に二次医療において顕著です。手術室を含め、病院は機能していません。緊急手術だけでなく、帝王切開のような必要不可欠な手術もできないのです。
エイドリアン・グアダラマ ミャンマーにおけるMSFのオペレーション・マネジャー

保護と心のケア
家族の離別、性別・ジェンダーに基づく暴力、心理社会的ストレスは、特に仮設キャンプで暮らす女性や子どもを保護する際の重要な懸念点となっている。
ミャンマーでのMSFの活動は?
現在MSFのチームは、安全な飲料水の提供、衛生設備や避難所の設置、救援物資の配布、心のケアの支援および医療支援に重点を置き、援助活動に取り組んでいる。また、一部の地域では引き続きニーズ調査を行っている。
心のケア
MSFは、マンダレーにおいて200人以上のボランティアスタッフ(教授、教師、医学生、医師、看護師を含む)に心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド=PFA)の訓練を実施。現在、ボランティアスタッフは心理的応急処置、グループセッション、カウンセリング、子どものための活動などに取り組んでいる。

水と衛生

移動診療

健康推進と健康教育活動
救援物資などの配布
MSFは、マンダレーにおいて救援物資(ライター、毛布、防水シート、蚊帳、水タンク、石けん、タオル、歯ブラシ、歯磨き粉、生理用ナプキン、バケツ、ヘアブラシ、塩素、紙おむつが入ったキット)2070セットと蚊帳600枚を配布。シャン州南部のインレー湖では約1300枚の蚊帳を配布し、竹や木、作業道具といった避難所の建設に必要な物資の提供も行った。
医療施設への支援
MSFは、地震で被害を受けた病院の再建を支援。マンダレーのタダウ病院では、患者を収容する大型テントを寄贈し、病床10床を提供した。

被災した人びとの声
「ただ、夫に戻ってきてほしい」
マー・ウィン・ウィンさん 移動診療の患者
「最初は地雷か爆弾かと思った。とても聞き覚えのある音だったから」
「これほど激しい地震を経験したことはない」
キン・ミョー・カインさん 移動診療の患者の父親
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