「雨が降らなければ死んでしまう──」 3年連続の干ばつに襲われたマダガスカル、深刻な食料不足が人びとの命を脅かす

2021年04月27日掲載

子どもの体重を測るMSFのスタッフ © MSF子どもの体重を測るMSFのスタッフ © MSF

「このまま雨が降らなければ、私たちは死んでしまいます」こう訴えるのは、東アフリカの島国、マダガスカル南部の砂漠地帯にあるカピラ村の村長、マンディルソアさんだ。

この一帯では3年連続の干ばつによって作物の収穫が激減し、住民は現地の言葉で「ケレ」と呼ばれる食料不足と飢えに苦しんでいる。加えて新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響による観光関連の仕事の減少、12月から続く激しい砂嵐などの要因が重なり、人びとの栄養状態は悪化の一途をたどっている。

世界食糧計画(WFP)とマダガスカル政府によると 、最も被害の大きかった3つの地域では、5歳未満の子どもにおける中程度および重度の急性栄養失調児の割合は10%を超えた(2021年1月時点)。これは、東アフリカ、南アフリカの中で2番目に高い数字だ。

サボテンの実や食用の葉っぱなど、例年収穫の少ない時期に食べる食料も不足しているため、多くの人がWFPや国からの配給で命をつないでいる。

被害の大きい地域で緊急援助を開始

この危機に対応するため、国境なき医師団(MSF)は3月末から被害の大きいアンボアサリー地区にある3つの地域で、急性栄養失調の検査と治療を行う移動診療所を設置した。援助場所の選定にあたっては、地理的に孤立していること、医療へのアクセスが悪いことなどが考慮された。

これまでにMSFは4674人のスクリーニングを行い、5歳未満の831人の子どもを含む1136人の患者を治療。子どもの患者の約3分の1が重度の急性栄養失調、3分の2が中等度の急性栄養失調に陥っている。

MSFの緊急コーディネーターであるジュリー・ルヴェルゼはこう説明する。「もともと脆弱なコミュニティでは、あらゆるものが不足しています。人びとにとっては食料や水の確保が最優先であるため、健康を考えることは二の次になってしまいます」 

アンボアサリー地区から他の活動地へと向かう道 🄫 MSFアンボアサリー地区から他の活動地へと向かう道 🄫 MSF

ラノベ地区へ向かうMSFのスタッフたち。ときには荷物を担いで川を渡ることも。 🄫 MSFラノベ地区へ向かうMSFのスタッフたち。ときには荷物を担いで川を渡ることも。 🄫 MSF

健康悪化の一因は不衛生な水

MSFの緊急医療コーディネーター、アン・ティルケンズは言う。「栄養失調になると免疫力が低下し、他の病気にかかりやすくなります。腸内寄生虫による病気や下痢、皮膚病などのほか、呼吸器系の感染症、結膜炎も多く見られます。いま特に多いのは、マラリアの患者さんです」

これらの病気を引き起こす原因の一つは、不衛生な水だ。飲み水は雨水と川の水しかなく、雨が降らないこの時期には、人びとは水をくむために川まで何時間もかけて歩かなければならない。

この状況を受け、MSFは医療活動と並行しながら水と衛生の問題を改善する活動を開始。水を入れる容器の配布、給水所のハンドポンプの修理、給水車の手配などを行った。

前述のルヴェルゼは語る。「アンボアサリー地区に見られる深刻な食料危機は、栄養失調の治療だけで改善することはできません。現地の人びとが自分たちで食料をまかなえるようにすることが必要です」 

MSFがラノベ地区で運営する移動診療所 🄫 MSF MSFがラノベ地区で運営する移動診療所 🄫 MSF

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