人道危機の現場から ~写真で振り返る2021年【前編】~
2021年12月27日世界各地で医療・人道援助活動を行う国境なき医師団(MSF)は、今年も紛争地、自然災害の被災地、難民キャンプなど、過酷な環境下で医療を受けられずにいる人びとに援助を届けてきた。
本記事では、MSFが携わった1年間の活動の記録を、前・後半にわたり写真で振り返る。前半はニュースやメディアで報道された国や地域の人道危機に着目。タリバンが政権を掌握したアフガニスタン、長年続く内戦の結果、“第二次世界大戦後最悪の人道危機”と言われるシリア、イスラエル軍による大規模な空爆が行われたパレスチナ・ガザ地区、そして武力紛争で数万人が避難を余儀なくされたエチオピアでの活動を紹介する。(後編はこちら)
アフガニスタン:医療崩壊の危機
今年8月にタリバンが復権したことを受けて、欧米など国際社会からの援助が停止。資金不足により多くの医療機関が閉鎖を余儀なくされたほか、重度の栄養失調に陥る子どもが急増した。
シリア:戦闘、避難、苦境の10年
2011年の平和的な反政府デモから、泥沼の内戦へと突入したシリア。10年がたったいまも、1300万人以上が国内外で避難生活を余儀なくされている(国連難民高等弁務官事務所発表、2021年3月時点)。劣悪な環境に暮らす人びとを、水不足や新型コロナウイルス感染症がさらなる苦境に追い込んでいる。
パレスチナ・ガザ地区:一般市民を襲う空爆
5月、パレスチナ自治区・ガザ地区でイスラエル軍が空爆を実施。子どもを含む死傷者は数百人に上り、至るところで家や建物が破壊され壊滅的な状況となった。この爆撃でMSFの診療所も被害を受けた。
エチオピア:続く医療への攻撃
2020年11月4日、エチオピア北部のティグレ州で武力衝突がぼっ発し、暴力や略奪から逃れるため、数万人がまた難民や国内避難民となって避難を余儀なくされた。6月には、活動中だったMSFのスタッフ3名が殺害される事件が発生。これに対し、MSFは医療および人道援助従事者への攻撃を強く非難する声明を出した。