パレスチナ・ガザ地区:「昼夜を問わず続く空爆、みな恐怖におびえ──」その日、現地のスタッフが目にした惨状
2021年05月25日5月10日から18日まで続いた、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への空爆。20日未明には、イスラエル政府とガザ地区を実効支配するイスラム組織による停戦合意がなされたものの、18日時点での負傷者数は1400人余り、死者数は61人の子どもを含む213人に上った。
国境なき医師団(MSF)のプロジェクト・コーディネーターを務めるアイメン・アル・ジャロウシャは、ガザで20年暮らすパレスチナ人だ。家を破壊され、家族と共に避難を余儀なくされたジャロウシャが、自身の体験と思いを語った。
イスラエルによる爆撃予告、その後全てが燃えた
私は2008年、2014年とイスラエルによる軍事作戦を経験しましたが、今回直面した恐怖はこれまでとは比べものになりません。
空爆は昼夜を問わず続き、道路や民家など全てが標的にされました。ガザは長さが40キロメートルほどしかないので、どこに爆弾が落ちても爆発音が聞こえてきて、私たちは常に恐怖におびえていました。
妻、母、子どもたちと一緒に住んでいたガザ地区中心部の団地は、14日の空爆で被害を受けました。ビルの管理人によると、イスラエル当局から電話があり、ビルを爆撃するので住民は全員避難するように通告されたそうです。こうした連絡は、一般的に攻撃が始まる数分から1時間くらい前にきます。
急いで8階建ての団地の階段を駆け降りたとき、「自分の育った思い出の場所が壊されるのを見たくない」と妻が言ったのを覚えています。爆発音がして、粉じんが舞うのが見えた直後、全てが燃えていました。
これが私たちの宿命なのか──
5月15日の夜から16日にかけて、MSFの事務所からわずか数メートルの場所がイスラエル軍に攻撃され、数十人が命を落としたほか、MSFの診療所も空爆の被害を受けました。本当にショックでした。爆弾や砲弾の破片で女性や子どもを含む大勢の人が負傷し、外科手術や集中治療が必要とされています。
これがガザ地区に住む私たちパレスチナ人の宿命なのでしょうか。いつの日か戦いが終わり、普通の暮らしを取り戻せる日が、くるのでしょうか──。