9歳児の目を襲ったドローン攻撃──拡大するスーダン内戦の市民被害、2週間で167人治療
2026年03月03日
「その男の子の目は、爆弾の破片で重傷を負っていました」
内戦が続くスーダン各地で、交戦する二つの勢力の無人航空機(ドローン)が、人びとの居住地域や重要インフラを無差別に攻撃している。
2月に入り、国境なき医師団(MSF)はわずか2週間で、ドローンを含む攻撃による負傷者167人を治療した。
MSFは「こうした攻撃が民間人や人道援助従事者を重大な危険にさらしている」と警告し、速やかな保護を求める。
目に破片、指は切断
2026年2月6日には、スーダンの隣国・チャド東部ティネにあるMSFの支援病院で、RSFにドローン攻撃を受けたスーダン西部の負傷者29人を受け入れた。
この攻撃で少なくとも10人が死亡した。以降も、攻撃による負傷者が病院には頻繁に搬送されている。
ティネのMSFプロジェクト医療コーディネーター、バージニア・モネティは、治療した患者の一人についてこう語る。
私たちが受け入れた患者の中には、9歳の男の子がいました。目は爆弾の破片で重傷を負い、顔は広い範囲で骨折。指は2本切断していました。彼は医療施設に着くまでの長い間、激しい痛みに苦しんでいました。治療を尽くましたが、彼には重い障害が残る可能性が高いです。より高度な治療をするため、チャドの首都ンジャメナへと搬送しました。
ティネのMSFプロジェクト医療コーディネーター バージニア・モネティ
援助活動にも影響
2月15日、隣国チャドとの国境近くにある西ダルフール州アディコングで、国軍のドローンが燃料の販売エリアを襲撃した。多くのけが人が出て、MSFはチャド東部アドレで子ども3人を含む市民18人を受け入れた。
また、スーダン中部に位置するダルフール州ザリンゲイでも今月、人びとが複数回にわたって攻撃された。MSFは負傷者29人を治療し、このうち8人以上は民間人だった。
攻撃は、人道援助活動にも影響を与えている。
MSFは2025年11月3日、北ダルフール州でドローン攻撃に遭い、コルノイ、ティナからの撤退を余儀なくされた。現地の人びとは必要不可欠な医療を受けられずにいる。
MSFの緊急対応責任者、エスペランサ・サントスはこう指摘する。
スーダンの内戦では、前線から遠く離れた場所でもドローンが使われています。こうした攻撃は物資の輸送経路を妨げ、民間インフラを破壊し、特に戦闘が激しい地域を孤立させるような状況になりかねません。
MSF緊急対応責任者 エスペランサ・サントス
他にも、北コルドファン州で2月6、7日の2日間、ドローンが人道援助の車列、避難民を運ぶ車両、バスターミナルを攻撃したと報告されている。ここはMSFが最近になって緊急対応を開始した地域だ。
さらに、南コルドファン州のカドゥグリとディリングでは、2月の最初の2週間で、複数の医療施設がドローン攻撃を受けたと報じられている。
「民間人の速やかな保護を」
MSFはこの状況に深い危機感を抱いている。
市民が暮らす地域や人道援助のインフラが尊重されなければ、私たちは安全に活動できず、必要不可欠な支援を届けられない。現地では膨大な人道援助のニーズがあり、さらなる速やかな支援拡大が求められているのにもかかわらず、だ。
サントスはこう強調する。
ドローン攻撃は対象を軍事関連に絞っていないうえ、同じ地点を執拗(しつよう)に襲っています。その結果、国際人道法を公然と無視する形で、子どもを含む多くの民間人が殺害され、重傷を負っています。武装勢力は、市民や人道援助従事者をいますぐに保護しなければなりません。民間人は常に攻撃の対象から外されなければならないのです。
MSF緊急対応責任者 エスペランサ・サントス




