国境なき医師団、前線近くで緊急対応を開始──スーダン:北コルドファン州
2026年02月13日
国境なき医師団(MSF)は、スーダン・北コルドファン州の州都オベイドにある主要な避難民キャンプで、水と衛生分野の援助活動を開始した。現在、MSFは市内に加え、コルドファン地方の他地域でも医療活動を拡大する準備を進めている。
スーダンでは各地で暴力が激化しており、国の中南部に位置するコルドファン地方は、依然として最も不安定で戦闘が激しい地域の一つだ。さらに、人道援助団体にとってアクセスが極めて困難な地域でもある。こうした状況の中、オベイドには暴力から逃れてきた多くの人びとが避難している。
しかし、現地の生活環境は厳しい。医療へのアクセスは限られ、安全な飲料水も不足している。急増するニーズに対し、衛生設備もまったく追いついていないのが実情だ。
500人が一基のトイレを共有
MSFは1月下旬、オベイドで緊急援助活動を開始した。対応の第1段階として、市内の主要な避難民キャンプで水と衛生分野の改善に取り組んでいる。
「オベイドでは多くの住民が町を離れましたが、現在は紛争のさまざまな局面でここに逃れてきた数万人の避難民を受け入れています」
オベイドにおけるMSFのチームリーダー、アル・タイエブ・マフムード・マハメドはそう語る。
「前線は40キロにも満たない距離にあり、市内にはほぼ毎日のように新たな避難民が到着しています」
人びとは戦闘が迫る中で深い恐怖を抱えていますが、それでも暴力や略奪、暴行にさらされていた元の場所よりは安全だと感じています。
MSFのチームリーダー アル・タイエブ・マフムード・マハメド
MSFの調査によると、オベイドの主要な避難民キャンプであるアルミーナ・アル・ムワハドには、2026年1月末時点で約2万5000人が暮らしている。現地では、居住者数に対して支援が著しく不足している状況が確認された。衛生環境は深刻で、時には500人が1基のトイレを共有している。
また、安全な飲料水へのアクセスも限られ、1人あたり1日わずか3リットルしか確保できていない。このような状況は感染症の流行リスクを大幅に高めており、特に子ども、妊婦、高齢者が危険にさらされている。
MSFはキャンプ内の水と衛生サービスを強化するため、追加のトイレ建設や給水タンクの設置を進めているほか、保健省のボランティアを通じて地域に根ざした形で、病気や栄養状態の調査も支援している。
また、人びとのニーズはすでに不安定な現地の医療体制を大きく上回っていることから、MSF は地元当局と連携し、キャンプ内に加えてオベイド教育病院での医療活動の提供もサポートしている。
人道ニーズを満たすため、援助拡大が急務
MSFが現在オベイドで行っている対応は、市内へのアクセスを確保するため、地方・連邦当局と数カ月にわたり協議を重ねてきた結果として実現したものだ。
スーダン東部で MSFの現地活動責任者を務めるマルタ・カソルは、現在の状況について、「アクセスの制限により、紛争の大半の期間はオベイドでの活動が不可能でしたが、ようやく現地で援助を開始できたことに感謝しています」と話す。
MSFは2025年7月、コレラの流行を受けて保健省を支援するため、研修や技術的助言を提供する遠隔対応を開始した。さらに、昨年9月に現地で実施した調査では、地域に深刻な人道ニーズが存在することが明らかになり、はしかやコレラの患者も確認している。
戦闘が続き、避難する人びとが増える中、スーダン全土の人道ニーズは依然として非常に大きく、ほとんど満たされていません。
MSFの現地活動責任者 マルタ・カソル
MSFが現在行っている対応は重要な一歩ではあるものの、さらなる命の損失や人びとの尊厳の低下を防ぐためには、はるかに多くの支援が緊急に求められている。
カソルは次のように続ける。
「MSFのチームは現在、オベイドでの援助拡大に加え、状況の変化やアクセスの可否に応じて、コルドファンの他地域でも調査と対応を行う準備が整っています。例えば今、南コルドファン州で医療援助を提供できるチームも待機しています」
スーダンでのMSFの活動
国際移住機関(IOM)によると、2023年4月15日にスーダンで紛争が始まって以来、1500万人以上が家を追われ、そのうち1150万人が国内で避難し、危機のピーク時には約400万人が国境を越えて避難した。




