ライフラインの寸断、食料不足──紛争下のエチオピア北部 現地からの報告

2021年01月22日
戦闘によって破壊された自宅を見つめる村人 © Eduardo Soteras Jalil
戦闘によって破壊された自宅を見つめる村人 © Eduardo Soteras Jalil

2020年11月4日にエチオピア北部のティグレ州でぼっ発した、政府軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)の武力衝突。少なくとも9万人もの住民が自宅を追われ、うち約5万人が難民となって隣国スーダンへと逃れたが、その一方で、州内の他の地域に避難した人や、戦火に行く手を阻まれ、逃げようにも身動きが取れずにいる人も少なくない。

ティグレ州各地で見られる危機的状況を受け、国境なき医師団(MSF)は2020年12月中旬から、州内の避難民を対象とした援助活動を開始した。

ティグレ州における援助活動

東部では、ティグレ州第2の都市、アディグラトの病院を支援。この病院は周辺地域に住む100万人余りの人びとの医療を担っていたが、紛争の影響で一部機能を失っていた。そこでMSFは、アディグラトから120キロ南にある州都メケレより酸素ボンベと食料を輸送する一方、メケレ市内にあるアヴデル病院へと患者を引き継いだ。

12月23日以降は、複数の医療チームを立ち上げ、アディグラト病院での救急処置室、内科・外科・小児科・産科病棟の運営にも携わり、5歳未満児の外来診療も実施した。 

中部ではアドワ、アクスム、シレなど3つの町とその周辺で、一部の避難民に基礎医療を提供。また保健医療施設に対し、薬、医療用酸素、患者の食料といった必須物資を支援した。この地域では、300万~400万人が基礎医療を受けられない状況にあると見られている。

北西部の町マイ・カドラとフメラでも複数の診療所をサポートし、医療、給排水・衛生設備、衛生用品の提供および仮設トイレの設置を通じて避難民2000人を支援した。

南部では移動診療を展開するとともに、保健省のスタッフと協力してヒワネとアディ・ケイヒという2つの町にある診療所の一部を復旧。12月18日から1月3日までの2週間余りで、1498件の診療を行った。
アディグラトの病院に酸素ボンベを運び入れるスタッフ © MSF
アディグラトの病院に酸素ボンベを運び入れるスタッフ © MSF
アディグラトにある病院の一角。診療スペースを拡張するため、検討を重ねる © MSF
アディグラトにある病院の一角。診療スペースを拡張するため、検討を重ねる © MSF

行き渡らない援助 高まる人道ニーズ

紛争地およびその周辺では、電力、水、インターネットといったライフラインの寸断、銀行の閉鎖などの混乱が生じており、人びとは離れた場所にいる家族と連絡を取ることも、生活に必要な物を買うこともままならない。

また食料不足も深刻な問題だ。ティグレ州ではサバクトビバッタに穀物を食べ尽くされてしまう虫害がひどく、以前から100万人近くが人道援助に頼って生活していたが、さらに今回の戦闘で人びとは収穫を間近に控えていた作物を失い、事態はさらに悪化している。援助機関と地元当局が一部地域で食料配給を行っているものの、全ての人に行き渡らせるには程遠い状況だ。

州西部では、数万人もの行き場を失った人びとが廃墟ビルや建築現場で生活しており、他の地域でも地元のコミュニティに避難したり、山間部に身をひそめたりしている人も多いという。食料、清潔な水、住居、医療へのアクセスが困難な人びとの命をつなぐ、物資や医療の早急な援助が求められている。

ティグレ州各地の国内避難民のもとへ物資を輸送するMSFのトラック © MSF
ティグレ州各地の国内避難民のもとへ物資を輸送するMSFのトラック © MSF

この記事のタグ

関連記事

活動ニュースを選ぶ