海外派遣スタッフ体験談

2度目のルチュルで新しい経験も

吉野 美幸

ポジション
外科医
派遣国
コンゴ民主共和国
活動地域
ルチュル
派遣期間
2016年6月~2016年7月

Q国境なき医師団(MSF)の海外派遣に再び参加しようと思ったのはなぜですか?また、今回の派遣を考えたタイミングはいつですか?

前回のイエメンでの活動中に連絡が入っており、帰国して約2週間の休暇を取ってから今回の活動に参加しました。

Q派遣までの間、どのように過ごしましたか? どのような準備をしましたか?

2週間の休暇中は、旅行に出かけたり、久しぶりに友人と食事したり、心と体をリフレッシュしていました。準備としては病院で使うフランス語の復習をしました。

Q過去の派遣経験は、今回の活動にどのように活かせましたか? どのような経験が役に立ちましたか?

2015年にも一度活動した場所だったので、環境にも慣れており、病院の仕組みも分かっていたためスムーズに仕事に入ることが出来ました。

とはいえまだ慣れないのがフランス語。日常会話は語学学校で習っても、医学用語はほとんど習わなかったため、前回手術室で覚えた単語をメモして持っていったのが役に立ちました。今回も病院で使うボキャブラリーを増やして帰ってきました。

Q今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?
ともに働いた同僚たち ともに働いた同僚たち

コンゴ民主共和国の東側(首都キンシャサとは反対側)にあるルチュルという山岳地帯の総合病院での勤務でした。外科病棟50床、整形外科25床、熱傷病棟20床と集中治療室を受け持っており、その他に新生児・小児病棟と内科病棟、産科病棟がありました。

外科はコンゴ人外科医3人と自分の計4人で手術室と病棟回診、当直を交替で担当しました。麻酔科は海外派遣の麻酔看護師1人と現地スタッフでチームを組み、手術室看護師はすべて現地スタッフでした。プロジェクト・コーディネーター1人、医師1人、病院マネジャー1人、ロジスティシャン数人、アドミニストレーター数人が常に入れ替わりながら働いていました。

手術室は2室あり、産科手術と交替で使用しており、さらに3番目の小さな手術室は包帯交換や小さな縫合などの処置で使用していました。

症例としては、治安が落ち着いていたため紛争による外傷はそれほど多くなく、主なケースは交通事故や木や車から落ちたけが、やけど、農作業器具によるけがなどでした。少数でしたが銃創もありました。マシェット(大型のナイフ)外傷で手の腱が半分以上切れてしまって、つなぐのに苦労したケースもありました。

Q派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

毎朝7時30分に全体ミーティングがあり、7時45分に病院へ移動。8時から手術室勤務と病棟回診に分かれ、夕方5時まで勤務。5時から8時までは当直が受け持つことになっていました。当直明けの日は必ず休みというルールがあったので楽でしたが、その代わり当直の日は朝8時~午後1時まで働き、一度帰宅してまた午後4時半に出勤するというスケジュールの日もありました。

勤務時間外は寝ていることが多かったですが、友達と映画を見たり、なぜか綱渡りの練習をしたり、たまには皆で外食したりして、気分転換をしていました。(宿舎から数百メートルは外出が許可されていました)

Q現地での住居環境についておしえてください。
現地の料理スタッフが作る美味しい食事 現地の料理スタッフが作る美味しい食事

森の中に宿舎があり、小さなバンガローのような部屋に住んでいました。山岳地帯で涼しく過ごしやすい気候でした。前回と違って、トイレの水が普通の水洗になっていたのに感動しました!(前回は手桶で流す手動水洗でした)。シャワー室は相変わらずただの排水溝しかなく、バケツにお湯をくんで手桶で浴びるスタイルは変わりありませんでした。

前回はゴキブリが毎晩お部屋を訪れていましたが、今回は殺虫スプレーをまいたため、翌日におびただしい数のゴキブリが死んでおり、その後はほとんど見かけませんでした。

食事は、料理担当として現地の主婦を数人雇っており、毎日美味しくいただきました。ただ、私の滞在中にお腹をこわすスタッフが続出し、食器の洗い方や調理方法に問題があるのではないかということで、いろいろ指導がなされていました。私の胃腸はかなり打たれ強いようで、まったく影響ありませんでした(笑)。

Q活動中、印象に残っていることを教えてください。
食卓の塩もフランス語、イタリア語、日本語、コンゴのリンガラ語で 食卓の塩もフランス語、イタリア語、日本語、
コンゴのリンガラ語で

<良かったこと>
フランス語が少し上達したこと。前回はほとんど聞き取れなかった会話が、今回は半分くらい単語が聞こえるのでそこから内容を推測することができました。

小児外科と産婦人科の症例が比較的多かったので、新しい経験を積むことができたのも良かったです。

<苦労したこと>
4日に1回のペースで当直が入るのですが、翌日まで疲れが残っていたり、睡眠のリズムが上手く戻せなかったりして少し苦労しました。

難しい症例の治療方針についてのディスカッションなどでは、フランス語ではまだまだ思うように話せず、歯がゆい思いをすることもありました。これは勉強・練習を重ねていくしかないです。

Q今後の展望は?

2週間ほどお休みを頂き、8月から中央アフリカ共和国の活動に行く予定です。

Q今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス
かわいい子どもたちに癒されました

コンゴの子どもたちは純粋で素直で可愛らしい!!!そして大人も皆、人懐こく陽気です。素敵なコンゴの仲間と、満天の星空に浮かぶ南十字星が、あなたを待っています。

MSF派遣履歴

  • 派遣期間:2015年8月~2015年9月
  • 派遣国:中央アフリカ共和国
  • 活動地域:バンギ
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2015年6月~2015年7月
  • 派遣国:コンゴ民主共和国
  • 活動地域:ルチュル
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2014年4月~2014年6月
  • 派遣国:パキスタン
  • 活動地域:ハングー
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2013年6月~2013年10月
  • 派遣国:アフガニスタン
  • 活動地域:クンドゥーズ
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2013年4月~2013年6月
  • 派遣国:パキスタン
  • 活動地域:ハングー
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2012年8月~2012年9月
  • 派遣国:パキスタン
  • 活動地域:ハングー
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2012年6月~2012年7月
  • 派遣国:パキスタン
  • 活動地域:ハングー
  • ポジション:外科医
  • 派遣期間:2012年4月~2012年5月
  • 派遣国:ナイジェリア
  • 活動地域:ポートハーコート
  • ポジション:外科医

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