イベント報告

【イベント報告】仙台でエンドレスジャーニー展を開催、過去最多の来場者数を記録

2024年10月11日
国境なき医師団の現場で使われるテントなどの展示物を見る人びと © MSF
国境なき医師団の現場で使われるテントなどの展示物を見る人びと © MSF

紛争や迫害、暴力や貧困によって住まいを追われ、難民や国内避難民となった人は1億2千万人*を超えました。移動を強いられ、終わりの見えない命がけの旅を続ける人びとの置かれた現状と、国境なき医師団(MSF)の活動を伝える、体験・思考型の企画展「エンドレスジャーニー展」を、8月12日から17日の6日間、仙台市の「せんだいメディアテーク」で開きました。ご好評をいただき、過去最高の来場者数を記録しました。 
*国連難民高等弁務官事務所(2024年)

仙台で初開催

このイベントは「エンドレスジャーニー ~終わらせたい、強いられた旅路~」キャンペーンの一環として2019年に東京で開催し、好評を博した展覧会です。その後、福岡、大阪、広島、札幌で開催し、仙台は今回が初となります。

会場では、地中海、アフリカのチャド湖周辺、中東シリア、アジアのロヒンギャ難民、中米の5つの人道危機にフォーカスし、難民や移民の人びとの置かれた状況や声を、大型の写真や映像、実際に現地で使用した物品などを通して伝えました。

会場に展示された難民を巡る大型パネルの一つ  © MSF
会場に展示された難民を巡る大型パネルの一つ  © MSF

震災対応やヘビ毒に関するコーナーも

今回は、これら従来からの展示に加え、2011年の東日本大震災と今年の能登半島地震でMSFが行った活動をパネル展示しました。

また、アフリカなどで人びとにとって無視できない脅威となっているヘビ毒の問題を、子どもたちに参加型ゲーム形式で分かりやすく伝えるコーナー「熱帯・毒ヘビチャレンジ!」を新設。多くの子どもたちの注目を集めました。  

ヘビ毒に関する展示。ヘビのぬいぐるみが子どもたちに人気 © MSF
ヘビ毒に関する展示。ヘビのぬいぐるみが子どもたちに人気 © MSF

続く紛争の犠牲者に心を寄せて

さらに、2023年10月7日から激化したパレスチナ・ガザ地区での紛争下でのMSFの活動と、ガザ北部のアル・アウダ病院で攻撃を受けて2023年11月に亡くなったMSFのマフムード・アブ・ヌジャイラ医師が残したメッセージを掲示しました。

ガザの病院で亡くなったアブ・ヌジャイラ医師とサハール医師のパネル © MSF
ガザの病院で亡くなったアブ・ヌジャイラ医師とサハール医師のパネル © MSF

アブ・ヌジャイラ医師は10月20日、病院のホワイトボードに「最後まで残った人は伝えてください。私たちはできることをした。私たちを忘れないでください」と書き、病院にとどまって働き続けました。しかし、その約1か月後、院内で攻撃を受け、2人の医師らとともに亡くなりました。

ご覧になった方々に、一連の紛争で亡くなったすべての人を思い、メッセージやパネルで感じたことや自分にできることを書いていただき、ボードに掲示しました。 

パネルを見てメッセージを書く人びと © MSF
パネルを見てメッセージを書く人びと © MSF
寄せられたメッセージの一部 © MSF
寄せられたメッセージの一部 © MSF

10月31日~11月4日に東京・丸の内で開かれる「エンドレスジャーニー展・東京」会場でもメッセージを掲出し、来場者のみなさんに思いを寄せて頂くコーナーを設ける予定です。 

いとうせいこうさんのトークは満席に

こうした展示のほか、ゲストを招いてのライブトークも会場内で行われました。

仙台展初日の8月12日には、世界各地でMSFの活動を取材し続けてきた作家・クリエイターのいとうせいこうさんが、6月に訪問したバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで取材したロヒンギャの人びとの今を語り、会場はほぼ満席のにぎわいとなりました。

いとうせいこうさん © MSF
いとうせいこうさん © MSF

また最終日の17日には、トークイベント「自然災害と緊急援助──被災地で必要な心のケア」も開催しました。

このイベントでは、2011年の東日本大震災の発生から10日後に現地入りし、南三陸町中心に10カ所の避難所で心理アセスメントを行った臨床心理士の西前律子と、 2024年1月の能登半島地震の被災地で心のケアの活動をした臨床心理士の福島正樹が登壇。現地での経験を踏まえ、災害時にさまざまな悩みや葛藤に苦しむ人びとに寄り添った支援のあり方を語り合いました。

トークの内容は、こちらでご覧いただけます。

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