スーダン:封鎖措置により、国境なき医師団は医療活動を停止──栄養失調の子ども5000人が治療を受けられず
2024年10月18日- 9月末、国境なき医師団(MSF)はスーダンのザムザムキャンプに暮らす5000人の急性栄養失調の子どもを対象にした外来診療の停止を余儀なくされた。
- 紛争当事者は、ザムザムキャンプへの食料、医薬品、物資の搬入を数カ月にわたり妨害している。
- すべての紛争当事者とその関係者は、ザムザムキャンプへ援助物資の搬入を進めるため、あらゆる措置をとらなくてはならない。
封鎖措置により、外来診療が停止
MSFはスーダン北ダルフール州の国内避難民キャンプ、ザムザムキャンプで5000人の急性栄養失調の子どもたちに対する、外来診療の停止を余儀なくされている。これは、紛争当事者が数カ月にわたり食料や医薬品などの必要物資の搬入を妨害しているためだ。
9月末、物資の不足により、重度の急性栄養失調の子どもたち2900人を含む、5000人の子どもたちへの外来診療は停止に追い込まれた。キャンプ内で稼働するのは、死亡リスクが最も高い子どもたちを治療する、MSFの80床の病院だけとなった。
MSFの緊急活動責任者ミシェル・オリビエ・ラシャリテは、次のように話す。
「壊滅的な状況に置かれた人びとを助けるために、大量の栄養補助食品と食料をキャンプに届けなければなりません。事態は一刻を争います」
MSFは、各国政府、紛争当事者の同盟国、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」、スーダン軍(SAF)、統合軍などのさまざまな関係者に対し、キャンプへの人道援助物資の搬入を進めるよう求めています。
MSFの緊急活動責任者 ミシェル・オリビエ・ラシャリテ
物資の搬送継続に向け、当事者に働きかけを
ここ数週間で、限られた物資の一部は到着した。その中にはMSFが搬送することのできた医療物資も含まれている。しかし、人口約45万人のザムザムキャンプで栄養失調に苦しむ人びとのニーズを満たすには、その量はあまりにも少ない。
たとえば、ザムザムキャンプに暮らす45万人の人びとに、1カ月分の非常食(1人1日当たり約500キロカロリー)を提供する場合、その量は約2000トンになる。それを届けるためには、1カ月に100台のトラックが必要だ。
ザムザムキャンプの栄養危機は、今年8月にIPC飢きん評価委員会(IPC Famine Review Committee)がキャンプで飢きんが広がっていると警告したことから、国際的に広く注目されるようになった。今年初めに行われたMSFの複数の調査では、子どもの約30%が栄養失調であることが判明し、平均して2時間に1人の割合で栄養失調に関連した原因で子どもが死亡していると推定された。また、現在ような危機的な状況下では、MSFが新たに調査を行い、データを集めることは難しい。そのため、現在の子どもたちの死亡率は不明だ。
紛争当事者と交渉に当たっているすべての外交関係者は、今後数カ月にわたって物資の搬送が継続されるよう、当事者に対して働きかけなければいけません。
MSFの緊急活動責任者 ミシェル・オリビエ・ラシャリテ