ガザ:医師にジェノサイドは止められない、止められるのは世界の指導者だけだ──国境なき医師団が求める八つの行動
2025年09月16日
いま、パレスチナ・ガザ地区で起きているのは単なる人道的危機ではない。組織的に民族を破壊する行為だ。
国境なき医師団(MSF)は明言する。
「イスラエルがガザでパレスチナ人に行っているのは、ジェノサイド(集団殺害)だ」
国境なき医師団(MSF)は明言する。
「イスラエルがガザでパレスチナ人に行っているのは、ジェノサイド(集団殺害)だ」
死者6万4000人超、子どもは2万人
地元保健省によると、これまでに6万4000人以上が命を奪われ、そのうち2万人は子どもだった。実際の死者数はさらに多いとみられ、大勢の人びとがいまもがれきの下に取り残されている。
ガザに安全な場所は存在しない。医療施設は本来、保護されるべき存在だが、病院などが爆撃され、襲撃されている。スタッフと患者の命が危険にさらされている。

現在、ガザで完全に機能している病院は一つもない。わずかに稼働している施設も過剰な負担を強いられ、命を救うために必要な物資が深刻なほど不足している。
これまでに私たちの同僚12人が殺害された。MSFの整形外科医ムハンマド・オベイド医師は、2024年10月からイスラエルに拘束されたままだ。ガザでは1500人以上の医療従事者が殺害されている。これはその家族にとっても、ガザの医療体制にとっても、計り知れない損失となっている。
イスラエル当局は、燃料や食料、水、医療物資を意図的に遮断して完全に包囲し、ガザを絞め付けている。現地ではすでに飢饉が確認され、餓死する人びとが出ている。

わずかに許可される食料援助でさえ、残酷にも武器として使われている。イスラエルが運営し、米国が資金提供する「ガザ人道財団(GHF)」と呼ばれる仕組みは、ガザの1400人を殺害し、さらに4000人を負傷させた責任があるのだ。
そして、清潔な水の不足が、さらなる苦しみと病気を引き起こしている。先月だけで、MSFのチームは4000件の水様性下痢を治療した。すでに栄養失調で弱っている子どもたちにとっては、命に関わる危険さえある。

MSFは、清潔な水へのアクセスを改善するため、海水を淡水化する装置などの物資搬入を繰り返し要求している。だが、イスラエル当局によって妨害され続けている。
傍観や沈黙、またはイスラエル当局への直接的な支援を通じて、世界各国の政府はこのジェノサイドに加担している。各国の政府には、この残虐な行為を止めるため、あらゆる政治的、外交的、経済的手段を駆使して対応する、道義的、法的な責任がある。
世界は選択できる──沈黙か、行動か
私たちは、各国政府に対し、その影響力をいますぐ発揮するよう強く求める。
- ガザにおけるパレスチナ人のジェノサイドを止めること
- 民族浄化と強制移住を止めること
- 即時かつ持続的な停戦を実現すること
- ガザの包囲を解除し、大規模かつ独立した人道援助を迅速に届けられるよう許可すること
- 医療施設や医療従事者への攻撃をやめること
- 「ガザ人道財団(GHF)」を解体すること
- 緊急治療を必要とする人びとの、ガザ地区外への医療搬送を認めること
- 患者を殺傷する武器の移転を止めること
ガザで活動する私たち1118人のスタッフに、このジェノサイドを止めることはできない。しかし、世界の指導者たちにはそれができる。
──彼らが「行動」することを選ぶならば。
──彼らが「行動」することを選ぶならば。
