シエラレオネ:エボラがなにもかも奪っていった——生存者たちの証言
2015年11月20日シエラレオネでは2015年11月7日に、エボラ出血熱の流行終息が宣言された。しかし、その社会的な影響はいまなお続いている。多くの回復者は現在も心身の後遺症に悩まされ、国境なき医師団(MSF)のもとに通っている。や社会的な後遺症や余波に悩まされている。
身体の後遺症には、関節痛、慢性疲労、聴覚障害、極端な視力低下などがある。多くの回復者は家族や友人をエボラで亡くし、助け合いのネットワークも失われてしまった。一方、現地の医療従事者の間には、いまもエボラ回復者への恐怖が残っている。それだけでなく、仕事を失った回復者たちにとって、経済的な理由でも医療を受けることが難しくなっている。
西アフリカの回復者は推定1万5000人。一方、亡くなった人は1万1000人。シエラレオネで終息宣言が出された一方、隣国のギニアでは現在も感染者が出ている。MSFは西アフリカのエボラ流行地域で、2014年3月以降、1万287人の患者を治療した。
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© Tommy Trenchard ハッサン君(5歳)
(母親のマビンティさんの話) 2014年10月に感染し、治療センターで受けました。回復して退院した直後にまた体調を崩したので、とても不安でした。ハッサンの症状はエボラの再発ではなく、初期症状がよく似ているマラリアでした。それもどうにか治って回復したのですが、聴覚障害や発疹などの後遺症に悩まされて、MSFの治療を受けています。 -

© Tommy Trenchard マリアマさん(40歳)
2014年10月にエボラに感染したとわかったときは恐怖でいっぱいでした。このゴドリッチ村だけでも34人が亡くなったんですよ。私を含めて助かった人間も大変です。エボラに感染したことを知られ、何もかも燃やされてしまったのです。今では生活費にも事欠くほどです。後遺症もあり、私の場合は、背中やひじが痛みます。外出先で周りに人がいることが怖く、家に閉じこもるようになってしまいました。 -

© Tommy Trenchard ファトゥさん(23歳)
エボラから回復してやっと村に戻れた日、誰もが私を避け、食べ物を買おうとお金を出しても受け取ってもらえませんでした。今も大変です。市場に商品を持っていても買ってもらえないのです。私は背中や肩など全身が痛むのですが、夫や兄弟姉妹が亡くなり、大勢の子どもたちが残されたため、なんとか養っていかなければなりません。気持ちは今も不安定です。昨日、お墓参りをしてそこで号泣してしまいました。 -

© Tommy Trenchard マリアマさん(22歳)
背中の痛みがひどくて眠れないほどです。エボラから回復して村に戻った当時は、歩けないほど身体が弱っていました。今でも、つらくて泣き出すと両目の奥が燃えるように痛みます。胸の痛みも続いています。私も、何もかも燃やされてしまいました。仕事もうまくいきません。子どもが2人いるのですが、学校に通わせる余裕もないのです。 -

© Tommy Trenchard ダムバさん(30歳)
私は母の看病をしていて感染しました。先に亡くなった家族や親類の後を追うように母も逝ってしまいました。エボラが流行する前までは多くの人に支えられていた私ですが、今は1人で子どもたちを養っていかなければなりません。仕事は漁師です。わき腹や関節が痛く、漁をするとさらに痛むのですが、家族を養うためには仕方ないのです。ただ、そうしてがんばっても、子どもたち全員を学校に通わせる余裕がありません。 -

© Tommy Trenchard イサタさん(10歳)
私の近所の人たちで、エボラにかかって助かったのは私を含めて16人だけでした。亡くなった人の中には私の家族も含まれています。エボラから回復したいまも、頭痛が続いています。学校に行っている間はまだいいのですが、家に帰ってくると痛みが出てくるのです。 -

© Tommy Trenchard アブドゥル・カリムさん(年齢未詳)
私たちのような"エボラからの生還者"はいま、生活の厳しさに直面しています。仕事がありません。私は作業員でしたが、仕事がみつからないのです。私が勤めていた会社は撤退してしまいました。エボラのせいです。後遺症で全身が痛みます。さらに、生活苦のストレスで押しつぶされそうです。 -

© Tommy Trenchard アッバスさん(年齢未詳)
エボラから回復したあともいろいろな後遺症に悩まされ、MSFのもとに通っています。私は採石場の職工なのですが、仕事に復帰できるほどの状態ではありません。エボラの治療を受けている間にすべて燃やされ、何もかも失いました。私たちの家族は近所中から避けられるようになってしまい、もう家から出たくありません。 -

© Tommy Trenchard ヤインカインさん(年齢未詳)
私たち夫婦の財産は、エボラを恐れた近所の人たちにすべて燃やされてしまいました。体調は思わしくなく、仕事復帰のめどが立ちません。子どもたちを学校に通わせられなくなってしまいました。私は仕事を持っていました。採石場に勤めていたこともあります。でも、いまは身体が言うことをききません。視力もひどく下がってしまいました。MSFのもとで治療を続けつつ、眼科にも通っています。




