プレスリリース

イエメン:サウジ主導の有志連合軍による「不当」な空爆で数百人が死傷

2022年01月24日
イエメン・サアダ市の様子=2019年4月21日 © Agnes Varraine-Leca/MSF
イエメン・サアダ市の様子=2019年4月21日 © Agnes Varraine-Leca/MSF

イエメン北西部サアダ市で1月21日未明、サウジアラビア主導の有志連合軍が拘置所を空爆し、保健省によると少なくとも82人が死亡、266人が負傷した。救助隊員らにより、がれきに埋もれた人びとの捜索が続いており、死者数はさらに増えると見られる。国境なき医師団(MSF)は、今回の空爆は、同連合軍が学校、病院、市場、結婚式場、拘置所などを狙った数々の不当な空爆のひとつであり、正当化できない行為だと批判する。 

病院にあふれる負傷者

拘置所近くに住むMSFのスタッフ2人は、今回の空爆時、戦闘機の音が聞こえた後、3回爆発が起きたと話す。「空爆であることは間違いありません。サアダ市の人は皆、空爆の音を聞いたのですから。私は拘置所から1キロメートルのところに住んでいますが、爆発で家が揺れました」

一方、同連合軍は、拘置所の被害と収容者が死傷したとの報道を「事実無根だ」とする声明を発表した。しかし、現場を訪れたMSFのスタッフは、確かに拘置所が破壊されていることを確認。また、同市内のアル・ジュムフリ病院にいる別のスタッフは、負傷者であふれた病院の様子について、「今朝の病院は非常に厳しい状況です。全員分はベッドが足りず、けが人が床に横たわっています」と話した。
 
MSFは、空爆直後にアル・ジュムフリ病院へ医療機器の寄贈を手配。さらに同日、多くの支援物資を積んだトラックを首都サヌアから向かわせた。MSFはイエメン保健省と連携して、大勢の死傷者が次々に搬送されて来る事態に対し、この病院への追加支援の方法を検討している。

繰り返される民間施設への空爆

イエメン・ハッジャ県で空爆をうけたMSFが支援するアブス病院=2016年8月16日 © MSF
イエメン・ハッジャ県で空爆をうけたMSFが支援するアブス病院=2016年8月16日 © MSF

サウジアラビア主導の有志連合軍は、2015年からイエメンの反政府組織「アンサール・アッラー」の支配地域を繰り返し空爆。MSFとMSFの支援先病院にも5回命中し、それ以外にも多くの民間施設を攻撃してきた。イエメンで現地活動責任者を務めるアーメド・マハトは、「内戦が始まって以来、私たちは頻繁に連合軍によるイエメンへの無差別爆撃の災禍を目の当たりにしてきました。MSFの病院も巻き添えになったのです」と振り返る。

さらにマハトは、「ここ数日で、イエメンの内戦は恐ろしいほど激化しました。今週はサヌア市への空爆が多く、今朝も続いています。インターネットは国の大半で遮断されています。報道によると、これも連合軍がホデイダ市内の通信ビルを空爆した後のことだそうです。内戦が7年も続いているにもかかわらず、国内各地で前線が激化し、イエメンの人びとの苦しみには終わりが見えません」と憤る。

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