プレスリリース
スーダン:国境なき医師団、首都の基幹病院での活動停止へ──病院への暴力的攻撃を非難
2025年01月10日国境なき医師団(MSF)は、スーダンの首都ハルツームのバシャール教育病院で、患者やスタッフに対する暴力的攻撃が続いていることを強く非難する。この病院は、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が支配している地域にある。あらゆる当事者が関与しているにもかかわらず、こうした攻撃はここ数カ月も続いている。MSFは、この病院での全ての医療活動を停止するという非常に難しい決断を下した。
度重なる病院への攻撃
2023年にスーダンで内戦が始まってから20カ月の間、MSFは病院スタッフやボランティアと共に活動してきた。この間バシャール教育病院では、武装戦闘員が武器を持って侵入しては医療スタッフを脅すという事件が繰り返され、その多くは他の患者より戦闘員を先に治療せよという要求であった。
2024年11月11日には、病院内で患者が射殺されるという事件が発生した。12月18日には、襲撃者らが救急病棟内で武器を使用して医療スタッフを脅した。その前には、病院に向けて発砲され、病院敷地内に銃弾が入り1人が負傷するという事件も起こっていた。
MSFの緊急対応コーディネーター、クレア・サン・フィリポは、次のように述べる。
「私たちがハルツームで目の当たりにしている苦しみは甚大です。激しく過激な暴力が毎日続いています。食料、物資、人道援助の不足と遮断により、人びとは生き延びるために必死です。
医療ニーズは極めて大きく、恐ろしい負傷をした人も少なくありません。一度に多数の負傷者が運び込まれる事態は半ば日常と化しています」
MSF、病院スタッフ、そしてボランティアは、非常に困難な状況の中で、不眠不休で医療を提供してきました。しかし、安全が守られずスタッフや患者の命が脅かされる中、活動を続けることは不可能です。
緊急対応コーディネーター クレア・サン・フィリポ
妨害される物資搬送や人員移動
2025年1月5日、病院から1キロ離れた場所で空爆があり、50人が救急処置室に運ばれたが、このうち12人は病院への到着時にすでに死亡していた。
同時に、他の医療施設の閉鎖や診療縮小に伴い、小児科や産科の患者も増加。MSFはコレラやマラリア、デング熱の流行にも対応してきた。懸念すべきレベルの栄養失調も目にしている。
病院はこれまでにも深刻な困難に直面してきた。2023年10月、スーダン国軍によって外科用物資の搬入が妨害されたため、全ての手術が一時中断された。スーダン東部・ポートスーダンからの医療物資の搬送とスタッフの移動は、1年以上止められている。MSFは昨年7月にも、スタッフに対する脅迫や暴力のため、近隣のトルコ病院での医療活動を中断した。
病院は命の危険なく治療が受けられる場所
「これほど医療ニーズが高まっている中で、病院での救命医療が中止に追い込まれるのは、考えられないことです。一つの団体が活動停止を余儀なくされるたびに、生死の境にいる人から医療が遠ざかっていきます」
病院とは、命の危険なく治療が受けられ、医療者が安全に医療を提供できる場所でなくてはなりません。
緊急対応コーディネーター クレア・サン・フィリポ