プレスリリース
エボラ病:コンゴでの流行宣言から2カ月、感染は過去最速ペース──国際社会は今すぐ対応の拡大を
2026年07月15日
コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)でエボラ病(エボラ出血熱)の流行が公式に宣言されてから2カ月が経過した。これまでに感染者は約2000人、死亡者は700人を超えている。感染は前例のないペースで拡大を続けているが、封じ込めに向けた取り組みは依然として著しく不足している。現地で対応にあたっている国境なき医師団(MSF)は、国際社会による医療対応の大幅な強化が必要だと訴える。
わずか2カ月で史上3番目に大きな流行に
「対応が遅れるごとに命が失われています。私たちはまだ流行を後追いしている状況で、先手を打てていません」と、MSF緊急対応責任者のトリッシュ・ニューポートは述べる。
感染者は増え続け、流行を抑えることはさらに難しくなっています。エボラの治療とそれ以外に必要な医療を多くの人が受けられるようにするには、より強力で連携の取れた国際的な対応が必要です。
MSF緊急対応責任者 トリッシュ・ニューポート
感染は新たな地域へと広がり続けている。医療を受けることが困難だったり、感染監視体制が限界を超えていたり、治療センターの受け入れ限度を超えていたりして、都市以外の地域では十分な支援を受けられていない。
MSFは保健当局と人道援助団体に対し、地域社会との連携、監視活動、検査と診断、患者ケア、回復者支援、安全かつ尊厳が守られた遺体の取り扱いと埋葬など、エボラ対応のあらゆる側面で資源を速やかに増強するよう求めている。同時に、他の緊急医療ニーズにも確実に対応するよう求めている。
重症化してから運ばれる人びと
「州内の小さな町モングワルでは、対応不足による深刻な影響を日々目にしています」と、医師でMSF医療プログラム・マネジャーのアヨクンヌ・ラジは話す。
「エボラ治療センターには、生存の見込みが極めて低い重症患者が運び込まれています。MSFがエボラ対応を開始してから57人の患者が回復しましたが、110人を超える患者が亡くなりました」
国内外からの支援が増えれば、さらなる感染拡大や死亡を防ぐことができるはずです。
MSF医療プログラム・マネジャー アヨクンヌ・ラジ
「ブニアのエリキヤ・エボラ治療センターは90床ありますが、ほぼ常に満床状態です。住民からは『空きベッドができるまで自宅で待つ』という声も聞かれます。その結果、重症化してから運ばれてくる患者が後を絶ちません」
早期の診断と適切なタイミングでの治療があれば防げたはずの死が数多くあり、苦しい思いです。
MSF緊急対応コーディネーター シルビー・カチマルチ
地域社会との連携
コンゴの感染監視体制は、地域社会の強いネットワークと地域医療システムを活用して感染を早期に発見する仕組みだ。しかし今回、エボラ流行に加え複数の感染症が同時に発生していることで、その体制は限界に達している。
感染拡大を遅らせ、最終的に止めるためには、医療対応と監視体制を強化しながら、対応を地域社会により近づけることが重要だ。そうすることで、感染者を早期に発見して隔離できるようになる。検査、接触者追跡、地域社会との連携強化には引き続き力を入れる必要がある。
国境閉鎖や健康状態の自己観察要請、人道援助従事者を対象とした規制など、コンゴや周辺国の当局による移動制限が、専門スタッフの派遣や交代を難しくしている。
MSFは現在、イトゥリ州、北キブ州、南キブ州、チョポ州で、7つのエボラ治療センターと15以上の隔離施設を運営しており、その総収容能力は430床以上にのぼる。流行の開始から7月14日までに、MSFは357人の確定症例を含む、少なくとも968人の患者を受け入れた。 また、MSFは治療とケアを通して116人の患者の回復を支援してきた。さらにMSFは、監視・検知活動、地域社会との連携、研修、およびその他の不可欠な医療サービスへの安全なアクセスを確保するため、保健省の取り組みを支援している。
複数の危機が重なる中でのエボラ流行
「流行が私たちの対応を上回る速度で広がっているにもかかわらず、これまでと同じ限られた資源で対応を続けることはできません」とニューポートは話す。
感染拡大を食い止めるためには、現地のニーズの規模を真に反映した、強固で十分な医療対応が不可欠です。そのためには国際社会による支援の拡大が今すぐ必要です。
MSF緊急対応責任者 トリッシュ・ニューポート
MSFのエボラ病への対応
流行の発生以降、イトゥリ州、北キブ州、南キブ州、チョポ州でMSFは、ブニア、モングワル、コマンダ、ゴマ、ブカブ、ルウィロにエボラ治療センターを設置したほか、15以上の隔離施設を設置した。感染の影響を受けた各州では、さらなる隔離・治療施設の準備を進めている。
またMSFは、支援先の医療施設において、感染予防・管理対策を強化。 さらに、地域社会との連携、監視活動の支援、医療従事者への感染予防・管理に関する研修、医療施設への医薬品や医療機器の提供、そしてエボラ以外の医療サービスの継続を確保するための支援など、多岐にわたる活動を実施している。 首都キンシャサや海外から数百トンの医療物資や機材を輸送した。
現在、MSFのエボラ対応には、支援する保健省スタッフ800人を含め、2200人を超えるスタッフが従事している。
コンゴにおけるMSFの活動
エボラ病の流行への対応にあたるとともに、MSFはコンゴ各地での医療援助に引き続き取り組んでいる。MSFは国内26州のうち16州で活動し、紛争や避難、感染症、性暴力などの影響を受けた人びとのニーズに対応している。
暴力による負傷者への外科治療、栄養失調の治療、HIVおよび結核の治療、リプロダクティブ・ヘルス(生殖に関する健康)に関するケア、小児医療、マラリアの予防と治療、心のケアなどを行うほか、コレラやはしかなど予防可能な感染症の流行にも対応している。




