エボラ病流行下に忍び寄るマラリア──国際援助の削減で深まるコンゴの危機
2026年07月28日
北キブ州は、コンゴ政府軍、およびその同盟勢力との戦闘を続ける武装集団「コンゴ川同盟(AFC)/3月23日運動(M23)」が大部分を支配する地域だ。
コンゴでは、北キブ州を含む各地でマラリアが広がりを見せ、脅威となっている。しかし今回の決定により、同州の人びとはマラリアの予防や治療に不可欠な資金援助を受けられなくなる可能性がある。
マラリアとエボラ病、二重の脅威
もしグローバルファンドが同州でのマラリア予防と治療への援助を打ち切れば、状況は壊滅的なものになるでしょう。
ステファン・ドヨン MSFオペレーション・マネジャー
「マラリアは予防も治療も可能な病気です。にもかかわらず、2026年になってもなお、予防策や診断、基本的な治療を受けられないために、人びとが命を落としたり重症化したりする事態は、決して許されません」
GC8は、グローバルファンドによる2027年から2029年までの3年間の資金援助サイクルを指し、この枠組みを通じて各国にマラリア、HIV、結核対策のための資金が配分される。資金配分は各国の優先事項に基づいて決定されるため、その結果は感染症の負荷が高い地域における医療サービスに大きな影響を及ぼす。
このままでは、北キブ州は今後のマラリア対策で資金配分の優先対象から除外されることになる。一方で、同州の医療体制は、現在進行中のエボラ病(エボラ出血熱)の流行によって、対応能力の限界に近付きつつある。
マラリアとエボラ病は初期症状が似ているため、診断が難しく、適切な治療の開始が遅れる可能性がある。その結果、すでにひっ迫している医療体制への負担がさらに増すことになる。
紛争で広がる感染、限られる医療
「北キブ州は、紛争による影響が最も深刻な州の一つです」とドヨンは話す。
人びとは繰り返し避難を余儀なくされ、食料不足に直面し、医療へのアクセスも妨げられています。こうした状況が、マラリアへの感染や重症化のリスクをさらに高めているのです。
ステファン・ドヨン MSFオペレーション・マネジャー
コンゴ政府軍およびその同盟勢力と「AFC/M23」との戦闘により、住まいを追われた多くの人びとは、森林地帯や人里離れた遠隔地への避難を余儀なくされている。こうした地域では、マラリアの感染リスクが特に高く、医療へのアクセスも極めて限られている。
MSFは北キブ州のバンボ、キビリジ、ルチュルの3つの保健区域で、保健省が運営する医療施設や病院を支援している。2025年には、これらの施設における全診療件数の48~58%をマラリア患者が占めた。
また、これらの地域ではMSF、保健省、関連団体で合わせて25万5000例超の軽症患者と、2万6000例超の重症患者を治療した。このうち16万5560例超は、MSFが支援する医療施設で治療が行われている。
一部の地域では、マラリアの基本的な予防体制がすでに縮小されている。グローバルファンドの支援対象地域では、マラリアを媒介する蚊から身を守るための蚊帳の配布が、2023年6月以降、行われていない。
さらに、2025年には、アクセスの制約により、7月から12月までマラリア対策の物資が北キブ州には一切届けられなかった。こうした度重なる物資不足を受け、MSFは不足分を補うため、治療薬やスクリーニング検査キットを独自に調達し、各地の医療施設へ供給してきた。
このような対応の継続は、広大な北キブ州全域におけるマラリアの予防と対策を長期的に支えていくうえでは困難であり、持続可能とは言えない。
最も援助が必要な地域へ、確実な資金分配を
中でも栄養失調は州全域で深刻化しており、MSFが支援する多くの医療施設でも患者が後を絶たない。栄養失調とマラリアが重なると、重症化や死亡のリスクが大幅に高まり、とりわけ子どもたちに深刻な影響を及ぼす。
MSFは、グローバルファンドおよびコンゴ政府に対し、北キブ州をGC8におけるマラリア対策プログラムと資金配分の対象として再び組み入れるよう求めている。また、保健当局に対し、地域のぜい弱性や疾病の負担度に基づき、公平な資金配分を行うよう強く訴える。




