感染者3600人超のエボラ流行…WHO事務局長がコンゴ訪問、国境なき医師団は医療援助の強化を訴え
2026年08月06日
この訪問に合わせ、国境なき医師団(MSF)のフィリッパ・ブール副医療ディレクターは声明を発表。感染者を早期に発見・把握する体制や地域社会との連携、人道援助へのアクセスを早急に強化し、国際社会による医療援助を速やかに拡大するよう改めて訴えた。
MSF副医療ディレクター フィリッパ・ブール
過去最大の流行、接触者追跡に大きな空白
エボラ病の流行宣言から2カ月半がたちましたが、コンゴ東部の状況はかつてないほど深刻です。現場の医療チームは懸命に対応を続けているものの、感染は前例のない速さで広がっています。
世界保健機関(WHO)によると、8月1日時点で確認された感染者は3605人に達しました。2018年の流行を上回り、コンゴで過去最大のエボラ流行となりました。
流行宣言からわずか11週間で、死者は約1500人に上っています。これは、過去の流行の同時期と比べてもはるかに多い数字です。甚大な被害をもたらした2014年の西アフリカでのエボラ流行でも、同じ期間の死者は279人でした。
さらに懸念すべきなのは、流行が収束に向かう兆しがないことです。新たな地域で、すでに判明している感染経路とはつながらない感染疑い例が、ほぼ毎日のように報告されています。
これ以上の命が失われるのを防ぐには、対応のスピードを感染拡大のペースよりも速めなければなりません。解決すべき課題は依然として数多く残っており、国際社会による医療援助を直ちに拡大する必要があります。
スクリーニングと接触者の追跡は着実に進んでいますが、流行を封じ込めるにはまだ不十分です。北東部イトゥリ州の州都ブニアにあるMSFのエボラ治療センターに入院した患者の90%は、接触者として追跡されていなかった人びとでした。イトゥリ州全体でも、追跡できた接触者は59%にとどまっています。
地域の人びととの連携を早急に強化しなければなりません。効果的な対応は、地域の関係者と共につくり、地域の関係者が主導してこそ実現できるからです。地域社会を対応の中心に据えない限り、感染者の発見・把握や接触者の追跡から漏れるケースはなくなりません。感染者をできるだけ早く見つけ、確実に経過を追うためにも、地域社会が主体的に関わる仕組みが不可欠です。
既存の人道危機が悪化、遠隔地へのアクセスも課題
人道援助へのアクセスも、引き続き重大な課題です。とりわけ遠隔地では、雨期に入ることで移動が難しくなり、活動が中断する恐れがあります。医療物資を届けることに加え、最前線で働く医療従事者への手当や支援を確保することが欠かせません。
最優先すべきは、感染者の発見・把握体制の強化、地域社会との連携改善、そして人道援助スタッフのアクセス確保です。
対応は拡充されています。しかし、感染経路を断ち切るために必要な速さには達していません。1日対応が遅れるごとに、ウイルスは一歩先を行き、本来救えたはずの命がさらに失われていきます。速やかな行動が求められているのです。
エボラ病を巡るMSFの対応状況
MSFはイトゥリ州、北キブ州、南キブ州、ツォポ州の4州で、計7カ所のエボラ治療センターと、計15カ所を超える隔離施設を運営しています。これらの施設は合わせて480床を超える受け入れ能力を備えています。
流行が始まってから、MSFは感染が確認された554人を含む1362人以上の患者を受け入れ、治療を通じて282人の回復を支えてきました。
また、コンゴ保健省による取り組みも支援しています。内容は、感染者の発見・把握、スクリーニング、地域住民への働きかけ、研修のほか、エボラ病以外の欠かせない医療を安全に受けられるようにする取り組みなど多岐にわたります。さらに、国内の複数の州で1次医療と2次医療の提供も続けています。




