プレスリリース

エボラ病:過去に例のない急速さで感染拡大──検査の拡充と援助の強化、地域社会の信頼が不可欠

2026年06月01日
コンゴ民主共和国・北キブ州ゴマのキエシェロ病院のスタッフに対し、エボラ病に対応するための研修を行った=2026年5月20日 © Maria Elena del Carre/MSF
コンゴ民主共和国・北キブ州ゴマのキエシェロ病院のスタッフに対し、エボラ病に対応するための研修を行った=2026年5月20日 © Maria Elena del Carre/MSF

国境なき医師団(MSF)は、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)イトゥリ州で広がるエボラ病(エボラ出血熱)について、過去に例のない急速さで感染が拡大しており、検査能力の拡充と人道援助の大幅な強化が今すぐ必要だと訴える。また、感染拡大を抑え、命を守るためには、地域社会の信頼と積極的な参加が不可欠だと強調する。

感染拡大に対応が追い付かず

MSFで副オペレーション・ディレクターを務めるアラン・ゴンザレスは「イトゥリ州でのエボラ病の流行宣言から2週間が経過しましたが、状況は極めて深刻です」と話す。

エボラ病の流行宣言からこんなに短期間でこれほど多くの症例が確認されたことは、過去に例がありません。私たちは、感染の急拡大に対応が追いついていない現状を目の当たりにしています。

MSF副オペレーション・ディレクター アラン・ゴンザレス

これまでの多くのエボラ病の流行とは異なり、今回の流行はブンディブギョ・ウイルスにより引き起こされている。これに対する承認されたワクチンや治療法はまだなく、また、検査手段が限られているため診断が非常に困難だ。

現時点では、この流行の実際の規模や深刻さは把握されていない。新たにエボラ病と疑われるケースが毎日のように報告される一方で、何百もの検体が未検査のままとなっているのが現状だ。

国境や空港の閉鎖で遅れる援助

また、国境や空港の閉鎖といった措置により、医療物資、人道援助関係者や専門スタッフの現地入りに遅延が発生している。こうした措置が流行への緊急対応を著しく妨げ、国際援助を必要としている国々を孤立させることは、過去に起きたエボラ病流行の経験からも明らかだ。今回の流行は、その影響がどれほど深刻かを改めて示している。

現地で対応にあたる専門的な医療団体は依然として極めて限られており、MSFを含め、提供されている援助のレベルは必要な規模にはほど遠い。危機の規模に見合った対応が、緊急に求められている。

状況を少しでも制御するためには、検査能力を今すぐ拡大することが不可欠だ。さらに、経験豊富な医療・人道援助団体による支援のもと、迅速かつ連携のとれた、状況に応じた全体的な対応の拡大が必要だ。同時に、医療物資と人道援助スタッフが影響地域に速やかに入れるよう、継続的で確実なアクセスが保証されなければならない。

エボラ病対策用の物資をトラックに運び込むコンゴのMSFスタッフたち。物資はウガンダの首都カンパラにあるMSF拠点から届けられ、防護具や医療資材が含まれている=2026年5月19日 © Anna SCHÖNHOFER/MSF
エボラ病対策用の物資をトラックに運び込むコンゴのMSFスタッフたち。物資はウガンダの首都カンパラにあるMSF拠点から届けられ、防護具や医療資材が含まれている=2026年5月19日 © Anna SCHÖNHOFER/MSF

地域社会の信頼と参加が不可欠

今回の流行は医療ニーズがすでに切迫している状況下で進行しており、エボラ病以外の重大な健康問題が見過ごされたまま悪化する危険が高まっている。多くの医療施設が対応能力の限界に達しており、エボラ病以外の通常の医療へのアクセスに影響を与えている。受診することに恐怖を感じ、家にとどまっている人たちも多い。

ゴンザレスはこう話す。

「流行への対応は、一方的な押し付けではなく、地域社会と共に構築しなければ成功しません。住民の懸念に耳を傾け、恐怖や誤情報に向き合い、誰もが安心して医療を受けられるよう信頼を築くといった、地域社会との継続的な対話によって対応を進めなければなりません」

感染拡大を抑え、命を守るためには、信頼と地域社会の積極的な参加が不可欠です。この対応の効果は、最終的には人びとがその取り組みを信頼するかどうかにかかっています。

MSF副オペレーション・ディレクター アラン・ゴンザレス

コンゴ・北キブ州ゴマで隔離病棟を建てるMSFスタッフ=2026年5月20日 © Maria Elena del Carre/MSF
コンゴ・北キブ州ゴマで隔離病棟を建てるMSFスタッフ=2026年5月20日 © Maria Elena del Carre/MSF

MSFの活動

現在、コンゴの保健当局やWHOなど関係者と連携しながら、大規模な対応に向けた準備を進めている。
ウイルス性出血熱の治療経験を持つ医療従事者やロジスティクスのスタッフの動員に加え、医療物資や機材をコンゴの首都キンシャサやウガンダの首都カンパラにあるMSFの供給拠点から、影響のある地域へ輸送している。
具体的な活動内容は調整中だが、エボラ病への対応は主に次の6つを柱として進めていく。
 
1.患者の治療と隔離
2.接触者の追跡とフォローアップ
3.感染予防や受診先に関する地域住民への啓発
4.安全な埋葬の実施
5.新たな症例の早期発見
6.既存の医療体制の支援
 
あわせて、既存のプロジェクトにおいても感染予防対策を徹底し、患者やスタッフを守るとともに、人びとの医療アクセスの確保にも取り組んでいく。

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