【動画】内戦に引き裂かれ、出産も困難 イエメンで医療が崩壊の瀬戸際

2023年04月05日

8年に及ぶ内戦で“世界最悪の人道危機”に陥っているイエメン。人びとの暮らしは壊滅的な打撃を受け、医療へのアクセスも困難になっている。設備や医薬品、スタッフの不足により、国内で部分的にでも稼働している医療施設は5割以下にとどまる。2016年以降、医療従事者への月給の支払いも滞っており、生活のために別の仕事を探さざるを得ない人も少なくない。こうした状況のなか、イエメン市民は利用できる無料の医療を求めている。

国境なき医師団(MSF)は2021年5月より、南部の都市タイズにあるアル・ジュムフリ病院の産科病棟を保健省と共に運営している。

長年の戦闘により、タイズはイエメン政府の統制下にある市内と、反政府勢力「アンサール・アッラー」(通称フーシ派)が支配する郊外のフーバン地区で、2つに分断されている。市内では地雷が散乱し、狙撃兵が警備にあたっている。前線を避けて市内に入るには、山間部を通る危険な長旅をしなければならない。フーバン地区から市内までは、内戦以前であれば10分ほどで着いたが、いまは5〜8時間かかる。MSFが支援するアル・ジュムフリ病院で受診するには、多くの人がこのルートを通らなければならない。

MSFは同病院で、特に必要とされている妊産婦と新生児のケアを支援するため、技術面・財政面でのサポートや医療物資の提供を行っている。MSFによる支援開始後、新生児死亡率は激減し、産前産後の診察が大幅に増加した。

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