ナイジェリア:ボルノ州マイドゥグリで大規模な洪水 感染症拡大の恐れも
2024年09月27日- ナイジェリア北東部のボルノ州マイドゥグリで、大規模な洪水が発生し、40万人近くの人びとが30の避難施設に避難している。
- 国境なき医師団(MSF)は避難施設で支援を始めているが、マラリアやコレラなどの病気の発生や、栄養失調の増加に対する懸念が高まっている。
- マイドゥグリの人びとは、洪水の以前から長引く情勢不安と前例のないレベルの栄養失調危機に直面していた。洪水の被害を受けた人びとを守るため、特に水と衛生、医療の追加支援が必要だ。
水と衛生に関する支援が急務
9月10日、大雨によりボルノ州のアラウ・ダムが決壊し、マイドゥグリとその周辺で大規模な洪水が発生した。この洪水は、家屋をはじめ、市場、畑、家畜、医療施設に甚大な被害を与えた。州当局によると、40万人近くが30の仮設の避難施設に登録されている。避難先のほとんどは学校で、トイレが少なく、安全な飲料水も不足している。
「私たちは、不安定な生活環境とコレラやマラリアの発生の可能性を非常に懸念しています」
ナイジェリアにおけるMSFの活動責任者イサレイ・アブデル・カデル医師はそう話す。「マラリアや急性水様性下痢に罹患する子どもの数は、洪水前からすでに増え始めていました。また、洪水の発生以降、コレラの臨床症状が見られる人もいます」
医療や人道支援、特に水と衛生に関する支援が増えない限り、患者数は増加するでしょう。非常に懸念しています。
イサレイ・アブデル・カデル医師、MSFの活動責任者
MSFのチームはいくつかの避難先で、給水車や給水タンクによる水の確保、トイレの設置や修理、蚊帳の配布など、必要不可欠なサービスの提供を開始した。また、メンタルヘルス支援を含む外来診療も実施し、重篤な患者はMSFが支援する医療施設に搬送している。マラリアとコレラに関しては、マラリア患者の増加に対応するため、支援先の小児科施設を100床拡張する計画も立てている。コレラ治療センター(CTC)の設営にも着手しており、必要であれば100床まで増設が可能だ。
州当局は、数日中にほとんどの避難所を閉鎖し、統合すると発表した。泊まる場所のない人びとに対しては、あと1週間は3つの主要な施設を維持する予定だ。また、コレラの集団予防接種も控えている。
「人道的な対応に携わるすべての関係者は、洪水で被災した人びとへの支援を必要な限り継続しなければなりません。また、医療を必要とする人びとには、医療への即時かつ容易なアクセスの確保が必要です」とイサレイ医師は言う。
ほとんどの施設が閉鎖されることで、多くの人が非常にぜい弱な状況に置かれることになります。避難施設では、トイレや安全な水、蚊帳へのアクセスを含め、衛生状態を直ちに改善するための迅速な行動が必要です。
イサレイ・アブデル・カデル医師、MSFの活動責任者
栄養失調の患者が増加する恐れも
人びとへの支援が必要とされるのは、今回の避難先だけではない。洪水が発生する以前から、マイドゥグリの人びとはすでに大きな課題に直面していた。これにはナイジェリア北東部で記録された最悪の栄養失調危機も含まれる。この数カ月間、MSFが栄養治療を行う病院には、毎週何百人もの重度の栄養失調の子どもたちが入院していた。
ナイジェリアでMSFの副医療コーディネーターを務めるアショク・シュリラン・サンクパル医師は、「洪水が発生したとき、栄養治療施設への入院数は減少し始めたところでした」と話し、続けた。
「洪水により市場やビジネスは大きな影響を受けました。収穫物はダメになり、家畜は流されました。今後、栄養失調児の入院数の減少傾向が反転し、患者が再び増加し始めるのではないかと懸念しています」
MSFがナイジェリア北部の洪水に関連した緊急対応を開始したのは、わずか数週間の間に2度目だ。8月にはザムファラ州グミで、深刻な洪水により家屋や農場が被害を受け、数千人が家を失った。この地域の人びとは、マイドゥグリと同様、栄養失調や長引く情勢不安、医療へのアクセスの欠如など、すでに大きな課題に直面している。
MSFのチームはここ数週間、グミのコミュニティを支援し、清潔な飲料水の提供、井戸の修理、一時的なシェルター用のビニールシートや蚊帳などのキットを届けている。