女性への締め付け強まるアフガニスタン 国境なき医師団スタッフの拘束に強い懸念

2026年06月18日
国境なき医師団(MSF)が支援する病院で、診察を待つアフガニスタンの女性と子どもたち。待合室にはすでに多くの患者がおり、外にも長い列ができている=2024年1月22日 © Mahab Azizi
国境なき医師団(MSF)が支援する病院で、診察を待つアフガニスタンの女性と子どもたち。待合室にはすでに多くの患者がおり、外にも長い列ができている=2024年1月22日 © Mahab Azizi

今年6月6日、国境なき医師団(MSF)が支援するアフガニスタン西部のヘラート地域病院へ向かっていた小児科勤務の女性スタッフが、アフガニスタン政府の「勧善懲悪省(PVPV)※」の職員に呼び止められた。同行する夫と共に移動中だったが、女性は服装規定に従っていないとして拘束された。

女性は2日間にわたり拘束された後、今後はPVPVが定める特定の服装規定を順守する旨の書面に、夫や家族とともに署名することを条件に、6月8日に釈放された。

MSFはヘラート市での服装規定の取り締まりの一環としてスタッフが逮捕・拘束されたことに対し、強い憤りを表明する。

  • 勧善懲悪省(PVPV):イスラム法に基づく道徳の遵守を監視・執行する国家機関。前回のタリバン政権時(1996年〜2001年)に発足し、2021年の政権奪還後に復活した。女性の外出時のブルカ着用や、男性同伴者(マフラム)の義務化、音楽の禁止、公の場での行動など市民の生活について詳細かつ厳しく法制化し、その監視を行っている。

相次ぐ拘束と暴力的抑圧

こうした事例は珍しいものではない。アフガニスタンの女性たちはすでに、移動や社会生活において極めて厳しい制限に直面しており、それが国内全域における医療へのアクセスや医療サービスの提供に直接的な影響を及ぼしている。

MSFは先週、PVPVによってヘラートで多くの女性が拘束されたとの報告を把握している。また6月9日には、女性に課された制限に抗議するデモが行われたが、警察が銃器や棒、むちを用いて暴力的に鎮圧し複数が負傷、新たに拘束された人もいた。

MSFが支援する産科病院で、患者たちと話をするアフガニスタンの女性スタッフ=2026年4月2日 © Shuk Lim Cheung/MSF
MSFが支援する産科病院で、患者たちと話をするアフガニスタンの女性スタッフ=2026年4月2日 © Shuk Lim Cheung/MSF

女性排除がもたらす医療危機

2021年以降、アフガニスタンでは女性の公共空間からの排除がいっそう進んでいる。女性は中等・高等教育を禁じられ、多くの公的・人道援助分野での就労も制限されている。さらに、医療へのアクセスも限られ、公共の場から締め出されているのが現状だ。

ブルカの着用義務や、外出時に男性同伴者を求めるなど、女性を対象とした追加的な規制は、不可欠な医療サービスへのアクセスをさらに阻害しているうえ、女性の医療従事者がケアを提供する妨げにもなっている。

こうした制限は、女性のみならず子どもにも深刻な影響を及ぼしている。彼らが安全で文化的にも尊重された環境で医療を受けるために、女性の医療スタッフは欠かせない存在だからだ。

アフガニスタンでのMSFの活動において、女性スタッフは中心的な役割を担い続けている。MSFは現在、7つの州で7つのプロジェクトを運営し、産科、小児科、外傷、結核の医療を提供している。 
 
同国でMSFに勤務する看護師の45%は女性であり、特に産科に重点を置くプロジェクトでは女性スタッフが過半数を占めている。女性専用の診療スペースで医療を提供するうえでも、女性スタッフは不可欠な存在となっている。

MSFが支援するアフガニスタンの産科病院で働く地元の女性スタッフたち=2026年4月2日 © Shuk Lim Cheung/MSF
MSFが支援するアフガニスタンの産科病院で働く地元の女性スタッフたち=2026年4月2日 © Shuk Lim Cheung/MSF

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