プレスリリース
限界点に立たされる南スーダン:医療施設や民間人への攻撃、レイプ、飢餓──紛争当事者は民間人の保護を
2026年05月21日
国境なき医師団(MSF)は報告書『逃げる中で彼らは殺された(They Killed Them While We Were Running)』(英文)を発表し、南スーダンで暴力が激化している現状を明らかにした。報告書によると、2025年1月から2026年4月にかけてMSFのスタッフや施設に対する攻撃は計12件に上り、推定76万2000人の人びとが医療へのアクセスを失った。
MSFは、南スーダン政府、スーダン人民解放軍・反体制派(SPLA-IO)、およびすべての紛争当事者に対し、民間人および民間インフラを保護、尊重するよう訴える。民間人と、医療施設を含む民間インフラは、決して攻撃の対象にしてはならない。これらに対する直接的な攻撃は、国際人道法の重大な違反にあたる。同法の下では、すべての紛争当事者は民間人を尊重、保護し、人口密集地域における空爆や焼夷兵器の使用など、無差別で不均衡な武力の行使を避ける義務がある。
「家に閉じ込められたまま焼かれた」──民間人が犠牲に
ジョングレイ州チュイルにあるMSFの施設で治療を受けた避難民の女性は語る。
私は子どもを連れて逃げました。遠くから村が燃えているのが見えました。彼らは家々に火を放ち、私の祖母はトゥクル(伝統的な家屋)の中に閉じ込められたまま焼かれました。年配の人たちは私たちと一緒に逃げることができず、取り残されていました。彼らは老人たちを殺したのです。
人口の密集した町や村が攻撃を受けており、その結果、民間人の死傷者、大規模な避難民の発生、そして民間インフラの破壊が生じています。
MSF南スーダン活動責任者 ザカリア・ムワティア
性暴力の被害も増加
2026年3月、中央エクアトリア州イェイの市民病院で働くMSFスタッフは、ある患者についてこう証言する。
金曜日の夜、彼女はイェイで男たちの集団にレイプされました。何人に襲われたのか、彼女自身も分かっていませんでした。
「彼女は治療を受けに私たちの元を訪れました。治療の後、彼女のおばあさんが村なら安全だろうと考え、彼女を村へ連れて帰りました。その翌週の月曜日、彼女は一人で薪を集めに出かけました。すると、身元不明の武装した男に再びレイプされてしまったのです。そして火曜日に、彼女は再びこの診療所に戻ってきました」
医療が攻撃の対象に
MSFは、立ち入りを阻まれたり、民間人や人道援助関係者に対して退避要求が出されたりする事態に直面しています。
MSF南スーダン活動責任者 ザカリア・ムワティア
民間人はまた、強制的な移動、即時および長期にわたる身体的被害、栄養失調や病気のリスク増大、心のケアのニーズの高まり、生計手段の喪失といった影響にも苦しんでいる。食料や水への安定したアクセスがないまま長距離の移動を強いられ、過酷な生活環境に置かれることで、特に人道対応の不足や栄養支援の停止と重なる場合、人びとの脆弱性は一層高まっている。
民間人、医療従事者、人道援助団体は常に保護されなければならず、必要とするすべての人びとに支援が確実に届くよう、人道アクセスは一切妨げられてはならないとMSFは改めて強く訴える。
MSFは1983年から南スーダンで活動し、同国はMSFにとって現在も最大規模の活動国の一つだ。2025年初頭以降、国内各地で戦闘が激化し、政府軍である南スーダン人民防衛軍(SSPDF)と、ウガンダ人民防衛軍(UPDF)などの同盟勢力が、スーダン人民解放軍・反体制派(SPLA-IO)や国民救済戦線(NAS)、ヌエル・ホワイト・アーミーおよび関連民兵など、複数の反政府勢力からなる分断した連合と対立している。この紛争は単純な二項対立ではなく、同盟関係が流動的に変化しており、民族、地域、政治の各側面において深刻に分断されている。




