プレスリリース

ガザ:国境なき医師団の給水車にイスラエル軍が発砲──人道援助へのアクセスの保護を

2025年09月19日
容器を持って給水を待つガザの人びと=2025年8月21日 © MSF
容器を持って給水を待つガザの人びと=2025年8月21日 © MSF

パレスチナ・ガザ地区のガザ市東部シェイク・ラドワン地区で9月15日午後、周辺で活動していた国境なき医師団(MSF)の給水車が、イスラエル軍の銃撃を受けた。給水車は当時、飲料水1万リットルの給水活動中で、車両には明確にMSFのロゴを示していた。また、通常通り車両の通行ルートとスケジュールを事前にイスラエル当局に通知していた。

この攻撃を単なる誤射と片付けることはできない。これは、ガザ市から避難すらできない市民──テントや壊れた自宅跡で貧困や病に苦しみ暮らす人びとへの給水活動を、意図的に妨害する行為だ。MSFはこの攻撃を非難し、民間人の人道援助へのアクセスは保護されなければならないと訴える。

軍事作戦の激化で医療施設も機能せず

9月12日までMSFは、シェイク・ラドワン地区で基礎診療所の救急救命室を支援していた。その診療所は同地区で機能する唯一の救急医療施設であり、週平均1100人の救急患者を受け入れていた。この地域での軍事作戦の激化を受けて保健省は診療所の移転を試みたが、適切な場所が見つからず、シェイク・ラドワン地区に残る人びとは医療が受けられない状態となった。

数十万人のパレスチナ人がガザ南部へ移動しているが、北部のガザ市に閉じ込められた大多数の人びとにとって、そこから離れることは現実的ではない。移動手段がなかったり、病気や疲労を抱えていたりするほか、南部に行っても何もないと知っているからだ。南部ではすでに避難している人を支えるサービスも足りず、新たな避難民を受け入れる余地は全くない。

人道援助の提供がますます困難になる中で、避難所やインフラを標的として人びとを強制的に地域から追い出そうとする行為は、残忍であるだけでなく違法だ。

MSFはイスラエル当局に対し、食料や水を含む人道援助物資の安全な搬入経路を直ちに開放するよう求める。また、人道援助と民間人への攻撃を直ちに停止するよう求める。民間人が人道援助を受けるためのアクセスは、許可され、保護されなければならない。

ガザ市で9月15日に銃撃を受けたMSFの給水車 © MSF 
ガザ市で9月15日に銃撃を受けたMSFの給水車 © MSF 

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