プレスリリース

国境なき医師団、長崎に停泊中の伊クルーズ船で医療援助活動を開始

2020年05月08日
コスタ・アトランチカ号 © EnDumEn
コスタ・アトランチカ号 © EnDumEn

国境なき医師団(MSF)は、長崎市に停泊中のイタリア籍クルーズ船「コスタ・アトランチカ」の乗員が新型コロナウイルスに集団感染したことを受け、長崎県に援助を申し出て、5月8日より医療援助活動を開始する。医師1人、看護師2人、プロジェクト責任者1人の計4人のチームを派遣し、船内の乗員の診察、感染した乗員の状態から緊急搬送の優先順位を付ける「トリアージ」の実施、搬送サポートなどを行う。活動期間は5月30日までの予定。

今回の活動は、クルーズ船の乗員の集団感染の状況を踏まえ、24時間体制での医療提供が求められる現場を支援するため、MSFから医療援助を長崎県に申し出て、受け入れが決まった。MSFの緊急援助コーディネーターを務める井田覚は、「これまで世界各地で様々な感染症の対策を行ってきた知見を生かし、さらなる感染拡大と重症化を防止する役割の一端を担っていきたい」と話す。

MSFは世界での新型コロナウイルス感染拡大に伴い、本年1月下旬から、中国、香港、東南アジアで援助活動を開始。その後、感染が急拡大したイタリアやスペインなど欧米10カ国以上で、社会的弱者への検査やケア、老人ホームや地元医療機関の支援を行うとともに、多くの難民が過密状態で生活するギリシャ・レスボス島などの難民キャンプで感染拡大への備えを進めてきた。さらに中東、アフリカに感染が広がるに伴い、紛争地域や難民キャンプ、医療の空白地帯を抱える多くの国や地域で、地元当局や国際機関と連携しながら緊急対策を進めている。

今回の長崎での活動は、日本国内では初の新型コロナウイルス感染症に対応する活動となる。またMSF日本は、世界での新型コロナウイルス感染症対応の活動資金の一部を日本から拠出するため、同感染症への医療援助活動および感染症拡大の影響に伴うその他の援助活動に使途を限定した寄付の募集を3月26日より開始。さらに4月1日から同感染症対策にあたる人材として、救急専門医、集中治療専門医、医療機器専門家、水・衛生専門家の4職種の緊急募集を開始した。

国境なき医師団(MSF)について

非営利で国際的な民間の医療・人道援助団体。1971年にフランスで設立。現在、世界70の国と地域で4万5000人のスタッフが活動する。世界38拠点に事務局をもち、そのうちの1つであるMSF日本は、日本から医療援助活動に参加する人材の採用・派遣、現地の人道危機や医療ニーズを伝える証言・広報活動、現地医療活動を支える資金調達などを行う。日本事務局は1992年に設立され、東京都から認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)の認定を受けている。 

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