プレスリリース

レバノン:全土で避難民が増加し、国境なき医師団は活動を拡大──国際社会は今すぐ対応の強化を

2026年03月10日
移動診療所を開設し活動にあたるスタッフ=2026年3月7日 © MSF
移動診療所を開設し活動にあたるスタッフ=2026年3月7日 © MSF

イスラエルによる爆撃が続くレバノンで、大勢の人びとが避難を余儀なくされている。国境なき医師団(MSF)はレバノン全土で移動診療をはじめとする活動を拡大させているが、人道ニーズは増え続けており、国際社会による資金と援助の拡充が急務だ。

緊急かつ柔軟な資金の拠出を

レバノンでオペレーション・マネジャーを務めるジェレミー・リストーはこう訴える。
 
「私たちは緊急対応を進めていますが、ニーズは膨大です。今この瞬間にも、何万人もの人びとが水や救援物資、医療を必要としています。レバノン全土でニーズに応えていくためには、緊急かつ柔軟に使える資金が今すぐ投入されなければなりません」
 
レバノン当局によると3月2日以降、イスラエルから続く爆撃により217人以上が死亡、約800人が負傷した(3月7日時点)。レバノン南部、ベイルート南部、ベッカー高原の広い地域に退避要求が出され、数千世帯が避難を余儀なくされている。安全な避難先がない状況で強制的に人びとを退去させることは、国際人道法違反の懸念がある。
 
「15カ月の停戦の間もイスラエルの攻撃は続き、今このように激化しました。多くの人は今、再び逃げるか、恐怖のもとで家に留まるか、困難な選択に直面しています。人口密集地域には爆撃が続いています。MSFは改めて、民間人、医療従事者、医療施設の保護を求めます」とリストーは訴える。

移動診療で避難民に医療を届ける

3月2日以降、MSFは数万人が避難するレバノン各地の避難所や都市でニーズを調査し対応を進めている。多くの人はこれまで紛争が激化した際に既に複数回の避難を余儀なくされてきた。避難所は過密状態で、車中や路上での寝泊まりを余儀なくされる人もいる。退避要求にも関わらず自宅に残る人や、避難所にスペースがなかったり他に寝泊まりする場所がなかったりするために帰宅する人たちも少なくない。
 
MSFはレバノン全土で避難民を支援するため複数の移動診療所を展開している。第3の都市である南部のサイダに新設した移動診療所では、1日で70件以上の診療を心理的応急処置とともに行った。
 
3月6日には、中部の山岳レバノン県シューフ地方バルジャで新たな移動診療所を展開。そこには1万人が避難していると推定され、MSFはわずか数時間で一般診療72件、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の診療11件、心のケアのセッション13件を行った。
 
北部のアッカール県ベブニーンでは3カ所目の移動診療所を展開し、初日には南部からの避難民50人以上を治療した。3月7日には首都ベイルートとベッカー地域で新たな移動診療所を開設して避難民を支援するとともに、避難の中で支援を受けられない人びとへ心のケアを提供する相談窓口の準備を進めた。
 
また、ベイルート、ベッカー、シューフでは、子どもや高齢者を含む数千人の避難民に対し、35万リットルの飲料水と毛布、衛生用品キットなどの救援物資7トン以上を配布。ナバティエ及び南レバノン県では、 イスラエルによる退避要求とスタッフの安全確保が困難な状況を受け、現地活動を一時停止せざるを得なかったが、MSFは同地域での支援継続を模索し続けている。同時に、ベイルートのブルジュ・ハムードとバールベック・ヘルメル県のアルサルにある診療所の運営を継続し、トリポリの基礎診療所への支援も続けている。
 
レバノンで続く人道危機は深刻さを増している。レバノン政府と国連による2026年レバノン対応計画の資金拠出は現在わずか14%にとどまり、支援物資などの備蓄も極めて乏しい状況だ。MSFは、避難民や受け入れ地域への支援を早急に拡大するため、緊急かつ柔軟に使える資金の速やかな投入を国際社会に求めている。
 
MSFはレバノン当局や関係機関と調整を続け、ニーズの拡大に応じて活動を拡大する方針だ。

MSFは移動診療のほか、水や毛布など救援物資の提供を行っている=2026年3月7日 © MSF
MSFは移動診療のほか、水や毛布など救援物資の提供を行っている=2026年3月7日 © MSF

この記事のタグ

関連記事

活動ニュースを選ぶ