パレスチナにおける国境なき医師団のスタッフ登録と医療活動の継続について

2026年01月26日
© iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo
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国境なき医師団(MSF)は、2026年3月1日以降にパレスチナでの活動の停止を余儀なくされる事態を避けるため、例外的な措置として、スタッフの安全を最優先とする明確な条件のもとで、パレスチナ人と国際派遣スタッフの氏名の限定的なリストを共有する用意があることを、イスラエル当局に通知しました。

これは、スタッフの個人情報の提出を求める、イスラエル当局による不合理な要求を受けたものです。

この判断は、パレスチナ人スタッフとの広範な協議を経たものであり、関係する個々のスタッフの明確な同意がある場合のみ実施されます。

MSFは、不可欠な医療支援を継続するという唯一の目的のため、この立場についてイスラエル当局に書簡で伝えました。

イスラエル当局や関係する各国政府との数カ月にわたる協議の中で、私たちはあらゆる代替策を検討してきました。

MSFにとっての最優先事項は、スタッフの安全を確保しつつ、切実な状況にあるガザとヨルダン川西岸の両地区にいるパレスチナ人に対し、独立した不可欠な医療を提供し続けることです。

イスラエルは、MSFとパレスチナ人スタッフに対し、不可能な選択を突きつけています。つまり、「この情報を提供するか、または命に関わる医療を必要とする数十万人のパレスチナ人を見捨てるか」という選択です。

MSFはこれまで、個人情報を提供することに正当な懸念を抱き、リストの提出を拒否してきました。その背景には、紛争が激化した2023年10月以降に計1700人の医療従事者が殺害され、このうちMSFのスタッフも15人含まれているという現実があります。

今回、この情報を共有する場合は、それがMSFスタッフや医療人道活動に不利益をもたらさないことを前提としています。

ガザとヨルダン川西岸のパレスチナの人びとは今、MSFのような組織による人道援助の大幅な拡大を切実に必要としています。両地区の状況は依然として壊滅的であり、数百万人に及ぶ人びとの人道ニーズは極めて深刻です。必要なのは支援の縮小ではなく、拡充なのです。

しかし、2026年1月1日以降、MSFの国際スタッフはガザへの入域をすべて拒否され、MSFの物資搬入も全面的に遮断されています。

これらの行政的な妨害措置が、人道活動そのものを弱体化させ、信用を失墜させ、おとしめるための、より広範な取り組みの一環であることを強く懸念しています。

それでもMSFは、イスラエル当局との対話を模索し続け、独立した人道援助の原則を改めて確認します。そして最終的には、これまでで最大の困難に直面している多くのパレスチナの人びとを決して見捨てることなく、医療活動を続けることを目指しています。

ガザ地区におけるMSFの活動概要

MSFはガザで2025年、単独で約80万件の外来診療を実施して、10万件以上の外傷症例に対応し、7億リットル超の水を配布しました。
 
現在、MSFは病院6カ所で活動し、医療施設7カ所と診療所4カ所を支援し、仮設病院2カ所を運営しています。
 
2026年始めの時点では、ガザの病床の5床に1床、出生の3人に1人をMSFが支えていました。また、ガザ人口の約30%に当たる63万5000人以上の水需要に、日常的に対応しています。

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