ガザ南部ハンユニス:イスラエル軍による攻撃で、国境なき医師団の家族2人が死亡、6人が負傷

2024年02月22日
攻撃を受けたMSFの避難所=2024年2月21日 Ⓒ Mohammed Abed
攻撃を受けたMSFの避難所=2024年2月21日 Ⓒ Mohammed Abed

2月21日、イスラエル軍の攻撃により、ガザ南部ハンユニスのアル・マワシ地区で国境なき医師団(MSF)スタッフの家族2人が殺害され6人が負傷した。MSFは、この攻撃を最も強い言葉で非難する。

ガザのどこにも安全な場所はない

2月20日夜遅く、イスラエル軍はパレスチナ・ガザ地区の海岸線にあるアル・マワシ地区で軍事作戦を行った。その際、イスラエル軍の戦車がMSFの同僚とその家族が避難している家屋に発砲した。この攻撃で、MSFスタッフの娘と妻が死亡し、6人が負傷した。銃弾はMSFの建物にも撃ち込まれ、正門、建物の外壁、1階の内部に命中した。

この地域の砲撃により救急隊が駆けつけるまでに2時間以上かかった。負傷者(何人かはやけどを負っていた)はラファにある国際医療団体、インターナショナル・メディカル・コープス(IMC)の野外病院に運びこまれた。

「私たちはこのような悲劇に憤り、深い悲しみを感じています」と、ガザでMSFの医療活動を指揮する事務局長のメイニー・ニコライは言う。「米国が国連安保理で即時停戦に拒否権を発動した同じ日に、犠牲者の2人の娘は、イスラエル軍戦車の砲弾で母親と義理の姉が殺されるのを見たのです」

「ガザのどこにも安全な場所はなく、安全な場所を確保するという約束は空虚で、衝突回避のメカニズムも信頼できないという厳しい現実が、改めて浮き彫りになりました」とニコライは言う。

人口密度の高い都市部で、とんでもない勢いでの武力行使が続いているうえ、人道支援要員とその家族がたくさんいる建物を標的にすることは、良心を欠く行為です。

メイニー・ニコライ、MSF事務局長

イスラエル軍は人命を軽視

攻撃当時、この家には64人が避難していた。イスラエル軍を含むすべての紛争当事者には、特定の場所におけるMSFチームの所在を定期的に通知しており、、当事者らはその存在を認知している。イスラエル軍は、アル・マワシ地区にある、このMSFの避難所の正確な場所を、明確に把握している。

これに加え、建物の外側には、2メートル×3メートルのMSFの旗が掲げられていた。攻撃の前にイスラエル軍から退避要求は出ていなかった。MSFはイスラエル当局と連絡を取り、さらなる説明を求めている。

アル・マワシ地区での攻撃の前にMSFの避難所で生活していた同僚やその家族の中には、1月8日にラファの別の避難所が攻撃され、MSFスタッフの5歳の娘が死亡した事件を生き延びた者もいた。

このことは、イスラエル軍が軍事作戦において市民の安全を確保せず、人命を完全に軽視し、医療活動を尊重していないことを改めて示している。これでは、ガザでの医療・人道援助活動を維持することはほぼ不可能だ。

建物の外壁にはMSFの旗が掲げられている=2024年2月21日 Ⓒ Mohammed Abed
建物の外壁にはMSFの旗が掲げられている=2024年2月21日 Ⓒ Mohammed Abed


MSFは、昨日の攻撃を生き延びた同僚とその家族、そして殺害された人たちの愛する人たちを支える努力を続けている。ガザで紛争が激化して以降、5人のMSFスタッフが殺害され、さらに多くの家族が犠牲になっている。

MSFは、ガザにおける即時かつ持続的な停戦を改めて求める。市民に対する暴力は今すぐ止めなければならない。

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