村に帰りたい……暴力で故郷を追われた人びと

2019年10月24日

ナイジェリアは、国のさまざまな地域で暴力的な紛争の急増に直面している。 北西部ザムファラ州では2018年以来、武装した犯罪者が地元の村々への残忍な攻撃をしたため、治安が大幅に悪化している。このため、ザムファラ州の何千人もの人びとが家を逃れ、安全な場所、アンカの町に避難した。避難してきた人びとの思いとは——。 

© Benedicte Kurzen/NOOR© Benedicte Kurzen/NOOR

「薪を集めて売らないと、食べ物を買えないので、家賃のかかる借家に住むなど考えられないです」ズワイラさん一家は暴力を逃れる途中、全てを失った。現在はアンカにある学校の廃墟で暮らしている。 

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「子どものうち2人はキャンプに来てからコレラで亡くなりました。今とどまっているこの場所ですね」と暴力が吹き荒れた村から逃げてきたアブバカルさんは話す。アンカに避難している人びとは、食糧、医療、清潔な水の不足に悩まされている。他方、村の襲撃は現在も続いている。 

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「私の村では、襲撃が怖くて全く眠れませんでした。ここアンカでは、少なくとも両目を閉じて寝られます」。ムハンマドさんが村長を務めていた村は、武装犯罪集団に壊された。

「30軒以上もの家が焼き払われましたよ──村は跡形もありません」  

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「奴らは真っ昼間に来ました。私たちの村へ降りて来た途端、銃を撃ちだしたのです。もう帰れません。危なくてしょうがないですから」

ラハムさんはやむなく自宅を後にし、現在はアンカにある工事現場で暮らしている。 

「明るい未来が待っていますように……」ささやかな願い

ベヌエ州でも、放牧地と農地をめぐる民族間紛争が何年も続き、ここ2年で事態が悪化した。気候変動の影響もあり、農地などに適した土地が足りなくなったこと、また民族間紛争の激化で、数千人が村から避難せざるを得なくなった。 

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「夫は1週間前に肺炎で亡くなりました。遺体は今も安置所にあります。これからはもっとよくなって、明るい未来が待っていますようにと神に祈っています。今は大変なのですから」

ドーカスさんは小さなお店を開いて家計の足しにしている。現在は、ナイジェリア・ベヌエ州にあるアバガナ・キャンプで暮らしている。 

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「畑を耕さなくては生きていけないので、夫は村へ帰らなくてはならなかったのです。でもいつもはらはらしています」

ムルマムさんは子どもたちと一緒にナイジェリア・ベヌエ州にあるアバガナ・キャンプで暮らしている。キャンプ住民は1000人を優に超え、みな地域間の暴力から逃れてきた人ばかりだ。 

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「いきなり銃声がしたんです。それでみんなして村から逃げ出しました」

テレサさんと子どもたちは現在、食糧配給に頼って暮らしている。配給は地域の行政がナイジェリア・ベヌエ州にあるアバガナ・キャンプで行っているものだ。

「いつの日か、暴力が過ぎ去ったとき、村に帰るつもりです」 

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