子どもたちの命が脅かされる地で アフリカ・チャド湖周辺国での活動

2022年06月23日

食べ物が足りない、薬が足りない。子どもが日に日に弱っていく——。国境なき医師団(MSF)、ナイジェリア、ニジェール、カメルーン、チャド4カ国にまたがるチャド湖周辺国で栄養失調やはしかに苦しむ子どもたちに医療援助を提供。紛争により心の傷を負った大人や子どもも多く、心のケアにもあたっている。

ニジェール

ニジェール南部では、毎年7月から10月にかけて、季節性の急性栄養失調とマラリアに苦しむ子どもたちが急増する。MSFは保健当局と連携し、マラディ地域で重度栄養失調の子どもの治療に当たっているが、2021年にはピークを迎える前の6月時点で、患者数は昨年を大きく上回った。
 
また隣国ナイジェリアからも、飢えに苦しむ多くの家族が栄養失調のわが子を連れて国境を越え、マラディの病院を訪れる。こうした状況の中、MSFはニジェールとナイジェリア、どちらの国の患者も受け入れ、栄養治療を実施。その様子を動画で伝える。

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チャド

1歳のわが子を連れてMSFの栄養治療センターを受診した母親 © Claudia Blume/MSF
1歳のわが子を連れてMSFの栄養治療センターを受診した母親 © Claudia Blume/MSF

アフリカ中央部に位置するチャドのハジェル・ラミ州にある小さな町の診療所。MSFが開設した栄養治療センターの待合室で、ハディジャ ・イバさん(30歳)は生後9カ月になる娘のサラちゃんを抱いている。サラちゃんは1カ月前から栄養治療を受けており、イバさんはこの日、そのまま食べられる栄養治療食を1週間分受け取り、翌週の診察までサラちゃんに食べさせるよう医療スタッフから告げられた。

MSFはハジェル・ラミ州の7つの診療所の栄養治療センターで栄養失調の子どもを治療するほか、健康推進を担うスタッフがが遠隔地の村を訪ね、子どもを持つ母親を対象に栄養失調の確認方法や予防方法の周知も行なっている。

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ナイジェリア

武装集団による拉致や略奪などの暴力が拡大している、ナイジェリア北西部のザムファラ州。家を追われ避難生活を送る人びとは、食料や水が不足する中で暮らし、栄養失調やはしかに陥る子どもが増えている。武装集団による性暴力のケースも後を絶たない。

MSFは子どものための栄養治療センターと、集中治療室を備えた小児病院を運営。ンガラとバンキの避難民キャンプではマラリアの治療を行い、予防薬を配布した。このほかボルノ州では専門医療を提供し、公立病院で救急医療を支援している。

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カメルーン

武力衝突によって村を焼け出され、避難してきた人びと © MSF
武力衝突によって村を焼け出され、避難してきた人びと © MSF

2021年8月、カメルーン極北州でムスグム族とショア族という2つのアラブ系住民間の土地争いが武力衝突へと発展した。複数の村から焼け出された約3万人もの人びとが国内の他の地区や隣国チャドへと避難を余儀なくされている。
 
雨期によるマラリアの感染が拡大、さらに洪水によって、コレラなどの下痢性疾患のリスクも増加。MSFはチャドと国境を挟んだクッセリ地区の保健局と協力し、初期段階から医療援助に当たった

2012年から活動してきた極北州では、外科治療、心のケア、産科・周産期ケアなどを提供し、カメルーンの保健体制を支援している。

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