焼け出され、着の身着のまま逃げて来た避難民へ援助を カメルーン北部、紛争地からの報告

2021年10月04日掲載

武力衝突によって村を焼け出され、避難してきたロゴン・ビルニ地区の人びと © MSF武力衝突によって村を焼け出され、避難してきたロゴン・ビルニ地区の人びと © MSF

2021年8月10日、カメルーン極北州にあるロゴン・ビルニ地区で、ムスグム族とショア族という2つのアラブ系住民間の土地争いが武力衝突へと発展した。それから1カ月、一帯の治安は戻りつつあるが、この紛争による死者は数十人、負傷者は約100人に上ったほか、複数の村から焼け出された約3万人もの人びとが国内の他の地区や隣国チャドへと避難を余儀なくされている。

また7月から9月にかけて雨期を迎えた極北州では、マラリアの感染が拡大しており、さらに洪水によって、コレラなどの下痢性疾患のリスクも増加。国境なき医師団(MSF)は、チャドと国境を挟んだクッセリ地区の保健局と協力し、初期段階から医療援助に当たっている。

負傷者、感染症、重度栄養失調……さまざまな症状の患者に対応

同地区で活動するMSFの緊急対応プロジェクト責任者ディウフは言う。「この支援によってクッセリの病院では、負傷した人たちにより良い治療を提供できるようになりました。ここでは命を救えない重傷の患者さんは、チャドの首都ンジャメナの施設へ搬送し、治療を行っています」

MSFはまた、緊急援助のために訪れたチャドのウンドゥマ村とガマコトコ村でも、着の身着のままで数キロもの距離を歩いて避難してきた人びとの対応に当たった。マラリア、下痢、子どもの栄養失調など1972件の診療を行ったほか、負傷者・妊婦・重度栄養失調児ら33人を、ンジャメナでMSFが支援する医療施設に紹介した。ロゴーヌ川のチャド側に避難した人や、避難民の受け入れ先となっている地域については、他の援助団体に引き継ぎ、人びとのニーズに応じた医療援助が継続されている。

人道危機への対応を専門とする国際NGOとして、MSFは負傷者や避難者に支援とケアを提供するため、調整を行うチームとともに、医師2人、看護師2人、心理療法士1名で構成する医療チームを戦闘が起きたミシカ村に派遣。55人分の救急医療キットと、重傷者をチャドへ搬送するための救急車を寄贈し、外傷治療を支援した。8月末には治安状況の改善に伴って活動を縮小したものの、各方面の関係者と連携し、現地でどのような援助が必要とされているかを把握するため、引き続き調査を続けている。

避難してきた人びとの対応に当たるMSFのスタッフ © MSF避難してきた人びとの対応に当たるMSFのスタッフ © MSF

MSFは、1984年にカメルーンで活動を開始。現在は極北州と南西州で医療・人道援助を実施するほか、2020年12月に当局の決定により活動停止を余儀なくされた北西州で、再開に向けた交渉を続けている。2012年から活動してきた極北州では、外科治療、心のケア、産科・周産期ケアなどを提供し、カメルーンの保健体制を支援。現在は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を抑えるため、予防対策についての啓発活動も続けている。

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