【写真で振り返る2024年】医療を必要とする人びとのそばに──国境なき医師団の活動地から

2024年12月17日
MSFの健康推進チームが栄養失調の予防と治療に関するセッションを行う Ⓒ Georg Gassauer/MSF
MSFの健康推進チームが栄養失調の予防と治療に関するセッションを行う Ⓒ Georg Gassauer/MSF

国境なき医師団(MSF)は、この1年、紛争の継続と激化を目の当たりにしてきました。パレスチナ・ガザ地区やスーダンの戦火は、2年目に入ってもその激しさが止むことはありません。MSFはまた、1年を通して安全を求める人びとのために活動しました。メキシコの国境から、地中海の海難捜索救助船まで。私たちはMSFを必要とする人びとのそばにいます。

2023年12月から2024年11月までに撮影された写真は、MSFが過去12カ月間に70以上の国と地域で実施した医療・人道援助活動を映し出しています。そこで語られるのは、MSFと援助を必要とする人びとのさまざまなストーリー。ハイチの首都における活動停止から、南スーダンで出産した母親が初めて赤ちゃんに出会う場面まで。活動の難しさや限界だけではなく、人びとが見せる回復力や喜びの瞬間も描き出されています。これらの写真は、人道危機の現場を見つめ、その証人となることで、私たちの間につながりが生まれることを教えてくれます。
 
医療とは、最も困難な状況にある人びとの救いとなるものです。たとえ私たちの周りで医療活動を行う際の障害が大きくなっているとしても──。必要とする人びとに医療を届けよう。そう献身的に努力するMSFのスタッフの姿も、そこには映し出されています。

写真が語る──世界の人道危機とMSFの活動

ナイジェリア:ベヌエ州の州都マクルディの製粉所で働く人びと。穀物をふるい、選別する。ベヌエは農業がさかんに行われ「ナイジェリアの穀倉地帯」として知られる=2023年12月13日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
ナイジェリア:ベヌエ州の州都マクルディの製粉所で働く人びと。穀物をふるい、選別する。ベヌエは農業がさかんに行われ「ナイジェリアの穀倉地帯」として知られる=2023年12月13日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
パレスチナ:ガザ地区南部ラファの市街はシェルターを作る人びとであふれた=2023年12月27日 Ⓒ MSF
パレスチナ:ガザ地区南部ラファの市街はシェルターを作る人びとであふれた=2023年12月27日 Ⓒ MSF
シリア: 北東部のアルホール・キャンプにあるMSFのメンタルヘルスクリニック。壁に絵を描く10代の若者=2023年12月13日 Ⓒ Azad Mourad/MSF
シリア: 北東部のアルホール・キャンプにあるMSFのメンタルヘルスクリニック。壁に絵を描く10代の若者=2023年12月13日 Ⓒ Azad Mourad/MSF
ナイジェリア: MSFの診療所で渡された笛を手にするドゥーシマさん。性的虐待の被害に遭いやすい環境下で暮らす人びとを守るためのものだ=2023年12月14日 Ⓒ Kasia Strek
ナイジェリア: MSFの診療所で渡された笛を手にするドゥーシマさん。性的虐待の被害に遭いやすい環境下で暮らす人びとを守るためのものだ=2023年12月14日 Ⓒ Kasia Strek
バングラデシュ:火災のあった翌日のコックスバザール難民キャンプ。火事は3時間続き、900近い仮設住居が焼失した=2024年1月8日 Ⓒ  Jan Bohm/MSF
バングラデシュ:火災のあった翌日のコックスバザール難民キャンプ。火事は3時間続き、900近い仮設住居が焼失した=2024年1月8日 Ⓒ Jan Bohm/MSF
コンゴ民主共和国:キンシャサ州リメテ区のキンガブワ地区に住むジュリエンヌさん。玄関の前で、カヌーで学校に行った子どもたちを待つ。この地域は何年も洪水被害に見舞われている=2024年1月18日 Ⓒ  Marion Molinari/MSF
コンゴ民主共和国:キンシャサ州リメテ区のキンガブワ地区に住むジュリエンヌさん。玄関の前で、カヌーで学校に行った子どもたちを待つ。この地域は何年も洪水被害に見舞われている=2024年1月18日 Ⓒ Marion Molinari/MSF
コンゴ民主共和国:南キブ州のミノバから、北キブ州の州都ゴマに到着したエリックさん。家族のためすぐにテントを建て始めた。翌日には防水シートを探し、完成させる予定だ=2024年2月17日 Ⓒ  Marion Molinari/MSF
コンゴ民主共和国:南キブ州のミノバから、北キブ州の州都ゴマに到着したエリックさん。家族のためすぐにテントを建て始めた。翌日には防水シートを探し、完成させる予定だ=2024年2月17日 Ⓒ Marion Molinari/MSF
ナイジェリア:北西部ケビ州で男性向けに栄養失調の予防と治療に関するセッションを行うMSFの健康推進チーム。栄養失調の改善に取り組むためには、男性の支持と理解が欠かせない=2024年2月1日 Ⓒ  Georg Gassauer/MSF
ナイジェリア:北西部ケビ州で男性向けに栄養失調の予防と治療に関するセッションを行うMSFの健康推進チーム。栄養失調の改善に取り組むためには、男性の支持と理解が欠かせない=2024年2月1日 Ⓒ Georg Gassauer/MSF
アメリカ合衆国:破壊されたMSF施設の写真を掲げる、MSFインターナショナル事務局長のクリストファー・ロックイヤー。2月22日の国連安全保障理事会において、パレスチナ・ガザ地区での即時かつ持続的な停戦の必要性を訴え、医療施設、医療スタッフ、そして患者を保護するよう求めた=2024年2月22日 Ⓒ  UN Photo/Loey Felipe
アメリカ合衆国:破壊されたMSF施設の写真を掲げる、MSFインターナショナル事務局長のクリストファー・ロックイヤー。2月22日の国連安全保障理事会において、パレスチナ・ガザ地区での即時かつ持続的な停戦の必要性を訴え、医療施設、医療スタッフ、そして患者を保護するよう求めた=2024年2月22日 Ⓒ UN Photo/Loey Felipe
スーダン:破壊されたスーダン軍の戦車と、その横を走るリキシャタクシー。2023年、西ダルフール州のジェネイナで起きた激しい戦闘の名残だ=2024年2月20日 Ⓒ  Diana Zeyneb Alhindawi
スーダン:破壊されたスーダン軍の戦車と、その横を走るリキシャタクシー。2023年、西ダルフール州のジェネイナで起きた激しい戦闘の名残だ=2024年2月20日 Ⓒ Diana Zeyneb Alhindawi
南スーダン:帝王切開で誕生した娘のフアンちゃんと対面するイタ・ジョイスさん。このムンダリ郡病院は、中央エクアトリア州カジョ・ケジにある唯一の二次医療施設となっている=2024年3月25日 Ⓒ Manon Massiat/MSF
南スーダン:帝王切開で誕生した娘のフアンちゃんと対面するイタ・ジョイスさん。このムンダリ郡病院は、中央エクアトリア州カジョ・ケジにある唯一の二次医療施設となっている=2024年3月25日 Ⓒ Manon Massiat/MSF
ハイチ:武装集団と警察部隊が衝突した後の首都ポルトープランスの通りの様子=2024年3月16日 Ⓒ Corentin Fohlen/Divergence
ハイチ:武装集団と警察部隊が衝突した後の首都ポルトープランスの通りの様子=2024年3月16日 Ⓒ Corentin Fohlen/Divergence
地中海:夜間の捜索救助活動中に過密状態のボートが転覆。MSFのチームは、45人全員を無事に救出した=2024年3月16日 Ⓒ Simone Boccaccio
地中海:夜間の捜索救助活動中に過密状態のボートが転覆。MSFのチームは、45人全員を無事に救出した=2024年3月16日 Ⓒ Simone Boccaccio
パレスチナ:イスラエル軍による包囲の後の、ガザ南部ハンユニスのナセル病院。2024年1月末、イスラエル軍は一帯に退避要求を出して、病院を包囲。病院は数週間にわたる激しい戦闘にさらされた=2024年4月23日 Ⓒ Ben Milpas/MSF
パレスチナ:イスラエル軍による包囲の後の、ガザ南部ハンユニスのナセル病院。2024年1月末、イスラエル軍は一帯に退避要求を出して、病院を包囲。病院は数週間にわたる激しい戦闘にさらされた=2024年4月23日 Ⓒ Ben Milpas/MSF
パキスタン:息子の宿題を手伝うシャヒード・カーンさん。カーンさんはC型肝炎の治療を無事に終えることができた=2024年4月24日 Ⓒ Asim Hafeez
パキスタン:息子の宿題を手伝うシャヒード・カーンさん。カーンさんはC型肝炎の治療を無事に終えることができた=2024年4月24日 Ⓒ Asim Hafeez
チャド:MSFのスタッフがアドレ病院の患者のために企画した、野外の映画上映会=2024年4月16日 Ⓒ Corentin Fohlen/Divergence
チャド:MSFのスタッフがアドレ病院の患者のために企画した、野外の映画上映会=2024年4月16日 Ⓒ Corentin Fohlen/Divergence
チャド:スーダンとの国境の街アドレ。この時点ですでに60万人がスーダンの戦火を逃れてチャドに避難しており、今も日々新たな避難民が到着している=2024年4月19日 Ⓒ Corentin Fohlen/Divergence
チャド:スーダンとの国境の街アドレ。この時点ですでに60万人がスーダンの戦火を逃れてチャドに避難しており、今も日々新たな避難民が到着している=2024年4月19日 Ⓒ Corentin Fohlen/Divergence
ヨルダン:MSFの病院内にあるアートスクールで、手芸作品の制作に取り組むイエメン出身のアイシャさん。病院で治療を受けたアイシャさんは、作業療法で義手の使い方を学び、自立に役立てた=2024年5月2日 Ⓒ Rehab Eldalil/MSF
ヨルダン:MSFの病院内にあるアートスクールで、手芸作品の制作に取り組むイエメン出身のアイシャさん。病院で治療を受けたアイシャさんは、作業療法で義手の使い方を学び、自立に役立てた=2024年5月2日 Ⓒ Rehab Eldalil/MSF
タジキスタン:自宅でカウンセリングを受けるアクマル・ウガノフさん。ウガノフさんは2019年に結核を発症。MSFはウガノフさんに毎月の診断、投薬、食事、心理的サポートを行い、治療を確実なものにしている=2024年5月15日 Ⓒ Natalia Chekotun/MSF
タジキスタン:自宅でカウンセリングを受けるアクマル・ウガノフさん。ウガノフさんは2019年に結核を発症。MSFはウガノフさんに毎月の診断、投薬、食事、心理的サポートを行い、治療を確実なものにしている=2024年5月15日 Ⓒ Natalia Chekotun/MSF
地中海:地中海から回収された11人の遺体。イタリア当局の指示により、捜索救助船ジオ・バレンツ号のチームによってイタリア沿岸警備隊の船に移された。安全を求め欧州を目指す途中に海で溺れ亡くなった人びとの遺体を捜索し、回収するのに9時間が費やされた=2024年6月8日 Ⓒ Frederic Seguin/MSF
地中海:地中海から回収された11人の遺体。イタリア当局の指示により、捜索救助船ジオ・バレンツ号のチームによってイタリア沿岸警備隊の船に移された。安全を求め欧州を目指す途中に海で溺れ亡くなった人びとの遺体を捜索し、回収するのに9時間が費やされた=2024年6月8日 Ⓒ Frederic Seguin/MSF
南スーダン:ユニティー州ベンティウの国内避難民キャンプ。洪水で流された木材を運ぶローダ・ネファザル・ムノットさんと、どこへ行くにも母親の後をついていく息子=2024年6月21日 Ⓒ Isaac Buay/MSF
南スーダン:ユニティー州ベンティウの国内避難民キャンプ。洪水で流された木材を運ぶローダ・ネファザル・ムノットさんと、どこへ行くにも母親の後をついていく息子=2024年6月21日 Ⓒ Isaac Buay/MSF
チャド:アドレの一時滞在キャンプ。80歳の患者、アイシャ・Gさんにヘルスプロモーターのアイシャ・Bが付き添い、MSFの診療所に向かう=2024年7月30日 Ⓒ Ante Bussmann/MSF
チャド:アドレの一時滞在キャンプ。80歳の患者、アイシャ・Gさんにヘルスプロモーターのアイシャ・Bが付き添い、MSFの診療所に向かう=2024年7月30日 Ⓒ Ante Bussmann/MSF
ウクライナ:肋骨を折り、手足にやけどを負った患者が搬送される。患者は、地雷で吹き飛ばされたことは覚えているが、その日起こった出来事の一つ一つは思い出せないままだ=2024年8月7日 Ⓒ Olexandr Glyadyelov
ウクライナ:肋骨を折り、手足にやけどを負った患者が搬送される。患者は、地雷で吹き飛ばされたことは覚えているが、その日起こった出来事の一つ一つは思い出せないままだ=2024年8月7日 Ⓒ Olexandr Glyadyelov
メキシコ:アメリカ合衆国とメキシコの国境の壁が終わり、胸までの高さのフェンスが国境を示し続ける。アリゾナ州ササベの18マイル(約29キロメートル)東に位置するこの場所は、移民や難民希望者が国境を通過するポイントとして使われている=2024年8月16日 Ⓒ Maria Elena Romero/MSF
メキシコ:アメリカ合衆国とメキシコの国境の壁が終わり、胸までの高さのフェンスが国境を示し続ける。アリゾナ州ササベの18マイル(約29キロメートル)東に位置するこの場所は、移民や難民希望者が国境を通過するポイントとして使われている=2024年8月16日 Ⓒ Maria Elena Romero/MSF
ナイジェリア:ボルノ州マイドゥグリの入院栄養治療センターの集中治療病棟。MSFのスタッフから栄養治療食を受け取る母親のマリアムさん=2024年8月18日 Ⓒ Abba Adamu Musa/MSF
ナイジェリア:ボルノ州マイドゥグリの入院栄養治療センターの集中治療病棟。MSFのスタッフから栄養治療食を受け取る母親のマリアムさん=2024年8月18日 Ⓒ Abba Adamu Musa/MSF
パレスチナ:ヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプ。イスラエル軍にブルドーザーで破壊された自宅の瓦礫に立つオマルさん=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
パレスチナ:ヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプ。イスラエル軍にブルドーザーで破壊された自宅の瓦礫に立つオマルさん=2024年9月12日 Ⓒ Alexandre Marcou/MSF
スーダン:破壊されたニャラ教育病院=2024年9月5日 Ⓒ Abdalla Berima/MSF
スーダン:破壊されたニャラ教育病院=2024年9月5日 Ⓒ Abdalla Berima/MSF
ハイチ:広範囲にわたるやけどを負ったケノール・コマンさん。9月14日、ミラゴワーヌで起きた燃料タンカーの爆発後、多数の負傷者がMSFの施設に運ばれた=2024年9月18日 Ⓒ Quentin Bruno Vanbergen/MSF
ハイチ:広範囲にわたるやけどを負ったケノール・コマンさん。9月14日、ミラゴワーヌで起きた燃料タンカーの爆発後、多数の負傷者がMSFの施設に運ばれた=2024年9月18日 Ⓒ Quentin Bruno Vanbergen/MSF
レバノン:ベイルートのアザリエ避難所に逃れた、エズディハール・アル・ディカールさんと娘のヌーラヤさん。避難先では一つの部屋に14人が暮らす=2024年10月11日 Ⓒ Antoni Lallican/Hans Lucas
レバノン:ベイルートのアザリエ避難所に逃れた、エズディハール・アル・ディカールさんと娘のヌーラヤさん。避難先では一つの部屋に14人が暮らす=2024年10月11日 Ⓒ Antoni Lallican/Hans Lucas
ウクライナ:地雷による負傷で切断手術を受け、1カ月半入院していたユーリさん。バランスの訓練に重点を置き、理学療法のセッションを受ける=2024年10月22日 Ⓒ Yuliia Trofimova/MSF
ウクライナ:地雷による負傷で切断手術を受け、1カ月半入院していたユーリさん。バランスの訓練に重点を置き、理学療法のセッションを受ける=2024年10月22日 Ⓒ Yuliia Trofimova/MSF
南アフリカ:ヨハネスブルグにあるノボ ノルディスク社のオフィス前でのピケ。インスリンペンの価格を1ドルに引き下げ、供給面でのダブルスタンダードを廃止するよう求めた=2024年11月14日 Ⓒ Bafana Ngwenya/MSF
南アフリカ:ヨハネスブルグにあるノボ ノルディスク社のオフィス前でのピケ。インスリンペンの価格を1ドルに引き下げ、供給面でのダブルスタンダードを廃止するよう求めた=2024年11月14日 Ⓒ Bafana Ngwenya/MSF
イエメン:モカで活動に従事するMSFの助産師チーム。紅海に沈む夕日を皆で眺め、1日の仕事を終えた=2024年11月11日 Ⓒ Julie David de Lossy/MSF
イエメン:モカで活動に従事するMSFの助産師チーム。紅海に沈む夕日を皆で眺め、1日の仕事を終えた=2024年11月11日 Ⓒ Julie David de Lossy/MSF

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