「民間人への爆撃をやめて」──空爆で深まるミャンマーの危機、国境なき医師団の医療責任者が訴え

2026年10月01日
© iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo
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ミャンマー西部ラカイン州で9月28日に発生した空爆では、少なくとも50人が死亡し、60人が負傷したと報じられている。

負傷者の多くは高度な外傷治療を必要としているが、長引く紛争によって地域の医療体制はすでに限界に近い状況となっている。

国境なき医師団(MSF)でミャンマーの医療プログラムマネジャーを務めるマーク・シャーロックは「民間人への爆撃、病院への攻撃をやめてください。そして、必要とする人びとに医療を届けさせてください」と訴える。

MSFのミャンマー医療プログラムマネジャー マーク・シャーロック

医療体制は崩壊寸前

ミャンマー・ラカイン州チャウタウの市場付近で9月28日に起きた空爆では、少なくとも50人が死亡したと報じられています。しかし、医師として言えるのは、犠牲者の数は今後さらに増える可能性が高いということです。
 
また、女性や子どもを含む少なくとも60人が負傷し、手足を失ったり、重度のやけどを負ったりしました。多くの負傷者は高度な外傷治療を必要としていますが、ラカイン州の医療体制にはそれに対応できる十分な能力がありません。
 
負傷者の多くが搬送されているラカイン州中部では、機能している病院はわずかしか残っていません。医療従事者はすでに限界に近い状況で働いています。医薬品や医療機器、人員だけでなく、患者の回復に必要な食料さえ不足するなか、日々対応を迫られています。こうした状況において、紛争による多くの負傷者を受け入れることで、医療サービスは崩壊寸前まで追い込まれています。
 
私はこの5年間、MSFでミャンマーの医療プログラムマネジャーを務めてきました。ラカイン州をはじめ、MSFが活動する紛争地域では、医療システムはかろうじて維持されている状態です。

繰り返される医療施設への攻撃

爆発による外傷、骨折、肺損傷、内出血、重度のやけどは、緊急手術や術後ケアを含む専門的な医療を直ちに必要とします。少なくとも17人が重体であると私たちは把握しています。
 
しかし、そのような重傷者であっても、安全に治療を受けられるとは限りません。患者自身も、その治療にあたる医療従事者も、安全が確保されていないためです。
 
国際人道法では、病院や民間インフラは保護されるべき存在です。しかし、過去9カ月の間にかつてMSFが支援していた医療施設が2度攻撃を受けました。2025年12月にミャウウー総合病院への空爆で33人が死亡、70人が負傷しました。2026年3月にはシットウェ総合病院が砲撃を受け、医薬品倉庫が破壊されました。
 
これは氷山の一角に過ぎません。調査機関「インセキュリティ・インサイト」によると、ミャンマーでは2021~2026年の間に、医療施設や医療活動に対する攻撃が約2000件記録されています。
 
暴力によって医療体制が破壊され続けるなか、現在ラカイン州から聞こえてくる状況に私は驚いていません。治安が悪化するにつれて、人びとは医療を受けに移動すること自体を恐れるようになっています。
 
治療を遅らせながら自宅にとどまる危険を選ぶのか、それとも多くの人が集まることで攻撃対象になりかねない病院へ向かうのか──。人びとはその二つの危険の間で判断を迫られているのです。

「当たり前」にしないで

移動診療など、地域に根差した医療活動も縮小せざるを得ない状況です。人が集まることで攻撃の標的となることを避けるため、一部の基礎診療所は閉鎖されています。
 
医療を求める人びとや、医療を提供する医療従事者が、このような危険の中で行動しなければならない状況を、決して「当たり前」と受け入れてはなりません。
 
医療は保護されなければなりません。攻撃から守られるだけでなく、医療のために必要なものが奪われることからも守られなければなりません。
 
民間人への爆撃をやめてください。病院への攻撃をやめてください。
 
そして、人命を救う医療が、それを必要とする人びとに確実に届くようにしてください。

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