マレーシア政府によるUNHCR難民登録の一時停止について──迫害から逃れることは、犯罪ではない

2026年07月31日
© iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo
© iAko M. Randrianarivelo/Mira Photo

マレーシア政府は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、難民登録を一時停止するよう指示したと明らかにした。

国境なき医師団(MSF)は、この措置が難民や保護希望者をさらに不安定な状況に追い込みかねないと危惧しており、市民社会組織が表明している同様の懸念に賛同する。

保護に空白を生じさせてはならない

マレーシア政府に避難民対応の制度を強化しようとする権限があることは認識している。

しかし、新たな制度へ移行する間も、人びとの保護に空白を生じさせてはいけない。まだ登録されていない人、登録を待っている人、入管収容施設に収容されている人を、誰が、どのように守るのか。政府は早急に方針を示す必要がある。

とりわけ、ロヒンギャ難民を巡っては、根拠のない情報や意図的な偽情報、ヘイトスピーチが広がり続けている現状を踏まえる必要がある。

想像を絶する暴力や搾取から命がけで逃れてきた人びとに必要なのは、保護と支援だ。法的な立場が定まらないまま放置したり、不当に収容したりすることではない。難民登録が停止されれば、保護希望者であるにもかかわらず、その立場が顧みられず、必要な支援や医療から取り残される人が増えかねない。

受診の遅れが命を脅かす

難民登録を停止すれば、登録書類を持たない難民の多くが摘発や収容を恐れ、病気やけがをしても医療機関の受診をためらう可能性がある。身分証明書類がないために医療費が高くなる現状も、人びとの受診を妨げる。

特に大きな影響を受けるのは、子どもや妊婦、慢性疾患や感染症のある人など、健康上のリスクが高い人びとだ。治療の遅れや中断によって、本来なら防げたはずの病状悪化や緊急入院を招き、命を落とすことにもなりかねない。

MSFはまた、入管収容施設に収容されている約5000人のミャンマー国籍者を本国へ送還するという政府の発表にも、強い懸念を抱いている。安全に帰還できる状況が整っていない中で送還を進めれば、命がけで逃れてきた人びとを、再び危険な状況へ送り返す恐れがある。

私たちは政府に対し、制度の移行期間中も難民としての保護を求める手続きを止めず、その間、人びとの安全をどのように守るのかを明確に示すことを求める。迫害から逃れることは犯罪ではないと認識してほしい。

マレーシア・ペナン州で国境なき医師団が実施する移動診療。看護師が到着した患者に体調を聞いている=2024年10月9日 © Steven Ooi/MSF
マレーシア・ペナン州で国境なき医師団が実施する移動診療。看護師が到着した患者に体調を聞いている=2024年10月9日 © Steven Ooi/MSF

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